12月27日(水) 18:30 東京文化会館
今、オペラとバレエ公演のため来日中のウクライナ国立歌劇場が創立150周年記念として、「オール・オブ・クラシック・プレミアムコンサート」と題し特別公演を行った。
指揮 ミコラ・ジャジューラ、ウクライナ国立歌劇場管弦楽団、キエフ・バレエ、
ソプラノ:オクサナクラマレヴァ、メゾ・ソプラノ:アンジェリーナ・シヴァチカ、テノール:ヴァレンティン・ディトゥク、バス:セルゲイ・マゲラ
バレエでカルメンを踊る予定のエレーナ・フィリピエワはキャンセルで代役となった。
★第1部はオーケストラ曲集、★第2部がオペラ・アリア集、★第3部は「バレエ」という長時間のプログラム。
第1部はチャイコフスキー、プロコフィエフ他のロシア音楽4曲。ムソルグスキーの「展覧会の絵」から「キエフの大門」など大曲から切り取った曲ばかりで、いわばオーケストラのデモンストレーション。
正直なところ演奏は下手ではないにせよ、日本のオーケストラは本当に上手くなったんだなあと実感させるものがあった。
第2部は有名オペラ・アリアを9曲と「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲。
4人の中ではグノーのオペラ「ファウスト」からの「金の仔牛の歌」他1曲を歌ったバスのSマゲラが見事な歌唱を聴かせてくれた。テノールのディトゥクは「女心の歌」で最後の音を思いっきり引っ張りうねらせ会場の大喝采を浴びていたが、最近の歌手は余りやらないパフォーマンスだ。さしずめ指揮者がムーティなら叱りつけるところだろう。
第3部はロディオン・シチェドリン作曲のビゼーを元にしたバレエ「カルメン」。
プリマのEフィリピエワがキャンセル、代わりに予定されたダンサーも替わり3人目のカルメンが踊った。それでもソロを踊れるくらいだから素人目にはとても上手で不満はまったく無い。エスカミリオやホセ役のダンサーもスタイル抜群で上手い。ロシア系のバレエ・ダンサーはどうしてこうも皆スタイルがいいんだと嘆息!
この曲には面白い逸話があって、シチェドリンは作曲の依頼を受けたものの、どうも筆が進まない。ビゼーの音楽が余りにも完璧なので、それならいっそのことビゼーを拝借してしまえと完成したのがこの音楽。いわばパクリだがこれはシチェドリン自身が語っている本当の話だ。
それでも彼は並みのオーケストラは使わず弦楽器と打楽器だけの編成でこの音楽を書き上げた。それは実に見事な作品に仕上がっている。
会場は中年女性客と若い女性客が目だった。バレエとなると確実に女性客が増えるようだ。私はマイノリティのオッサン客だが念願の「カルメン」が観られて幸せだった。
今年もあと僅か。大晦日にもう1回コンサートを聴いて2017年も締めとなる。
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