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2019年07月27日16:28

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声劇台本を作成しました!「一事万象、万事一象(いちじばんしょう、ばんじいっしょう)。」

『一事万象、万事一象(いちじばんしょう、ばんじいっしょう)。』




※ 金銭が絡まなければ使用自由。
大幅な改変等はツイッター @annawtbpollylaまで要許可申請。

自作発言は厳禁です。 ※ 




【想定人数】 

男:女→1:2 



【キャラクター紹介】 

小幸 雪那(さゆき せつな):社会人四年目。女性。葉ノ下と同じ職場に通う同期。手芸サークル副代表。

相生 宇鏡(あいおい うきょう):社会人八年目。女性。雪那、葉ノ下と同い年ではあるが職場は異なる。手芸サークル代表。 

葉ノ下 景重(はのもと けいちょう):社会人四年目。男性。雪那と同じ職場に通う同期。手芸サークル副代表。

???:情報系番組のアナウンサー風の男性。葉ノ下 景重役の方が兼ねて役に入ってください。 


【想定時間】 

25分程度



※ この作品は声劇台本「二方美人。」のシリーズ作です。 
単独のお話としても楽しんでいただけるよう作っていますが、 
もし良ければ「二方美人。」はじめ、シリーズ内の他作品にも目を通してくださるとさいわいです。 

※「二方美人。」へのリンク。 
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1958862956&owner_id=24167653  



※「二方美人。」シリーズ及び関連作品のみをまとめたリンク。 
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1964303733&owner_id=24167653  


※関連作品「珠玉の真面目(しゅぎょくのしんめんもく。)。」へのリンク。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1964552701&owner_id=24167653





【本編】

雪那「手芸サークル『影縫い(かげぬい)』、今日の活動終わりました。お部屋の鍵、ありがとうございました。」

景重「ありがとうございました。……さてと。今日はまだもうひと仕事だ。あれが俺の車だから。乗って。」

雪那「今日は大変だったね…。」

景重「今日は雪那(せつな)さんにばかり負担かけてすまなかった。ったく。相生(あいおい)の野郎。子供や年寄り達の希望が強かったからってペーパークラフト講座なんざ始めやがって…。俺がそんなもん教えられないのなんか分かってたろうが。」

雪那「あはは…。手芸って言っても色んなのがあるからね。私が偶然得意で良かったよ。」

景重「でなきゃ今日みたいにあいつが欠席したらその時点で悲惨な事になって…いや、あいつの場合、もし誰も代わりに教えられなかったら、どんな状態でも絶対欠席しなかったんだろうな。」

雪那「…無茶しちゃいがちだもんね。お仕事も忙しい筈なのに。」

景重「ああ…そうだ。それ考えたら一応言っておかんとか。あいつの家着いたら、『今日はちゃんと休んで偉い』と伝えてやってくれ。」

雪那「あれ、葉ノ下(はのもと)君は入らないの?」

景重「言ってなかったか。そりゃそうだろあいつ女なんだから。ちゃんと来客用の駐車場で待ってて帰りは駅まで送るから安心してくれ。」

雪那「…部屋に着いたら電話するね。」

景重「…おう。」





雪那「こんばんは、お待たせ宇鏡(うきょう)さん。」

宇鏡「…ああ、ありがとう。入って…っ。今お茶出すから…」

雪那「そんなの良いから早くお布団に戻って!」

宇鏡「はいはい…まったく。」

雪那「…熱中症、大丈夫?何か飲む?」

宇鏡「大丈夫…かな。ちゃんと病院行ったし、大人しく涼しくしてるから…段々マシになってきてる。あと寝てても冷蔵庫手が届くから平気。それよりごめんね…今日の活動、どうだった?」

雪那「特に問題なかったよ。大丈夫だから心配しないで?」

宇鏡「…今日からしばらくペーパークラフト教えるって私が言い出したのに、その私が初日から出られないなんて情けなくて泣けてくる。」

雪那「私で代役が務まったかは分からないけど…でもちゃんとできたと思うよ。あ、葉ノ下君が『ちゃんと休んで偉い』って言ってたよ!今電話するね。」

宇鏡「えっ、電話?」

雪那「…もしもし。お部屋着いたよ。今宇鏡さんに代わるね!…はい。」

宇鏡「え?」

景重(電話)「…おう。」

宇鏡「あぇ、景重(けいちょう)?ど、どうしたの?」

景重(電話)「俺が部屋に上がらない事を伝え忘れていたみたいで…その事を言ったら、雪那さんが着いたら電話するって言い出して。」

宇鏡「あ、うん…えっと、ありがとう?」

景重(電話)「ああ…まあ。そうだ、今日は珍しく休んで偉い。安心した。」

宇鏡「もう雪那さんから聞いたわよ。」

景重(電話)「もし来週また無理そうだったらちゃんとその時も言ってくれ。俺もペーパークラフトもっと練習して、少しでも雪那さんの負担軽くするよう努める。」

宇鏡「…努力するわ。」

景重(電話)「…ああ。努力しろ。」

宇鏡「…。」

景重(電話)「心細くなったら連絡してくれても構わんからな。」

宇鏡「…どうも。」

景重(電話)「あとあれだ。熱中症対策になりそうなもの、朝買っておいてさっき雪那さんに色々渡しておいたから、ちゃんと忘れずに受け取っておくんだぞ。」

宇鏡「…うん。」

景重(電話)「…こんなもんで、またなで良いのか?」

宇鏡「…またね。ありがと。」

景重(電話)「おう。いつもありがとうな。」

宇鏡「雪那さん。もう切れたから返すわね。」

雪那「ありがと!」

宇鏡「んー………。いや、私こそありがと。」

雪那「あのね、飲み物とかおでこ冷やすのとか色々預かってるから後で冷蔵庫入れておいてね!」

宇鏡「……雪那さん。」

雪那「どうしたの?」

宇鏡「手間かけさせてごめんね。独り暮らしって体調崩した時はどうしても弱っちゃって。」

雪那「一人だと心細い時ってあるよね。私は実家暮らしだけど…それでも特に体調悪い時は苦しくなるもん。」

宇鏡「ねえ、雪那さん。」

雪那「なぁに?」

宇鏡「……今日、ずっと寝てたせいで昔の夢ばっか見てた。」

雪那「そうなんだ…元気出た?」

宇鏡「落ち込んだ。」

雪那「そっか…どんな夢だったの?」

宇鏡「……良い子だね良い子だねって。あと、助かるって。」

雪那「…うん。」

宇鏡「……思い出そうとすると曖昧で全然ちゃんと出てこないものね。…景重、私の事なんか言ってた?」

雪那「私がもしペーパークラフト教られなかったら多分、無理にでも出て来たんだろうって。」

宇鏡「…かもね。」

雪那「初め…」

宇鏡「…ん?」

雪那「ううん。ちゃんと良くなってね。ちゃんと休んでくれて、私も嬉しかったよ!もし体調治ったら来週はペーパークラフトの続き、教えるの一緒に頑張ろうね!」







景重「お帰り。様子はどうだった?」

雪那「弱ってたかな…。」

景重「ま、仕方ないか。出発するぞ。」

雪那「うん。ありがとう。…ねぇ、葉ノ下君。……宇鏡さんって、葉ノ下君と一緒に居る時どんな感じ?」

景重「…どんなって?」

雪那「心、休めてるのかなって。見てるといつも気を張ってるみたいだから。」

景重「俺と一緒に居る時は大体雪那さんも一緒に居るけど、あれは多分、ある意味普段以上に気を張ってるんじゃないか。」

雪那「そっか…二人きりの時とかはないんだ。」

景重「…今は二人きりになる時は特にないな。」

雪那「…少しでも、あの人の気が休まる時があると良いなって思ってたんだけど、大丈夫なのかな。」

景重「人が苦しい思いしたり嫌な記憶積み重ねたりしながら何とかやっていくのなんて、普通の事だ。そんな気にしてばかりいると雪那さんまで気疲れするだろ。大変は大変でもあいつなりに何とかしていくさ。」

雪那「うん…。」

景重「あとな。そんな極端に、それだけで全部救われたりなんて事はなくても、俺もあいつも雪那さんに救われてる部分はきっと大きい。今日だって雪那さんのお陰で助かったばかりだ。」

雪那「えへへ。実はね、なんだか今日は初めてちゃんと二人の役に立てた気がして嬉しいんだ。」

景重「…あほかお前は。いつもいつも少しずつ雪那さんのお陰で助かってんだよ。場が険悪にならずに済んだり頼れる先がある事で気持ちが楽になったり。ただの一例だっての。」

雪那「あはは…。」

景重「たく。…さてと。着いた。また職場で。」

雪那「ありがと。また明後日。」

景重「気を付けてな。」





景重(独白)「……そうか、知る限り…あいつがサークルを休んだの、今日が初めてか。」

景重(独白)「なら次会った時、また改めてちゃんと褒めておかんとな。」

景重(独白)「…何でも自分がやらなきゃ自分がやらなきゃって気ぃ張ってばかりで。中には恩知らずな奴らも沢山居て。…挙句、気の毒に思って手伝ってやっただけで馬鹿みたいに感激するわ、心配になる程あっさり惚れてくるわ。」

景重(独白)「それで惚れるってんなら雪那さんにでも惚れてろ。そんなんでいちいち惚れてんだったらお前は何十人に片思いされないといけないんだっての。」

景重(独白)「……屑共が。何が手芸サークル『影縫い(かげぬい)』だ。その場のノリだけで作るとかほざいて、相生(あいおい)に手伝わせておいて、すぐに面倒になって全部あいつに押し付けて抜けやがった屑共。薄っぺらなかっこつけの名前なんざ寒々しいだけなんだよクソが。」





宇鏡(独白)「…暑い……寒い…頭痛い。」

宇鏡(独白)「……気持ち悪い。」

宇鏡(独白)「『そんな』…。」

宇鏡(独白)「『お前を責める奴が居たらそいつが間違ってんだ。』」

宇鏡(独白)「『そんなに頑張らなくてもお前のお陰で助かってる。』」

宇鏡(独白)「『それでも楽しめない人が居たとして、それは普通だし仕方のない事だ』」

宇鏡(独白)「…痛(いた)。」

宇鏡(独白)「『ちゃんと休んでくれて嬉しかった。』」

宇鏡(独白)「ペーパークラフト…。……ちゃんと1から教えてあげたかったなぁ。久々だったからいっぱい練習したし、勉強し直したし…。」

宇鏡(独白)「ごめんなさい…って言っちゃいけないのよね。」

宇鏡(独白)「私は悪くない……って。あいつなら言うし、雪那さんも言う。橋本さんも言うし、さなちゃんも言う。…すずね君も多分言う。」



景重(独白)「…ただいまっと。」

景重(独白)「体調不良は他人事じゃないし、もう食事と風呂だけ済ませてさっさと寝るかな。」

景重(独白)「雪那さんにこれ以上負担かける訳にも行かないし、あの馬鹿に何て言われるか。」










宇鏡(独白)「…いった……いつの間にか寝てたのね……でもまだこんな時間か…まだ寝てないと睡眠リズム狂うわね…。」

宇鏡(独白)「でも気持ち悪…べたべたする……。」



景重(独白)「……ん…なんだ、まだ4時か。暑苦しい…。あいつはちゃんと寝られてんのかな。」



宇鏡(独白)「…あの馬鹿は今頃寝てるのかしらね。…案外私の事が心配で眠れてなかったり……なんて。案外あるかも。あいつもあれで心配性だから…口うるさいったらありゃしない。」



景重(独白)「宇…相生……口で何言ってようと、多分休んでて良いのかとか寝てて良いのかとか、馬鹿な事考えてんだろうな。そんなんじゃ気が休まらないってのに。」



宇鏡(独白)「『お前はむしろ頑張らない事が仕事だと思え。』」

景重(独白)「『そんな事言ったって、これ作ったら絶対あの子達喜んでくれるでしょ』」

宇鏡(独白)「『費用対効果ってもんを考えろ。お前にふりかかる負担を考慮しろ、馬鹿が』」

景重(独白)「『それでも笑わせたいって言ってんのよ。私は大丈夫だから。』」

宇鏡(独白)「余計なお世話よ全く。」

景重(独白)「どんな根拠があって大丈夫だってんだ。あの馬鹿。」



宇鏡(独白)「……はぁ。なんだったかしらね。確か『人が大変な思いをしたり不便な思いをしたりなんて当たり前で、みんなそれぞれどうにかしながら生きてるんだから、そんな手ばっかかけなくて良いんだ』みたいな?…そんな普通の事、言われなくても分かってるわよ。」

景重(独白)「加減ってもんを覚えろ。そんなだからお前を都合良く当てにしようとする輩が現れるんだろうが。」



宇鏡(独白)「…初対面で私に傘貸してくれた上に、サークル運営をいきなり全部押し付けられたって話をしたら副代表になって手伝うとか言い出した奴が。それからずっと一緒に運営してくれてる奴が。そんな事言ったって説得力ないのよ。」

景重(独白)「お前はむしろ今までの分色んな人に助けられて生きてくれないと、俺が嫌なんだよ。少なくとも今のサークルの参加者達はみんな、似たような思いを持ってるだろうさ。」

宇鏡(独白)「…好きよ。ばか。」

景重(独白)「みんなお前が大好きだよ。馬鹿。」









???「……このコーナーでは、先月28日に遺体で発見された建築デザイナーの女性の心の闇に迫ります。警察が彼女の家宅を調べたところ、おびただしい量の人形や小物、風景画等が見つかった模様で、これらは全て彼女が自作したものと見られておりますが…この映像をご覧ください。」

???「一つ一つは綺麗な小物だったりかわいい人形だったりであるものの、これほどまでの量となるとおぞけが走りますね。気色悪い。綺麗に整理整頓されているのが逆に不気味です。」

???「当番組では彼女の両親にお話を伺う事ができました。」

???「あいつは昔から手のかからない子で、忙しい私や嫁にとってはありがたかったんですが、自分でボタンを直したのやパッチ?を付けるのを自分でしたのを褒めてやってたら、いつの間にか何でも自分で縫うようになって…裁縫以外の事でも、何でも自分でやろうとするようになっていったんです。それに、幼稚園や小学校で作った陶器?とかの入れ物みたいなのを使ってやってたら、中学入った頃から自分で材料買って花瓶とか箸置きとかそういうの作るようになって……最初は女の子らしくて良いって思ってたんですけど、あまり作り続けるものだから段々気味が悪くなっていって、それからです。あいつの事が分からなくなっていったのは」

???「また、彼女の母親からの話によりますと、彼女が高校に上がる際、そろそろ卒業して欲しいと願い彼女に貰った物や彼女が部屋に保管していた作品を黙って処分したところ逆上し家を飛び出し、一週間帰ってこなかった事があったそうです。」

???「これらの事から分かるのは一体どのような事なのか。若者の心理に詳しい野村慎也教授をお招きしました。」





宇鏡(独白)「っ…ぁ!」

宇鏡(独白)「…7時。もうそろそろ起き上がっても良いかしらね。」

宇鏡(独白)「…頭痛は引いてる。寒気も無い。目も熱くない。…体調の方はとりあえず大丈夫かな。」

宇鏡(独白)「なのにどうして見る夢見る夢悪夢ばかりなの何なのよ。オタンコナス。」

宇鏡(独白)「…………日曜日。…日曜日。『心細くなったら連絡してくれても構わんからな。』か…。」





雪那「こんにちはっ!」

宇鏡「いらっしゃい。」

雪那「体調大丈夫なの?」

宇鏡「ほぼ大丈夫。後は無茶しなければ問題ないでしょ。…ただ体調は回復したのに動けないのが暇で暇で。いきなり誘ってごめんなさいね?」

雪那「んーん。呼んでくれて嬉しいよ。昨日ちゃんと道覚えてて良かった!…ところでお昼もう食べた?」

宇鏡「あー…軽くは食べたから平気よ。まだそこまで食欲ないし。」

雪那「そっか、ざんねん。最近練習してたのが役立つかと思ったんだけど。」

宇鏡「偉いわねぇ。実家暮らしなのに。」

雪那「そろそろお母さんに『雪那に任せた方がおいしい』って言って貰いたいからね。」

宇鏡「あはは。また今度食べさせて?……ん、今また少し痛くなってきた…。一応ちょっと横になってるわね。ちゃんとお話はできるから。」

雪那「無理はだめだからね。」

宇鏡「…ねえ、雪那さん。」

雪那「なーに?」

宇鏡「……人には頑張る事柄とか頑張り方とかっていうのがそれぞれ別々にあって…。」

雪那「…。」

宇鏡「休んでくれて良かったって言ってくれたの、嬉しかった。」

雪那「うん。頑張って休んでくれてありがとう。」

宇鏡「…ふふ。……ね、雪那さんって気になる男の人とか居るの?」

雪那「うぇっ?」

宇鏡「あら、無難な話題かなーって思ったんだけど。」

雪那「…居ない、かなぁ。」

宇鏡「ざんねん。いつかそういう人出来たら教えてね?」

雪那「…う、ん。うん。」

宇鏡「…。」

雪那「…。」

宇鏡「…んっ……。」

雪那「宇鏡さんは……あれ?」

宇鏡「……。」(寝息)

雪那「…もー。」





???「本日早朝、窃盗事件の犯人と見られる女性が確保されました。彼女が逮捕された件について周囲の方々からは『よく挨拶等していて明るい印象があった』との声が多数でした。しかしその一方で彼女の高校時代の同級生らからは彼女について『たまによく分からない事で急に怒り出す事があって怖かった』等という声もありました。」

???「その女性自身はおおむね容疑を認めている模様ですが、動機については今のところ不明だそうです。」

???「なお、関係者によりますと彼女は職場において非常に真面目な勤務態度だったものの、給与体制や職務内容等についてよく上司と揉めていて、周囲からは浮いていたという話です。」

???「こうして見ますと相手に応じて複数の顔を使い分けていたと言いますか、どうにも彼女の人物像がはっきりと見えてきませんね。近頃の若者にはその場その場で顔を使い分けていて、芯を持たない者が多いという事がよく言われていますが、彼女もまたその典型なのかも知れません。」

???「ですがこう、同じ若者として私は彼女の気持ちが分かるような気がします。私も人から好かれる事ばかり考えて顔色を窺ってばかりいた過去がありますから。罪は罪としてきちんと受け止めて、その上で社会復帰を目指して欲しい。また、そのような事ができる社会であって欲しいと願います。」





宇鏡「黙れこのッ…!!」

雪那「よーしよーし。」

宇鏡「…あ。」

雪那「嫌な夢見てた?うなされてたよ。」

宇鏡「…何となくしか思い出せないけど、なんか自分が犯罪者になった挙句、勝手にあてずっぽうで見当外れな同情を受けてる夢。だった気がする。」

雪那「そっか。…もうちょっと寝てる?」

宇鏡「人呼んでおいて寝るのはだめでしょ…ごめんなさい。ちゃんと起きてる。」

雪那「…宇鏡さん。」

宇鏡「うん?」

雪那「近くで見守れるの、嬉しいんだよ。今の宇鏡さんは、休むのと甘えるのがお仕事なんだから。」

宇鏡「…ああ、もう。ありがとうね。」

雪那「それとも寝すぎて頭痛くなりそう?」

宇鏡「だいじょーぶ。ちゃんと寝るわよ。でも、その前にちょっと聞いてくれない?」

雪那「うん!」

宇鏡「私って景重の事好きでさー。3年前、サークル発足(ほっそく)して少しした時色々大変で、その時手伝ってくれてね。そのまま居座ってずっと手伝ってくれてるんだけど。…出会って半年くらいの時に告白して見事振られて今に至っているのよ。」

雪那「そういう経緯だったんだ。」

宇鏡「だからさっさと彼女作るなり結婚するなりしてくれると楽なのに、そもそも恋愛に興味ないとか言ってて?そのまま年とってモテなくなってから焦っても知らないんだから、あんな奴。」

雪那「あはは、大変だね…。」

宇鏡「サークル名が影縫い(かげぬい)でしょ?これもほんと偶然なんだけど景重の景の字が入ってるからなんかこう、ね。ほころぶって言うか…。」

雪那「良いなぁ。」

宇鏡「良いでしょ。雪那さんも誰かそういう人見つけたら、こんな感じに話してよ。」

雪那「うんっ!あのね、二人を見てたら、そういうのって良いなぁって思えて。最近、私も誰かそういう感じで好きになりたいなって思うようになったんだ。」

宇鏡「…はっは。あっはっは。」

雪那「…ふふ。」

宇鏡「ねー、雪那さん?」

雪那「どうしたの?」

宇鏡「私、あなたの事、好きよ。」

雪那「!?……良かったぁ。」

宇鏡「橋本さんも緒方(おがた)さんも、さなちゃんも、景重も、五十川(いそがわ)…ひかる君はそんなに好きじゃないけど五十川(いそがわ)すずね君は結構好きよ。」

雪那「菱川(ひしかわ)さんとよもぎちゃんは?」

宇鏡「菱川(ひしかわ)さんは下品で苦手だけど一応まあまあ好きかしら。よもぎちゃんはかわいくて大好きよ。」

雪那「私は好きでよもぎちゃんは大好きなの?」

宇鏡「…おばか。雪那さんもかわいくって大好きよー。」

雪那「やった。私も宇鏡さん大好きだよっ!」




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