お誕生日周辺ということで、自動車運転免許証の更新をした。
ゴールド免許だったので、5年ぶりの更新だ。
更新の際には講習が有る。
前回の更新の後に、道路交通法で変わった点が有れば、教えてもらえる。
教えてはもらえるが、法律の変更点については、免許を持っている者は
自分で知っておく義務が有る。
しかし、別に通達が来るものでもないので、自分で調べて知らなければならない。
今はインターネットで簡単に調べられるようになったからまあ良いが、
以前は本当に講習でも受けなきゃなかなか知る機会は無かった。
そういうわけで、5年も間が空くと、世の中(道交法)は変わっている。
法改正を知らずに5年も運転するのは怖いことだ。
たとえ優良運転者だとしても、5年は長いんじゃないか。
なんて、思っていた。
思っていたら、このたび、降格した。
2年前に違反をしてしまったのだ。
※
片側2車線の道路、
交差点、前方の赤信号で停止した。
その後、信号が変わって、左折した。
直後、脇道に見えた白バイがサイレンを鳴らした。
他に車もいない。
え?私?
何した??
※
車を路肩に寄せて止まり、ウインドウを開けて警官を待った。
まだ、何をしてしまったのか、分からない。
分からないでいると、窓から覗いて挨拶した警官が言った。
「何で止められたか分かりますか?」
分からないです。
そうなんです。
私は相当「分からない」表情だったと思う。
※
違反を取り締まられた経験の有る人なら心当たりが有るのではないかと思うが、
警官はしばしばイヤな感じだ。
こちらが違反をしているという引け目を割り引いてみても、
上からの態度がありありとする場合が多い。
ところが、この警官は終始、なんと言おうか、紳士的であった。
礼儀正しく、私のゴールド免許に敬意を払う言葉もかけつつ、
私が何をしたか、何が欠けていたからなのかということを、
正確に説明しつつ、且つ心にも訴えるように説諭した。
お見事としか言いようが無かった。
取り締まられて、すがすがしくすらある気持ちになったのは、
この時が初めてであった。
自分の不注意を指摘されて、気持ち良いとは。
O署のI巡査部長には脱帽である。
※
もう2年前のことなので、正確に記憶しているか自信が無いが、
その時のことを書いてみる。
たしか、自分がどうしたか、言わされた気がする。
信号が青になったので、左折しました。
そう言ったと思う。
ところが、事実は違ったのだ。
信号は赤信号のまま、直進の青矢印が出た。のだそうだ。
「思い込みが有るんです。
思い込みのせいで、実際には無いものを見てしまっているんです。」
説明によると、最近、この形式の信号が増えているそうだ。
赤信号から、青に変わるのではない。
赤信号のまま、直進の青矢印が点灯し、
それからしばらくすると、左折の青矢印も点灯する。
なんのためかというと、左折車による横断中の歩行者の巻き込み事故防止のためだ。
直進の青矢印が出ている間に、歩行者は横断し終える。
横断者がほとんどいなくなったタイミングで、左折の青矢印が点灯する、というわけだ。
※
この話を近所の友人たちにしたら、
「東八と武蔵境通りの、野崎八幡の交差点もそうだよね。」
と、すぐに具体例が挙がった。
みんなウンウン頷いている。
そういう信号機の変化に、自分が鈍かったことに気付く。
※
警官は、最近有った大きい事故について話した。
トラックと子どもの事故で、その警官が現場に駆け付けたという。
飛び散った子どもの内臓を、母親がかき集めていた、という。
「思い込みによって、大きな事故も起こしてしまうかもしれません。」
まったく、
事故は起こしたくない。
赤信号無視、ということで切符を切られた。
※
ところで、後日、このO署のI巡査部長から電話が掛かってきた。
「最近、免許証を再交付なさいましたか?」
ああっつ。
免許証を紛失して急いで再交付したが、
拾って届けてくれた人がいて、数日後に元の免許証が手に入ったのだ。
再交付の際に、古い免許証が出てきたら警察に届けるように、
と注意されていたにも関わらず、
私は古いものも新しいものと一緒にパスケースに入れていた。
そして、違反の際に古い方を提示してしまったのだ。
※
O署に、新しい免許証をあらためて提示しに行った。
再交付の後始末をちゃんとしていなかったのだから、
叱られるかもしれない。ああ、気が重い。
「ご足労をおかけいたしました。」
と、I巡査部長は相変わらず紳士的であった。
あかんことをしたのは私自身なのに、ご足労もあったものか。
すみませーーん。
※
ひとを必要以上にイヤな気分にさせないで思い込みやミスを指摘する。
まさに巡査に必要な話術と言える。
心に残る取り締まりだった。
※
やっぱりゴールドがいいなー
ログインしてコメントを確認・投稿する