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2015年12月20日17:14

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オーソン・ウェルズのフォールスタッフ

ちょうど10年前の今頃の日記で、楠美津香さんの一人シェイクスピア「ヘンリー4世」
の話題で、オーソン・ウェルズの演じたフォールスタッフがあるらしいという事を書きました
国内版はリリースされていない、と書いたのですが、待つこと久し!
10年の日月を経てついにDVD(Blue-ray)が発売となりました

ネットでその情報を得て、すぐに予約したものがようやく入荷いたしました
実は一昨日の金曜日に配達されたのですが、今週は病み上がりのシアターゴーイング
怒涛の5連荘だったので、観賞は今日までお預けとなりました

良く晴れた日曜の午後、ダイエーで購入したチリワインの白を冷やし、鶏の手羽元を
ローストし、籐椅子に身を沈めてじっくり観賞しました(映画館では飲食NGですけど)  

いやぁ、先日の新国立劇場、ヴェルディのファルスタッフの前に観なくてよかった
もしそうだったら、ガグニーゼのタイトルロールに対して酷評していたであろう

オーソン・ウェルズは適役であります
それは単に体型のことを言うのではなく、彼の演技力の賜物でしょう
その表情の動きの素晴らしいこと、フォールスタッフの魅力はこうでなくっちゃ

1966年の作品ですが、驚くなかれ完全なモノクロで、しかも単に色彩を取り去った
だけではなく、モノクロ映画としての美意識で描かれております
だから「第3の男」や「市民ケーン」と同じ路線なのですね

フォールスタッフといい仲の娼婦ドル(ドロシー)をジャンヌ・モローが演じています
ちょっとイイ女過ぎますけどね

面白かったのは、無駄遣いを慎むように意見されたフォールスタッフが
「浪費(waste)は減らせってか…」とつぶやくのですが、これはwaistとの
掛け言葉になっているんですね
字幕では浪費の方だけが訳されていて、こういうところがわかると嬉しくなります

ヴェルディがこの映画を見ていたなら、彼の最後のオペラは違ったものになって
いたのではないかと思います
単なる「ウィンザーの陽気な女房たち」をオペラ・ブッファにしたのではないファルスタッフを
ボイトと共に作り上げたヴェルディですから、彼の晩年の音楽にふさわしいオペラを
書いていたかもしれませんね

来年は新国立劇場で鵜山君が「ヘンリー4世 第1部、第2部」を演出上演します
これまた楽しみであります(フォールスタッフは誰だろう)
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