日曜、昼前にバイクで買い物に出掛ける。
食事を済ませて、一旦、家に戻り、洗面所の掃除など、あれこれ用事を済ませてから、夕方、映画を観に行く。
今日の映画は、シネマジャック&ベティで、「私は金正男を殺していない」の公開に合せて、1週間の限定公開となったドキュメンタリー映画、
「誰がハマーショルドを殺したか?」。
これは、マッツ・ブリュガー監督が、1961年に起きた国連事務総長ダグ・ハマーショルド墜落死事件の真相を追うドキュメンタリー。
その衝撃的な内容で、サンダンス映画祭では監督賞を受賞している。
1961年9月、当時の国連事務総長ダグ・ハマーショルドは、コンゴ動乱の停戦調停のためチャーター機で現地に向かう途中、ローデシア(現ザンビア)で墜落事故を起こし、ハマーショルドを含む乗客。乗員の全員が死亡した。
デンマーク人ジャーナリストで映画監督のマッツ・ブリュガ―は、亡き父の遺言により長くこの謎を追うヨーラン・ビョークダールと共に、事故の真相解明のためアフリカ、ヨーロッパ各地を旅するが、追跡取材は難航する。
しかし、彼らは南アフリカ海事調査教会(SIMAR):サイマーと言う団体に行き着き、その調査を進めるうちに思わぬ事実を知る事になり……
この映画の監督、マッツ・ブリュガーは、お騒がせなドキュメンタリー作品を手掛けて来た作家で、「ポラット」のサシャ・バロン・コーエンの同類のような人物。
そんな監督の仕掛ける本作、観る者を煙に巻こうとするかのような技巧が目立ち、また時に、悪ふざけのような取材もあって、真面目に事件を追う、ヨーラン・ビョークダールが気の毒に思えるような場面もある――しかも、その笑えるネタもいささか滑り気味なのが尚更だ。
中盤までは、取材対象から話を聞くだけ、と言う単調、かつ淡々とした展開に眠気さえ覚えてしまったのだが、サイマー(SIMAR)に辿り着いてからは目が覚めた。
1990年代のエイズの流行は、人種隔離政策の撤廃による黒人の台頭を恐れた英国政府と南アフリカ政府による人為的な拡散で、サイマーがその実行機関だった……と言ういささか危ない話が出て来て、しかも、その事実を公表しようとしたサイマーの女性職員が暗殺された、と言うのだ。
これにはびっくり……正に瓢箪から駒、ハマーショルド墜落死事件が、思わぬ裏情報を引き当てた、と言う所か……
残念なのは、マッツ・ブリュガー監督演出の映画の語り口が、それをいささか胡散臭いものに見せてしまっている事だろうか……まぁ、これをあまり真剣にやると、英国政府を敵に回しかねない。信憑性について、敢えて踏み込まない辺りが、商業映画としてのバランスをとった結果、とも言えるのかも知れないが……
ただ、社会を、世界を動かそうと言う大きな力が働く時、犠牲になるのは、貧乏な庶民や、女性と言う弱者である、と言う事実の提示は、現代の時勢からしても物議をかもすのは確実だ。
サンダンスでの受賞も、そうした社会的影響を考えての事だろうか?
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