さぁ、トランプさんがアメリカ大統領に当選して、「世界の戦後レジームからの脱却」が完結しました。ソ連はロシアになり、ドイツは統一され、中国は市場経済になり、イギリスがＥＵから抜け、イランは制裁を解かれ、北朝鮮は核保有国になり、フィリピンはアメリカから乳離れし、最後に残ったアメリカがいよいよ「世界の覇権国家から普通の保護貿易国入りする」大統領の時代になりました。その間日本は何も変わらず、世界の流れから取り残されて、過去の高度成長の栄光に耽溺してきました。いよいよ、日本も変化せざるを得ないところに追い詰められてきました。
世界は上位１％の人の資産家が残りの９９％の人の合計資産を超える時代。６２人の富豪の合計資産が底辺の３６億人の合計資産と同じ１兆７６００億ドルと言う貧富の格差を生み、白人、ブルーカラー、低学歴を不法移民の放置と自由貿易によって賃金を下げ、職を奪わせたオバマ政権に対する若者の反発が、既得権益に群がる政治家やマスコミの扇動にもかかわらず、大方の予測をひっくり返してトランプ候補を大統領にしてしまったと言います。本来、こうした「格差問題」はオバマ氏の民主党が主張する課題なのに、クリントン財団のように、国民の幸福よりも私腹を肥やすことに血道を上げるプロの政治に嫌気がさした市民の反撃であったと言えると思います。「クリントン財団」と言うのは、ヒラリーが国務長官であった時に、夫であるクリントン元大統領が外国政府や企業の話を聞いたり、講演に出かけて話を聞き、ヒラリーに口利きをさせて、財団に寄付させたり、多額の講演料を払わせて政治を私物化させたと言うものです。
こうして、流れを引き寄せたトランプ氏ですが、日本と違ってアメリカ政治のルールは必ずしもトランプさんに都合よくはなって居ません。すなわち、トランプさんは「暴言癖がある」と言われていますが、アメリカ大統領には「法案の提出権がない＝公約を実現するには議会に法案を作ってもらうしかない」となって居るため、メキシコ国境３,０００kmに壁を作ると言っても議会が法案を出さねば作れないのです。ＴＰＰに反対だと言っても、アメリカ議会は「党議拘束」ができませんから、共和党の中からも民主党の中からもＴＰＰ賛成者が多ければ、ＴＰＰは成立してしまいます。今のところ、ＴＰＰの反対者は「�仝柩僂�奪われる��環境破壊や食品の安全基準が壊される��１％の資本家が収奪を加速する」と言った反対論者が居るだけで、まだ世論が反対に固まっていません。さらに「駐日米軍の負担増加」に関しては、現状日本が７割以上負担しています。これをアメリカ本土やグアムに引き上げると３０％の負担が１００％アメリカの負担になり、却ってアメリカの軍事費の負担が増えてしまうのです。
トランプさんが大統領に就任するまでの半年、例によって多くの「政府関係者」が入れ替わるわけですが、この「異端児」の政治家に従う優秀な政府高官がそんなに大勢集まるかという問題と諸外国が「対米関係構築」にどんな出方をするのかによって、大きく「潮目」が変わることになります。とりあえずトランプ氏が「政界」も「軍隊」も経験がないとのことで、実務の多くは副大統領に任せるのではないかと言われています。その副大統領候補は２０００年にインディアナ州選出の下院議員になり、２０１２年インディアナ州知事になった共和党保守派で、ティパーティ支持者の一人とされていますから、田舎のオッちゃんがいきなりワシントンで全米を指揮するのには不安視する声も多いと言われています。どれだけ優秀なスタッフを集められるのか？暴言癖の大統領との折り合いが難しいのではないかという観測もあり、そこがハイエナもどきの諸外国の外交官にとっては「ビッグ・チャンス」に映るのではないかと思います。
トランプさんは根は単純な方のようで、「プ―チンさんが俺のことを好きだと言うから俺も好きだ」「俺の良さが分かる人は頭が良い」と言うと言いますし、負けず嫌いだと言いますから、安倍総理には「日本人もトランプさんのようにまっすぐな人が大好きだ。世界はアメリカの警告を無視して、中国が主宰するＡＩＩＢに参加してしまった。世界が中国を中心に回り始めたらアメリカの立場はわき役になり、これまでのような繁栄は出来なくなる。トランプさんの登場に期待している」と言ってほしいものです。
もしトランプ氏の主張通りの大統領になったとしたら、日本は自主防衛を迫られるし、自主外交を確立せねばなりません。極端な場合アメリカが西太平洋から手を引けば、そこを中国に肩代わりされるか、日本が取りに行くかという事態になり、これまでの流れから言えばすでに中国が相当強引に展開していることから、日本が孤立させられ中国の下に組み込まれていくことになります。むしろここは日本が「自立」に目覚めて、いち早く身構えて、アメリカの撤収に合わせて後釜に座ることで、アメリカと補完関係を作り上げて、中国の拡大を防がねばなりません。アメリカの愛人として「高級車＝日本国憲法」「マンション＝日米安保」で守られすっかりご主人頼みの暮らしに馴染んで来ましたが、トランプさんの主張では「もう御手当は払えません。自分で生きていきなさい」と言われているわけですから、これからは「ご主人」としてアメリカと付き合うのではなく、「別れた愛人」として、これからは厳しいことも言い、ロシアさんとも仲良くお付き合いして、アメリカに「しまった！」と後悔させるような「魅力的な日本」にならなければならないと思います。
日本が「真の独立を果たすチャンス」の到来です。厳しい荒海に投げ出されて、溺れてしまうのか？雄々しく乗り越えてたくましい日本に立ち戻れるのか？その瀬戸際に差し掛かっています。
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