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2016年04月22日17:46

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シリア内戦終結のチャンスは消えたか?

数時間前のBBCのツイートが、和平交渉の現場ジュネーブから悲観的な生の現状が伝わってきていると報じています。今後の欧州、いや世界の政治情勢を左右する問題だけに、無視できない危機的状況です。要訳してみました。
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ここ数週間、ミストラ国連特使が何度も繰り返すマントラ「全く楽観を許さない」が和平交渉をスタートすらできていない現状を物語っている。特使の必死の努力にも拘わらず、厳しい第四ラウンドが再び無為におわり、非公式交渉の余地も消えたようだ。

交渉の余地は辛うじて残っているとの公式発表が今日中にだされるのだろうが、ここジュネーヴには交渉相手の片方しか残っていいないのが実情だ。

ミストラ特使は「交渉を断念するには、シリアの状況は余りにも悲惨だ。国連の推定25万〜30万に対して現実の死者は40万人を超えている。」とスイスのテレビ局に語っている。

しかし、交渉の一方の当事者のHNC(シリア内戦の反体制側の代表「高等交渉委員会」)は、カギとなる二つの課題、包囲されているシリア市民への人道支援と政治犯の釈放がどちらも進展の兆しもないと怒りをあらわにし、交渉の場への正式な参加を拒否すことを18日に発表している。交渉団は技術的な問題の討議のため、現在もジュネーヴのホテルに残っていると語っているが、シリアの戦闘状況が緊迫しているのを理由に、今日21日にもジュネーヴを離れる。
HNCの首席報道官アル・ムスラト氏は「真面目に交渉する相手が見当たらないジュネーヴに居ても無意味だ」と語っている。

双方の交渉団の話を聞くと、和平交渉のテーブルに付く雰囲気は全く感じられないのが現状だ。
シリア政府の首席代表ジャーハリ氏は常に否定的な発言に終始し、HNCについては「いつも文句ばかり言うテロリストの仲間だ」と非難する。
ところが彼自身は、和平交渉の最終目標である「暫定政府」の構想については何一つ話し合う素振りもみせず、イスラエルのゴラン高原占領に対する不満を国連の代表団たちにぶつけることに専念しているようだ。

一方のHNCのヒジャブ代表は記者会見を開き、「シリア国民は決して諦めない。決してアサドを許さない。石をもってでも最後まで戦う」と語っている。

アメリカとロシアの仲介で一時停戦が実現し、わずかながらでも援助物資が包囲されたシリア市民たちの手に渡ったあの2月の一瞬の楽観論は泡の如く消えた感がある。あの時は、戦闘の一瞬の静まりが建設的な和平交渉に繋がるのではないかという希望があった。

最終的にはアサド大統領の退任に繋がるかもしれなかった交渉の開始に対して、ロシアも積極的に支持するかのように思えた。
しかし事態はそうはならなかった。和平交渉への望みは虚しく断たれ、一時停戦の合意も崩れて戦闘が再開されている。

トップ外交官の間ですら、ロシアとアサドとの関係がどうなっているのか全く見えてこないと言われている。
HNCの首席報道官ムスラト氏は「ロシアがシリアを変えるカギだ。停戦合意に従うようプーチンからアサドへ電話一本すれば物事は解決する筈だ。いくらアサドでも同盟国の忠告は無視できないだろう。」と語る。

だが、事態はロシア軍が再びシリアへ戻り始める方向に展開していて、西側外交筋ではロシアの信頼性に疑問をの声が上がっている。
「プーチンは本当にアサドに影響力を持っているのだろうか?もし持っているとしてもそれを行使した形跡はないし、もし持っていないのなら彼に頼るり謂れはない。」

この数カ月、ケリー国務長官を始めとするアメリカの交渉団は、もしこの和平交渉が失敗に終わったら、次の計画は用意されていない、とくり返している。
ところが、ウオールストリート・ジャーナル紙によれば、次なる計画、B案は存在するが、和平交渉のテーブルに付くというものではなさそうだ。

アサド軍に対抗できるように、反対勢力側により高度の武器を与えるというのだ。
そして今週になって、多分その情報を得たのであろう反体制側がそのような武器の供与を要求しているという情報がジュネーヴでも流れている。
これではどうやったらシリア内戦を止めることが出来るのだろうか?内戦は6年目に突入するのか?

HNCのムスラト氏は「戦闘状態に変化が出ればまたジュネーヴへ戻って来る。目に見える変化が必要なのだ。われわれの一番の懸念は、シリア政府軍に包囲された街の市民たちと拘束されている政治犯の運命だ。まだ誰一人釈放された者はいないのだ。アサドはもちろんだが、シリア市民の虐殺に手をそめた人間を暫定政権の中に入れるわけにはいかない。」と語る。

一方ミストラ特使は、「反体制側がジュネーヴを離れたのは、外交的なジェスチャーで、何としても和平交渉をスタートさせる」と語っている。
彼がアメリカとロシアに懇願して、国際シリア支援団体の共同代表になるよう働きかけているとも言われている。

だが、アサド大統領側は、アサドを政権の座から外す話しなら交渉のテーブルにも付かないと断言。一方の反体制側は既にジュネーヴを去ってしまっていて、当面交渉開始の目途はたたない。

はっきりした停戦の事実が確認できない限り、ジュネーヴには戻らないと反体制側は主張を繰り返す。
内戦が6年目に入り、さらに長引けば、更に数百万の難民が発生し、何千何万もの市民が犠牲になるのだろう。

昨年12月シリアの現状視察から戻ったある政府高官に、もし和平交渉が実現出来たら、シリアが復興できる見込みはあるのかと質問したのに対して、彼の答えは「市民生活?社会インフラ?わたしの見たところでは、そんなものどこかへ飛んでしまって跡形もないよ。」

(BBC ジュネーヴ Imogen Foulkes)




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