出雲の建国神話に出てくる八岐大蛇(やまたのおろち)。
酒に酔って眠るし、草薙の剣(つるぎ)で斬れるし、たいしてこわくない。
多頭のあいだの内輪もめを誘って、同士討ちさせるという計略だってとれそうだし。
ほんとうにこわいモンスターは、万尾蜥蜴(よろずおのとかげ)。
こいつ、アタマは(そんなに充実してないのが)ひとつだけ、ところが、尾っぽのほうが何万もある。
身の危険を感じたら、そのたくさんの尾を動かして目くらまし。 攻撃されたら尾で受けて、どんどん盛大にトカゲの尻尾切り。
なかには、切られるまえに自分から切れて、ぴくぴく動く尻尾さえある。
いや、でも、それ防御でしょ。 攻撃能力がたいしたことなければ、こわくないでしょ、ですか。
いえ、毒があるらしいです。
プリニウスの『博物誌』によれば、蛇の王のバジリスクは、「その毒は非常に強力で、匂いにより他のヘビを殺し、息に含まれた毒は石を砕く」らしいけど、トカゲの王の万尾蜥蜴も、強い毒を持つ。
それも神経系の毒で、それを吐きつけられたら正気を失うらしいので、一見凡庸なその顔かたちにだまされないよう、この尻尾切りトカゲにどうか気をつけてください。
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