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2017年02月24日16:49

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声劇台本を作成しました。「二方美人。」

(画像提供:心羽音(twitter @Kohane0707)



二方美人。



※ 金銭が絡まなければ使用自由。
大幅な改変等はツイッター @annawtbpollylaまで要許可申請。

自作発言は厳禁です。 ※



※本作品はシリーズ化しております。そのシリーズ内作品のまとめリンクは以下のものです。

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1964303733&owner_id=24167653




人数:5人(男1:女4)





時間目安:28分

概要:ある大学4年生5人の物語。大きな事件は何も起きず大きな問題は何も解決しない物語。



登場人物:

燦花(さんか):誰にでも優しい皆の人気者。溜め込み癖と誤魔化し癖がある。月夜、鎖鳥、雪那と面識がある。浦風のことは月夜からの「例の友達」という名目における伝聞で知っている。(女性)

月夜(つくよ):誰にでも優しいわけではないが、相手によっては思慮深くもなる。意外なことに、発表会用の論文を書くことに命を燃やしている。口調が多少荒い。燦花、浦風と面識がある。(女性)

浦風(うらかぜ):月夜の中学時代からの友達。月夜の口調は彼から染ったもの。昔何かあったようだが特に作中で語られない。月夜のみと面識がある。燦花のことは月夜からの伝聞で知っている。(男性)

鎖鳥(さとり):家庭環境が悪い中、弟達の世話にバイトに就職活動に資格勉強にと必死で生きている。燦花を心のオアシスのように思っている。燦花、雪那と面識がある。(女性)

雪那(せつな):就職活動がまるで上手くいかないで悩んでいる。気が弱く面接が苦手であるが、気の知れた相手とは割と普通に話せる。燦花、鎖鳥と面識がある。(女性)






本編。




燦花「ごめんくださぁ…い。」

鎖鳥「…ん。燦花。」

燦花「ごめんなさい、鎖鳥さん。寝坊しちゃって…。」

鎖鳥「別に良いよ。今日ここの講義室は、1限も2限も空き部屋になってる筈だから。…あ、燦花。髪の毛ちょっとはねてるよ。よっぽど急いで来たんだね。」

燦花「ええ…。あはは。恥ずかしいからあんまり見ないで。それはそうと、見せたいものって何?」

鎖鳥「…これなんだ。」

燦花「これは…?…もしかして。」

鎖鳥「うん。悪いことだとは思うけど、親の携帯電話を見たんだ。そしたらこんなやり取りをしてたから…その記録を撮影したんだよ。」

燦花「…これは…ギャンブル、だよね。」

鎖鳥「別に犯罪じゃない。公営で行われてる合法ギャンブル。両親のやり取りは、その結果勝った負けたの話…ばかりだった。私や弟達のことを心配した話なんて何もなかった。」

燦花「そっか…。…でもね、もし両親が本当にあなた達のことを全然省みてなかったとしても、弟さん達やお友達…私も含めて、あなた達のことを考えてる人は他に居るから…。」

鎖鳥「…分かってる。でももう嫌なんだよ…。弟達のことがあるからって勉強もバイトも就職活動も投げ出さずにここまで来たけど。家族の前では弱音も吐かないで強がって来たけど。もう嫌なんだよ。家にお金が無いお金が無いって言っておきながら何ギャンブルなんかやってるんだよ。真剣に考えてるの私だけなんじゃないの?」

燦花「まだそうと決まったわけじゃないよ…。ひょっとしたら、ちょっとした娯楽の範囲を超えない程度にしかしてないかも知れない。お金のことちゃんと真剣に考えてないと決まったわけじゃない…。」

鎖鳥「…ごめんね。なあに。ただ吐いても良い相手くらいには弱音を吐きたかったってだけだから。がんばるよ。」



燦花「結局、気休めみたいなこと言ってるだけで、何もできなかったな…。」

月夜「燦花。思いつめた顔してどうした?」

燦花「あ、月夜さん。大丈夫。何でもないよ。それより最近はどう?例の件、上手くいってる?」

月夜「ああ、上々といったところかな。前回の論文よりかは大分手ごたえがある。今度こそ最高傑作を作って、教授たちを驚かせてやるんだ。」

燦花「ふふ。楽しみにしてるから、また行き詰ったり完成したりしたら見せてね。ちゃんと誤字とかのチェックもするから。」

月夜「…そうだな。その時はまた頼む。前回は散々手伝ってもらったり、悩みを聞いてもらったりしたというのに結局賞が取れなかったからな…。今回こそは絶対に賞を取るんだ。」

燦花「うん、応援してる!」

月夜「燦花こそどうだ?最近。自分のことも他の人のことも。困ってないか?」

燦花「…あはは。大丈夫。ちゃんと、いざって時は頼るから。大丈夫だよ。」





浦風「…それで?結局その燦花がどう心配なんだ?」

月夜「あいつはな…。以前私も世話になったことがあったんだが、その時から既にそうだった…そして最近ではそれに拍車がかかっている。あいつは前々から言っていたとおり、周りから頼られる体質らしく、そしてそれを断らず一人ひとりのために頑張り続けている。見ている限り、自分のこともなんとかしているようだが…。このままでは押しつぶされてしまうのではないかと思っていてな…。」

浦風「なるほど。前々から聞いていたとおり、俺とは正反対みたいな人だな。」

月夜「そうでもないさ。お前と似ている面もある。」

浦風「ほう。俺は燦花と違って、もう誰かの為とかそんなこと考えてないし、寧ろ自分のことすらまともに考えてるか分からないぞ。」

月夜「…共通点ならある。お前も燦花も、もう就職活動が終わっていることだ。それは私も同じだがな。」

浦風「…こんな時に下らない話をするな。」

月夜「そうだな。まあ真剣な話をするなら、今のお前は、あいつと正反対かもな。だが、私の記憶の中に居るお前は、口で何を言っていようとなんだかんだ私を助けてくれた奴だったし、結局やる時はやる奴だった。」

浦風「仕方ないだろ。俺はもう疲れたんだ。」

月夜「…言っておくが、私は燦花だけでなく、浦風。お前のことだって心配に思っている。何せ、燦花にはいくら恩があるからと言って、あいつとは大学に入った頃からの付き合いだがお前とは中学に入った頃からの付き合いだからな。」

浦風「本当は、そんな風に思ってくれている人間が居るだけで十分ありがたいんだろうよ。それでも昔の人間関係なんか引き摺って未だにくすぶってるのは、ひとえに俺の責任だ。」







燦花「…はい。自己紹介ありがとうございます。それでは、これから30秒ほどで自分の長所と短所をお願いします。」

雪那「はい!私は一人ひとりの人間を尊重し、丁寧に接することができるという長所を持っていますが、その分多くの方と相対する時、手間や時間を上手く配分することができなくなりがちになってしまうという短所を持っています。…ですので、この短所は少しずつ治しながら主に長所を生かして活躍したいと考えています。そこで個別指導を徹底している御社への入社を強く希望しています。」

燦花「なるほど。その長所と短所ですが、実際どのような場面でその長所と短所をより実感しましたか?」

雪那「はい。…私は現在在籍中の大学で、3年生の頃、部活動の後輩の指導を担当していました。比較的少人数で行われていた部活動でしたので、後輩の数は最初多くありませんでした。ですので最初は一人ひとりを丁寧に指導し…、評判も良く問題も起きなかったのですが、当時の先輩が部活動の実績にて学内で表彰されると、入部希望者が増え、中々手を回せなくなり、他の人に助けを求めなければならなくなりました。」

燦花「…うん。雪那さんね。最初と比べるとだいぶ良くなったと思う。聞き取り易かったし、たどたどしさが大分なくなってきてた。」

雪那「本当?良かった…。なら、今度は就職課の先生に模擬面接してもらっても良いかな。」

燦花「きっとだいじょうぶ!模擬面接もそうだけど、本番も上手くいくよう祈ってるからね!」

雪那「ありがとう。助かったよ…。この夏休み中には絶対就職決めるんだ。」

燦花「うん、がんばってね!それじゃあ、私はそろそろ集中講義があるから行ってくる。」

雪那「あ、分かった。またね!」

燦花「またね!」







浦風「その論文…この夏休みの間には完成しそうなのか?」

月夜「くくく。見れば分かるだろう。今こうして煮詰めきれずに唸っているのだ。どうしても結論に至るまでが強引な気がしてならない…。ここさえどうにかできればもう完成は近いのだが…。いっそのことこの辺り全部消して書き直した方が良いのか…?」

浦風「そうか。じゃあ頑張れよ。俺はもう帰るから。」

月夜「そうか。ではなくてだな…。助けようという気はないのか?」

浦風「何をしろって言うんだよ。俺は自分の卒論だけで手一杯だ。」

月夜「卒論、か…ふふ。発表会用の論文で忙しくまだそっちは全然進んでいないな…。私はお前が思っている以上に、この発表会用の論文を書き上げることに命を燃やしているのだ。少しでも手伝ってもらうぞ。」

浦風「だから、手伝うと言っても俺に何ができるって言うんだ。」

月夜「私を、癒せ。行き詰った私の心を少しでも軽くする手伝いをするが良い。なぁに、タダとは言わん。私もお前の心を癒してやろう。」

浦風「つまり、疲れたから休憩に付き合えってことか。…だったら少しくらい別に良い。」

月夜「流石だ。お前ならそう言うと信じていた。」







雪那「良かった…。ただ、その試験はなんとかしないとだよね…。」

鎖鳥「そうだね。ここからが大変だ。」

雪那「まあでも本当に良かったよ。私なんてこの夏休みで就職決めるつもりだったのに、結局内定出なかったから…。」

鎖鳥「なんとかなるよ。先は長い…って、あ、燦花!」

雪那「え?あ、本当だ。燦花さん!」

燦花「あ、鎖鳥さんに雪那さん。こんにちは。」

雪那「顔色悪いけど、どうしたの…。」

燦花「あはは…。最近ちょっと疲れてて。これでもちゃんと寝てるんだけどね。大丈夫だよ。それで、何かあったの?」

鎖鳥「うん…報告があって。」

燦花「報告?ご家族のこと?」

鎖鳥「いや、家族のことは全然なにも解決してないけど…。今朝、企業から連絡が来て。内定が出た。」

燦花「おお!すごいじゃない!うれしい!」

雪那「そうなんだよ。私はまだだけど…。」

燦花「ああ、そうなんだ…。でも上達してたもの。雪那さんもきっとだいじょうぶ!」

鎖鳥「まあ、今勉強してる資格試験…あれに合格しなかったら内定取消しらしいけど。とりあえず今のまま勉強頑張ってればなんとかなる筈。模試の成績も大分上がってきてるし。」

燦花「たしか11月だっけ?あと1ヶ月半、がんばってね!雪那さんも就職活動がんばって!」







浦風「どうした。珍しく深刻そうな顔してるな。」

月夜「…いや、これを見てくれ。」

浦風「ああ、俺達の大学の個人用ページか。」

月夜「ここに、ゼミの課題の提出状況が載っているのだが…私のゼミで、燦花だけがまだ課題を出していないらしい。」

浦風「ゼミ?ああ、お前と燦花って同じゼミなんだったか。」

月夜「あのはげ散らかした準教授にやる気がないから、殆ど開かれてもいないがな。実質的にはこの、データで課題を提出するためのページだけが機能しているのが現状だ。ただ、あの課題として出されたのは卒論の骨組み。とりあえず、あくまで予定のものなので実際に提出する卒論と全然違うものであっても構わないらしいが…。問題なのは、あれを提出しないと卒論自体を受け取ってもらえなくなるということだ。」

浦風「俺のゼミでも同じような課題があったな。やっぱりどこでもあるのか。」

月夜「だからこそ私も発表会の方の論文ばかりに手をやっているが、最低限それだけは夏休み前に終わらせておいてあった。大半のゼミ生も同じだろう。夏休み前には半分以上に提出済みのマークが点いていた。」

浦風「締め切りは?」

月夜「たしか、6日後の筈だ。」

浦風「まあなんだ。デタラメでも良いんだったら、そんなもん一晩もあればなんとかなるだろ。気にするな。」

月夜「…デタラメに作って済ますことができないのがあいつなんだ…。研究テーマを聞いた時も語り口は真剣そのもので、多分あいつはどんなに追い込まれてもそういうことはしないからな…かと言って手伝ってくれるよう求めてくることもないだろう…。どうしたものか…。」





雪那「おつかれさま。」

鎖鳥「ん、ああ…ありがとう。どうして資格講座の教室の前なんかに?」

雪那「ちょうど終わる頃だと思って、気まぐれに寄ってみただけだよ。」

鎖鳥「…そっか。」

雪那「今回の模試、どうだった?」

鎖鳥「…176点。」

雪那「180点が合格ライン、だよね…。」

鎖鳥「もう少しってところから中々伸びなくて…。未だに合格点を取ったことがない。」

雪那「そっか…。」

鎖鳥「そんなわけで、今は放っておいて…。私は空き部屋で居残ってから帰るから。」

雪那「…うん、分かった。お互いがんばろうね。」

鎖鳥「分かってる。また。」



鎖鳥「……ん、603の講義室はいつもこの時間空いている筈なのに…。……ああ、なるほど。燦花。こんな時間にどうしたの?」

燦花「…!あ、ごめんなさい。いえ、ここ、空いてたから…ちょっと今勉強を教えてる子に向けての教材をパソコンで作ってて…。」

鎖鳥「なぜ謝る。まあここ、無線環境がある部屋だからパソコン使うにはちょうど良いよね…。って、勉強を教えてる子?それって、この前言ってた人?」

燦花「この前言ってた人…?あ、あの人とは違うの。あの人の件は一応なんとかなったみたいで…。」

鎖鳥「そう…。ねえ、やっぱり会う度に顔色悪くなってるよ。…今相談に乗ったりとかしてる相手何人くらい居るの?」

燦花「えっと…この前言ってたあの人はもうだいじょうぶみたいから…今は、鎖鳥さんと雪那さんと、さっき言った勉強教えてる子と、あと二人の、合計5人かな。」

鎖鳥「それで、自分のことはちゃんとできてるの?」

燦花「…情けないことに、実はゼミの課題がまだ終わってなく…あ!いや、適当に作ろうと思えばきっと1日もあればできるから。うん。大丈夫。大丈夫。」

鎖鳥「あのね…。自分のことちゃんとしないと。」

燦花「あはは…。でも大丈夫。本当にもう間に合わないってなったら、諦めて適当に作ってそれを提出するから。だから大丈夫だよ。」

鎖鳥「はぁ…。で、今のところどんな感じなの?」

燦花「えっとね…。たしかこれにデータが入ってた筈で…。こんな感じ。」





雪那「え、それ本当なの?」

鎖鳥「うん。本人が言ってた。まずいよね…。あれ提出しないと卒業できないんだから…。せっかく決まった就職先も卒業できないなんて言われたらやっぱり無しってなるに決まってるし…。」

雪那「そうだよね…。」

鎖鳥「いざとなったら適当に作ったの提出するとか言ってたけど、燦花がそんなことできるわけないよ。あれは絶対、いつもの強がりだ。」

雪那「…よし、私達で何かできることしよう。」

鎖鳥「…できることって?」

雪那「それは…。」

鎖鳥「できること、か…。何があるのかな…。ああ、そうだ。それも大事だけど、そろそろバイトに行かないと。とりあえずこの話はまた後で。」

雪那「うん、また後で連絡する!」






燦花「だいじょうぶだよ。あなたはダメなんかじゃない。ちゃんとがんばってくれてる。」

燦花「先生…いえ、ちょっと何箇所か調べ直さないといけないところがありまして…。」

燦花「うん…うん。だいじょうぶ。私で良ければ力になるから。」

燦花「あ、先生…。はい、分かってます。大丈夫です。締め切りまでにはなんとかします。」

燦花「ここで収益率って言葉を使ってしまうと、不確実性を排除したように勘違いされかねないからやっぱりここでは割引率って言葉をね…。」

燦花「はい。はい…。もう少しですので…。はい。分かってます。」

燦花「…え。その話詳しく聞かせて。今からそっちに向かうから、そのまま待ってて。」




燦花「はい。大丈夫です。ちゃんと今日が締め切りなのは分かってます…。わざわざありがとうございます。」






燦花「…う、ん…夢か…。あれ、いつの間に寝てたんだろ…。たしか……ん?メール2件と不在着信が1件来てる。どれも昨日の日付だ。えっと……。」

月夜(メール)「いざとなったら添付したファイルを使ってくれ。例の友達に協力して貰って作った。」

鎖鳥(メール)「余計なお世話かも知れないけど、良かったら。雪那と二人で作ったから。」

燦花「…?…あ!昨日って!……良かった。そうだ。ちゃんと寝る前に提出したんだ…たしか夜の10時くらいに…あ、電話折り返さないと。…雪那さんからか。」

雪那(電話)「燦花さん!あれからどうなった?」

燦花「え、どうしたの?何が?」

雪那(電話)「ゼミの課題…あの、提出しないと卒業できないやつ…。」

燦花「あ…あれ。ありがとうね。そっか、鎖鳥さんから話聞いたのかな…。あれね、なんとか間に合ったよ。…ごめんね、今寝起きで、まだ添付ファイルの中身見てないけど、二人で助けてくれようとしたんだよね。」

雪那(電話)「良かった…。いや、見なくて良いよ。あ、でも鎖鳥さんもがんばってくれてたからやっぱり見て欲しいのかな…。いやね、鎖鳥さんが大体の研究テーマとか聞いてたらしいから、それを基に二人でそれっぽいものを作ったんだ。」

燦花「そっか。本当にありがとう。二人とも自分のことが大変なのに…ごめんね。」

雪那(電話)「鎖鳥さんが言ってたよ。家族のことを相談しようとするにしても、試験で合格して喜ぼうとするにしても、今まで沢山のことをしてくれた燦花さんに対して不義理な真似をしようものなら罪悪感が勝って何もできなくなるって。」

燦花「……うん。……そっか。そっか。」





月夜「よし、なんとかなったみたいだな。燦花も提出済みになってる。」

浦風「良かったな。」

月夜「まったくあいつは…。いざとなったら頼るとか言っていたくせに、結局追い込まれても全然人に頼らないからな。その点、私はちゃんと人に頼るのだから偉いものだ。なあ。」

浦風「お前は人に頼りすぎだ。」

月夜「でもなんだかんだでちゃんと手を貸してくれたじゃないか。お前はやっぱり、私が知っているお前だったみたいだな。」

浦風「…そう思いたければ思っていろ。…ただ、俺は燦花みたいに誰が相手でもそんなことしてやるわけじゃない。やっぱり俺は燦花とは似てない。」

月夜「なるほど?誰でも良いわけでもないのに燦花は助けたということは、つまり私の話を聞いて燦花を気に入ったということか?」

浦風「その側面は30%くらいだな。」

月夜「出たな。お前特有の言い回しが。」

浦風「…残り70%は、燦花が、お前にとって大切らしいからだろうよ。」

月夜「…そうか。それはそうと、結局私達が作ったファイルは活用されたのだろうか。」

浦風「どうでも良いだろ。活用されなかったとして、それを余計なお世話と思うような人でもあるまい。」

月夜「ああ、そうだな。だが、随分と知ったような口を叩くじゃないか。実際に会ったこともないくせに。」

浦風「これだけ何度も詳しく話を聞かされてたら、誰でもそうなる。」









燦花「あ、月夜さん!こっちこっち。」

月夜「おお、寒かった…。やはり暖房というのは良いものだな…。」

燦花「おつかれさま。今日はゼミだけ?」

月夜「ああ、本当はサボろうかとも思ったんだが、滅多に開かれないゼミだからな…。サボるとあのはげ散らかした準教授に目を付けられて、最悪、卒論の審査に影響しそうだからな。」

燦花「それはないでしょ。」

月夜「あ、そうだ。論文と言えば、例の発表会用の論文なんだが、ようやくできたから見てくれないか?変なところがあったら教えて欲しいんだ。締め切りが近いからな。直すところは今日中に全部直したい。」

燦花「分かった。でも少し待ってね。今卒業生代表挨拶の文章を作ってて…。」

月夜「そういえば選ばれたって言ってたな…。お前が私の論文を見ている間に読ませてもらっても良いか?」

燦花「良いよ。…あ、いや、やっぱり。」

月夜「ん?」

燦花「あなたの論文を見てるから、その間に、私の代わりに書いてよ。もう何書いてもダメ出しばっかりされててやる気が出ないの。」

月夜「お前な…。私がそんなもの書けるわけがないだろう…。」

燦花「えー。だめって言うなら、先生の反対押し切って月夜さんとか他のみんなとかに対する感謝の話を書くけど…。」

月夜「…お前は。仕方ないな。また浦風に相談して、あいつに代わりに書いてもらうか。」


完。












(追記)

年下の先輩である心羽音(@Kohane0707)が描いてくれた、5人のイメージ絵を載せました。

とは言えこの子達はあくまで心羽音の抱いたイメージなので、実際の5人がどんな感じの見た目をしているかは皆さんの心に委ねます。

なお、当然のことですが無断使用や無断転載等は禁止します。

心羽音に直接許可を申請するか、もし何か事情があってそれが難しいのなら私を経由して許可を申請してください。

ただ、申請されたとして必ず通るわけではなく心羽音当人の気持ち次第となりますので悪しからず。


そのようなことをする気が毛頭ない方には、この注意書きは大変不愉快な思いをさせてしまうものであることは存じ上げていますものの、「心羽音が描いてくれた絵」は
心羽音にとっても、心羽音を大事に思っている私にとっても、
どんな事情があろうとも絶対にぞんざいに扱われたくないものであるということでどうかご了承ください。
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