マイクル・コナリーの新しいシリーズを読んだ。
LAPDハリウッド分署の刑事リネ・バラド（Renee Ballard ）が登場した。
これが面白いのだ。
３０代半ばのナイトシフト（Late Show ）に勤務している女性刑事ものである。夜の勤務で朝まで担当し、通常勤務に引き継ぐものである。
彼女はシングルで、子供なし。マウイ島で何年も過ごし、孤児に近い状態から祖母に育てられ、本土に来た。ハワイ大学卒業後、LAタイムズで犯罪レポーター（記者）を経て、LAPD に採用され１４年のキャリアを持つ。
しかし、過って上司オリバス警部補のセクハラを訴えた時、当時のパートナー、ケン・シャスティン刑事の裏切りに会い、取り下げた経緯があり、コンビを解消して、現在の夜間勤務になったのだ。
勿論バラドは優秀な刑事だが、初期のボッシュよりも血気盛んで、頑固で（stone head ）、正義感も強く、アドレナリンが一気に吹き上がるタイプなのだ。顔色がすぐに表れるタイプ。しかも、高級住宅にいた男と格闘になり、頬には傷を縫った経験もある。
年齢は３０代半ば、身長１７０センチ、５６．６キロ
（オーディオはキャサリン・メーニッヒが朗読しており、声もぴったり、リネらしい。
背も高く、体つきもあっている。）
バラドのモデルはミッチー・ロバーツ（Mitzi Roberts）でLAPDの刑事（階級Dt.�供砲任△襦Ｈ狃�はTVボッシュシリーズの「テクニカル・コンサルタント」をティム・マーシャとともにしており、ボッシュシーズン３にクレジットされている。「コナリーはハリウッド分署で女性刑事」と話し合ううち、ヒントを得たとも書いている）
デビッド・バルダッチTRUE BLUEに登場した、当時実在の首都メトロポリタン市警本部長キャシー・L・ラニアーを思い出した。彼女は６フイートで、たたき上げのシングルマザーで、１０代の頃落ちこぼれから警察アカデミーを卒業して出世した白人の金髪チーフだった。黒人警官ばかりの中でチーフとして活躍し、ギャングと銃激戦を繰り広げ、彼女よりでかい強盗男と格闘した逸話の持ち主だ。何か通じるものを感じる。
バラドの相棒は２５歳のジョン・ジェンキンスである。
LATE SHOWはPW,KR,BL等の書評誌で☆印獲得しており好評だ。勿論ベストセラーである。
とても面白く、絶対のお薦めです。 前作のボッシュよりもいい！
サンタモニカで殴打された売春婦が発見された。直ちに夜間勤務のバラド刑事とジェンキンス刑事が現場に急行した。
彼女はロマーナといい、瀕死の状態だったが、「上下が逆になった家」と言って意識を失った。すぐさま、救急病院に運ばれ、集中治療室で一命をとりとめた。メリケンサック（メタルの拳骨用の武器）で身体中を殴られていた。体にはサックに刻まれた文字がかすかに読めたのだ。こんな武器を使う犯罪者は少ないと思われた。
しかも、彼女は実は男だったのだ。異常犯罪者の仕業なのだろうか。彼女はどこかの家の中で殴られ、路上に放置されたようだ。
もし、意識が戻れば、証言もとれると思われた。
その頃にまた別の女性の銃殺死体の緊急の連絡が入った。
胸を銃で撃たれた２０代のウエイトレスの死体があるというのだった。
しかし現場には４人の男の銃殺された死体がボックス席にもあったのだ。
「ダンサーズ」という名前のクラブのボックス席で事件は起きていた。
（LAで最も有名な小説「Long Good-bye」に登場したバーの名前をとっていた。ドリンクも「ブラックダリア」「ブロンドライトニング」「インディゴスラム」などの名前が、コナリーのチャンドラーへの敬意が分かるではないか）
若い女性はシンディと言い、このクラブに勤めていた。ボックス席の中で男たちが口論になり、犯人が３人の男を射殺した。そして近づいたクラブの用心棒を射殺し、席にいたシンディを射殺し立ち去ったのだった。
現場には沢山の客がいたが、事件の様子を目撃した人物は少なかった。
シンディは彼女の持ち物から「ドラッグ」が発見され、クラブ内で密売している可能性もあった。彼女も関係していたのか。
現場にいた目撃者もいた。i-phoneなどの写真もあった。犯人の顔を観た人物がいたのだ。しかし、翌日には目撃者が姿を消したのだ。一体どうして？
バラド刑事は事件に関与できなかったが、クラブの事件を担当していた元のパートナー刑事シャスティンが自宅前の車の中で射殺されていたのが、発見された。
クラブで死んだ４人は麻薬売人達だったが、最初に撃たれたフェビアンはなんと身体に録音機を持っていたのが分かった。犯人を罠にはめるつもりだったのか。ということは警察関係者が犯人なのかもしれない。
犯人がフェビアンを殺したのは、彼が罠にはめられたと知って射殺した、そして全員を殺して立ち去ったのだ。
その手口は「まさにプロの殺し方だった」。
そこへMajor Crime Unitの捜査官が現れ、バラドとシャスティンの関係を聞いてきた。どうもバラドが犯人の様な口振りであり、仕組まれていくような雰囲気を感じた。彼女の拳銃、膝に隠したルーガーも、、。証拠にされそうだった。
この2件の事件がバラド刑事の勤務中に起きたが、彼らは報告をまとめ、翌日の捜査班に引き渡し任務は終了するのだ。犯罪捜査はそれぞれの通常勤務の捜査班にひきわたされ、捜査が始まるのだ。夜間勤務班は捜査には関係しないのだ。だからバラド刑事は干されていたのだ
しかし、いやな上司やケンとは仕事をしたくなかったのだ。
それでもバラドは売春婦事件の犯人は、メリケンサックを使うサディズムな男であることから、容易に犯罪歴のある男を割り出した。そして尾行、チェックを始めた。
しかし相手も悪だけに、逆にバラドを狙い始めるのだ。
ここからは、いつも通りの展開に酔いしれてお読みください。そしてクラブの殺人犯はいったい何者なのか。バラドは捜査班にカンバックできるのか。楽しいです！
ぜひ、お読みください！
現在TVボッシュシリーズ４が撮影開始した。リンカーン弁護士もTV化が進行中です。
余談；Renee Ballard は「リネ・バラド刑事」そう呼んでいる。コナリー、TVCM、キャシイ―も。
「レネ・バラード」はローマ字読みで、米国人には通じない。
neeの最初のeにはアクサンテギュ（仏語）があり「イ」と呼び、後のeは無音。
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