mixiユーザー(id:20452152)

2020年03月30日11:00

74 view

国や自治体は,自粛に伴う損失を補償せよ

 今次のコロナウイルスは予想以上に深刻な影響を社会に及ぼしています。中国や欧州各国等では大勢の犠牲が出るという痛ましい事態に至ってしまいました。オリンピック延期という前代未聞の事態もこんな状況では開催できるわけも無く,ある意味で当然のことでしょう。日本社会でも感染者の拡大が止まりません。3月28・29日とは東京で外出自粛宣言が出されて多くの商業施設が臨時休業を行っており,僕がこれを書くに際してネットで検索した限りでは渋谷のような大繁華街もガラガラになっているようです。それは3月中に留まらず,来たる4月11・12日に行われる予定だった「デザインフェスタ」も中止が決まりました。美術の好きな僕は「デザインフェスタ」はとても楽しみにしており,中止には残念な思いを禁じ得ませんが,人命の安全を考えれば止むを得ないことです。
このまま,令和2年は疫病の年になってしまうのでしょうか。

 さて,公共の安全のために大勢の人々が自粛に応じている中,去る3月22日にはさいたまスーパーアリーナで格闘技「K-1」が国や埼玉県による自粛要請を拒否する形で,6,500名の観客を入れて断行されました。これでは感染が広がってしまうという非難が強まる中,参議院議員で自身も格闘家であった須藤元気氏から「イベントのキャンセル料を考えると中止するのが難しかったと思います」とイベント断行には事情があることを指摘し,かつ「政府は自粛要請によるイベント中止などの影響に伴う損失を補償すべきです」との提言がありました。格闘家にして国会議員という須藤氏の発言は大きな注目を集め,現在までに多くの賛否両論を引き起こしています。

 大勢が自粛に応じている中でイベントを強硬開催したという姿勢には驚きを禁じ得ない人々も多いことでしょう。そのため須藤氏の提言に対しても「これは経営判断の誤りであり,日本は資本主義国である以上は自己責任で対応すべきである」という批判が数多く寄せられました。また「政府による補償の原資は税金であり,イベントという不要不急の行事を行う会社などに税金を支払うのは論外である」といった声も見受けられました。管見の限り,須藤氏の提言に反対するこうした意見はかなりの賛同を集めているようです。
 しかし,この問題に関して言えば,補償が必要であるという須藤氏の主張に分があるのではないかと僕は思います。個人であれ企業であれ社会の一員である以上は公益の実現に協力する義務があるのは当然のことですが,それは過度な負担や筋の通らない負担を特定の個人・企業に負担させることを正当化するものではありません。

 そもそも疫病鎮圧は衛生環境の向上の一環であり,その便益は広く社会全体に及ぶ上「誰かが利用すれば減る」というものでもない上に「無償で利用できる」というものです。つまり非競合性と非排除性を併せ持つ典型的な純粋公共財であり,取得・維持のためのコストについては国や自治体といった公共部門が負担すべきものです。個人や企業の合法的な経済活動を中止させるだけで補償を行わないと「公共財取得のコストを特定個人・企業に負担させる」という形になり,そもそも筋が通りません。「いや,営業活動を行う企業はそのくらいは負担すべきだ」といった主張もあり,それを正当化するために「道徳心」といった口実が持ち出されることもありますが,実はその主張こそ道徳に反すること甚だしい代物です。その主張を敢えて別の言葉で言い替えれば「本来は我々も拠出する税金で負担すべきだった公共財取得の対価を特定の企業に被せる」というタカリ行為そのものに過ぎないのですから。当然業態を問わず,補償という形で国や自治体が対価を払う必要があるでしょう。

 因みに,補償支払いの正当性は以上のとおりで,ここで話を終えても良いのですが。
 そもそも「資本主義だから放置せよ」というのは随分と時代遅れの主張です。レッセフェールの時代の方なのでしょうか。まさか21世紀になって疫病で興業が中止になるなど誰も予想していなかったでしょう。現に多くのイベント業者が加入している興行中止保険でも「感染症蔓延防止」は殆どの場合は免責事由に該当し,保険金を受け取ることは出来ません。
 誰も予測していなかった今回のような事態を放置すれば多くの業者が予想外の経営困難に陥り,それはそうした業者と取引のある金融機関にとっても融資が突然不良債権になるという不測の事態です。話をイベントに限っても,会社という形である程度の内部留保を持つであろうイベント業者はまだしも,須藤氏も指摘する格闘家は個人事業主であり,突然ファイトマネーが全く入って来ないという状況は個人としての死活問題でしょう。これは格闘家に限らず,音楽家や俳優等に関しても同じことがいえると思います。
 仮に「いや.それでも資本主義だから」と言い続けるのは無意味でしょう。レッセフェールを貫いてイベント業者が倒産すれば,当該業者の従業員や出演する格闘家や音楽家や俳優は路頭に迷います。最悪,その人たちは生活保護を受給することになり,結局は公費の支出が必要になるのは同じことです。ならばイベント会社の損失を補填して関係者の生活の安定を図り,疫病鎮圧後に直ちに活動を再開してもらうほうがよほど社会にとってもプラスでしょう。

 須藤氏の主張のとおり,国や自治体といった政府は自粛要請によるイベント中止などの影響に伴う損失を補償すべきであると考えます。皆様はどう思われますか。



■K-1強行開催に賛否両論が噴出!「中止の負担を主催者側に押しつけるのはひどい」
(Business Journal - 03月24日 18:41)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=175&from=diary&id=6020633
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年03月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031