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2019年09月17日07:51

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「強健術」案内14

前回まで、処女作『実験 簡易強健術』に発表された「強健術」の「第一練習法 甲」のやり方を見てきました。
今回は「第一練習法 乙」の方法を見ていきたいと思います。「第一練習法 甲」が上腕二頭筋を鍛える運動であったのに対して、「第一練習法 乙」上腕三頭筋を鍛えます。それでは、「第一練習法 乙」の全体を引用してみます。
実験 簡易強健術 第一練習法乙
イ、両椀を寛(ゆるや)かに垂加すこと、甲練習法に於(お)けるが如(ごと)くし、手甲を前方に向かわしむ。(以上運動前の姿勢、拳の握り方は前と同じ)
ロ、上腕を体に密接し、手甲を肩に着くる心持ちにて拳を上げ、上膊三頭筋を緊張せしめよ同時に下腹を緊張せよ(第二図参照)
ハ、下ろすと同時に力を抜き、寛(ゆるや)かに十分垂加す、これにて一回の運動とす。
ニ、以上右腕一回の運動にして、次に左腕の運動に移る。
ホ。この運動は左右交互にて三十回とす。(実験 簡易強健術P.225〜227)
以上です。これは、「第一練習法 甲」が、下に垂らした集約拳を前に向けて腕を上げたのと逆に、集約拳を後ろに向けた状態で腕を曲げていきます。これは、サンドウの運動法が鉄アレイを持って、同じようにアレイを握った拳の甲が正面を向いた状態から腕を曲げる運動であるところから来ています。この単純な運動法が後の「気合応用強健術」、「簡易強健術」の「上腕三頭筋練修法」に変化していきます。運動の要領は、「第一練修法 甲」と同じです。春充は、最後に次のようにまとめています。
(備考)
本運動の目的は(甲)は上膊二頭筋に、(乙)は上膊三頭筋に、個々独立の運動を与えるものなれば、拳を上に折り上ぐると同時に、其目的の筋肉のみ力を入れ、注意力を集中す、而も眼は常に前方に注ぎ、目的以外の筋肉を緊張せず、常に体を寛かにすべし。但し下腹の緊張はいづれの運動にも伴う通則たることを忘る可らず。(実験 簡易強健術P.227)
ここでも、目的の筋肉のみの緊張「一筋の緊張」は強調されています。ただそこに、「注意力を集中す」とありますように、この頃は未だ「観念」を若干用いていて「観念と運動の分離」が不徹底な所があります。そして、後の「中心力」に発展する「下腹の緊張」は通則として重要視されていることも分かります。
(写真は、「第一練習法 乙」を行う春充)
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