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2018年08月04日20:42

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ビートルズ「Let It Be」〜解散直前におけるジョンとポールの違い

後期ビートルズのアルバムはぜんぶ好きだが
最近は「Let It Be」を聴くことが多くなった。

このアルバムのレコーディングには
黒人のキーボード奏者が参加しているのだが
彼一人の参加によって、全体のサウンドが
黒っぽくなっているのが大変面白い。

この、黒っぽいテイストは、ビートルズの音楽において
本当に珍しいものであり、
聴くたびに面白いと思うのだ。

しかし、このアルバムは、発表当時、賛否両論あった。
このアルバムに星2つしかつけなかった音楽雑誌もあったほどだ。

そのことを念頭に入れて、このアルバムを聴いてみると
確かに問題があることに気づく。

いちばん目立つのはジョンの低調、もっといえば
ヤケクソぶりである。
ジョンの曲は
○Dig a Pony
○Across the univers
○Dig It
○Maggy May
○One after 999

の5曲だが、この中で良いのは「Across the univers」のみだ。
One after 999はビートルズ結成時の曲らしいが未熟、幼稚。
Dig a Ponyは凡作。
Dig itとMaggy Mayに至っては、もはやヤケクソ以外の
何者でもない。
ジョン・レノン。いったいどうしたのだ?

佐藤滋「ロックの世界〜エルビスからクラッシュまで」(三一書房)
によると

「ビートルズの解散を、もっとも必然と受け止めたのがジョンであった。
しかし、解散によって、もっとも傷ついたのもジョンであった」

とある。

そういった、ジョンの心境が、リアルな形で現れているのが
この5曲ではないか、と思うのだ。
このヤケクソな精神状態が、「ジョンの魂」では、高度な音楽に
昇華している、という感じがする。

その、ジョンの、どうしようもない状態に対し、
ポールの音楽は本当に見事だ。
○Two of us
○Let It Be
○I've got a feeling
○The long and winding road
○Get Back

やけくそのジョン。
ポールへの悪口を歌にして悦に入るジョージ。
ジョンがスタジオに連れてくる、不愉快なヨーコ。

そんな中で、ポールは、実に真摯に音楽に打ち込む。
タイトル曲「Let It Be」にあるように
解散という現実をあるがままに受け入れ、その中で
最高の仕事を成し遂げようという心意気が見事だ。

ゴスペル風の「Let it be」、バラードの
「The long and winding road」、
ロックンロールの「I've got a feeling」「Get Back」
まさに名曲揃いである。
ベスト盤じゃないか?というくらいだ。

ポールは「Abby Road」も見事なので
もしかしたら、ビートルズ解散を目前にして、自分たちの
時代の終わりを自覚していたのかもしれない。

「Let it be」(アルバム)はもともとは
「ゲットバックセッション」を元に作られ、
「Get Back」というタイトルでテスト盤まで作られた。

そのテスト盤を回収し、フィル・スペクターの
プロデュースで作られたのが「Let it be」である。

その、フィル・スペクターのプロデュースが、ビートルズの
意思を尊重しない(ポールが特に不満だったらしい)ことから
「Let it be naked」が発売された。

最後に、この3枚を比較してみたい。
「Get back」は「Get back with Let it be and 12 other songs」
というタイトルで出回っているもの。
「Get back」は海賊盤で何種類も出回っているので、
あくまで参考意見として見て欲しい。

1. Two of Us
(「naked」では冒頭のジョンの喋りはカット)

2. Dig a Pony 駄作。3つとも同じ演奏だと思う。

3. Across the Universe 
(「naked」「Get back」では半音高い。Ddur)

4. I Me Mine
(「naked」「Get back」ともほぼ同じ演奏)

5. Dig It
(「naked」ではこの曲はカット。「Get back」では
ほぼノーカット(2:38)。このどうしようもない駄演に
延々と付き合わされることになる)


6. Let It Be
(「naked」「Get back」はギターソロが違う以外は同じ演奏。)
7. Maggie Mae 
(「naked」ではこの曲はカット。「Get back」は同じ演奏)
8. I've Got a Feeling
(「naked」「Get back」ともほぼ同じ演奏。名曲!)

9. One After 909
(駄作。「naked」「Get back」ともほぼ同じ演奏。)

10.The Long and Winding Road 
(「naked」「Get back」ではバンド演奏。さすがにフィル・スペクター
によるアレンジのほうが聴き応えがある)
11. For You Blue 
(「naked」「Get back」ともほぼ同じ演奏。)
12. Get Back
(「naked」では演奏前後の会話がカット。「Get back(ブートレグ)」はほぼ同じ演奏。)

比較すると、「Get Back」と「naked」は、基本的に
同じものということができる。
以前から「Get Back」を聴いている人にとっては、「naked」は
新鮮味のないものであったことは残念だった。





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