ディビッド・バルダッチのNo Man'sLandはイイ！

陸軍憲兵隊の陸軍准尉「ジョン・プラー」シリーズ４作目を読んだ。
デイビッド・バルダッチの３３作目である。勿論、NYTのベストセラーになった。
人気シリーズが６シリーズあり、デビュー以来全作がNYTの上位を占める超人気作家であり、全世界で圧倒的な人気を誇るが、日本だけは全く翻訳が出ないのだ。映画TVにもなっているのだが、、。

今回はMPとしての任務ではないのだ。ジョン・プラーは突然上官から「休暇」をとれと命令され、３０年前の事件を個人的に調査することになったのだ。
なんと認知症で入院中のジョン・プラーSr（元三ツ星将軍：中将）が３０年前に妻ジャッキー殺しで訴えられたというのだ。それで上官が休暇を認めたのだ。

しかし、なにをいまさらという感じだ。
３０年前にプラーの母親ジャッキーが突然行方不明になっていたのだ。その時父親のプラーは海外にいたが、実は極秘に帰国していたので、疑われたのだ。
その訴状は、父の妻ジャッキーの知り合いで、彼女も現在痴ほう症で、末期の状態なのにMPに手紙を提出したのである。

訴状の手紙を書いた女性の夫はプラー将軍の部下で「そんな事実はあり得ない」というのだが、、。彼女が最後の手紙を書いたのだ。
勿論、地元の周囲の人々は誰もそんなことがあったとは思わないし、プラー家はみんなの尊敬を集める、素晴らしい将軍であり、家族だったのだ。
そこでプラーは当時の我が家のあったフォートモンローに向かい、昔の知り合いを訪ね、調査を開始する。

しかし３０年前と言えば、プラーは５歳の幼い子供であり、よく覚えていないのだ。
母ジャッキーが突然失踪したことしか知らないのだ。兄のロバート少佐も何も覚えていないのだ。父親も妻の事は失踪後一度も話さなかったから。
二人はフロリダの叔母に育てられたのだ。その叔母も死んでいた。（シリーズ２作目Forgotten で殺された）
父親のプラーもほとんど正常な意識を回復することはめったにない状態だった。
しかもプラーの行くところには、いつもMPが背後を尾行していることに気付くのだ。

その頃、１０年の刑務所暮らしの末、釈放された男ロジャーが、フォートモンローへ向かっていた。
彼は釈放された時の所持金を狙う若いカップルを一瞬のうちに殺して、車を盗み、希少価値のあるベレッタ拳銃を盗み、売り手の男も殺してしまった。彼はリベンジのみを頼りにおとなしく服役していたのだった。

彼の目的はいったいなになのか、一切が不明のままなのだ。ただ、彼が過去にいたフォートモンローに戻り、復讐をしたいらしいとしかわからないのだ。一体誰に復讐をするのか。

ジョン・プラーは母親の失踪した夜にとんでもない事件が起きていたのを知った。。
それは４人の２０代の若い女性が連続して殺ろされる猟奇的な事件が、彼の母の失踪事件と同じ日に、すぐ近くで起きていた。すべての死体が遺棄され、埋められていた。
４人の被害者と母親は面識もないし、彼の母親とは被害者の年齢も差がありすぎた。殺された女性は皆OLの女性ばかりだったのだ。

しかもプラーの母が「教会に行くような正装」だったことから昔の教会を訪ね、牧師に面会する。
一歩事件の核心に触れかけたとプラーが思った時、今度は急に上官から「休暇の取消し」を言い渡され、フランクフルトへの出張が命令されたのだ。これはいったいどういう意味なのか。

プラーとしては父親の無実を証明し、一家の名誉を回復することが第一であり、退役しようと辞表を提出したのだ。

すると元副大統領（プラーは大統領の任命した陸軍准尉５）が現れ、辞表は破棄し休暇の復活も告げられるのだ。しかも、この会話も、会ったこともなかった、他言無用と告げられる。

そして、尾行していたMPとも連絡が取れなくなり、MPの携帯番号も農林省にかかるようになっていたのだ。MPも姿を消して、事件がなかったことになるのだ。
プラーの父親に対する訴えそのものが消えたのだ。しかも手紙を書いた女性も亡くなったのだ。

これは母親の個人的な失踪だけではないのだろうか。なぜ、元大統領が出てきたのだろうか。

しかも、刑務所を出てフォートモンローに来た男も不意に現れた謎の集団に襲われた、素手の戦いでは男が一人でも圧倒的に強いのだが、拳銃で撃とうとした暴漢をプラーが射殺して、二人は知り合うが、パトカーが近づくと男は逃走したのだ。
この男ロジャーは一体なにものなのか、どうプラーと関係するのか。

これからの展開はスピーディで、スリリングです。アメリカならではの事態が発生します。
それもジョン・プラーの父が最後に大将（☆☆☆☆）になるなんて！
まあ、読んでみてください、面白いですから！
シリーズは
Zero Hour（攻撃開始）は政府関係者の一家が惨殺される事件が発生して憲兵隊のプラーが出動する。最高に面白かった。（２０１２年１月６日の日記）

Forgotten 　は叔母がフロリダで変死をしたので、個人的に調査を開始する。日本でも起こる老人の孤独死に見せかけ、老人の財産を狙うやつらが、、。（１３年２月２２日の日記）

ESCAPE　兄ロバート少佐は「国家反逆罪」で裁判もなく軍基地の刑務所に隔離されていた。東ヨーロッパの兵士の一団が、兄の暗殺を狙い侵入したが、大半が死亡。囚人数も合ったが、ロバートは脱獄、独房には侵入兵士の死体が残っていたのだ。これは最高に面白い、脱獄トリック、最高に厳重な群刑務所からどうしてできたのか。
グリシャムのRogue Lawyer並みのアッという脱出劇が楽しい！（１５年1１月２８日の日記）

全て読んで楽しいですから、お薦め！