はい、同僚との映画鑑賞はこれが目的でした。
鬼才・伊藤計劃の遺作ハーモニーをアニメ映画にしたのがこの作品。
読書家の同僚は、もちろん伊藤計劃著書は全て読破済み。
前回は、屍者の帝国を見に行ったのだが、今回はこれ。虐殺器官は制作がストップしているが、公開された暁には、また一緒に見に行く予定。
まず、館内に入って驚いたのは、若い女性が多いこと。
まぁ、アニメのCMでやってたからかなぁ・・・。ぱっと見、可愛い子がちょっと難解な話に出てるぐらいの印象だったんだろうな。
うん、絶対に間違ってるけどなwww
本編が始まって、想像してたのと違うアクション展開が冒頭であった。
あれ?俺の方が観る映画を間違えたか?と思ったが、それは本当に冒頭だけだったw
すぐにとんでもないストーリーが展開し、我々は概ね満足した。
間違いなく、子供には見せちゃいけない映画である。
同僚曰く、「かなり原作に忠実だった」とのこと。
ただし、「あんな同性愛の設定はなかった」とのことw
映画では、同性愛を思わせるような描写が、くどいほどあったが、
原作では、別にそういうことじゃなかったと語っていたw
おそらく映像化において、何かしらセールスポイントを見せたかったんだろうw
何しろ、この作品、とりあえず、映像化に適したようなアクションシーンがあるのは、ほんの少しだけで、
あとはほぼ全編会話で成立している。
思い起こせば、本当にひたすら会話していたな、とw
作品の評価であるが、この世界観が自分の中に許容出来るとするならば、
かなり面白い作品と言えるだろう。
ただ極端な話なので、人を選ぶとも言える。
しかしながら、俺が心配したのは、若い女性たち・・・。
終盤で、淡々と、毎日男に蹂躙されたという経験を語るシーンがあるが、
比喩表現を使いながらも、実に生々しい。そして、ストレートな言葉をバンバンと出す事によって、さらに生々しい。
だから、若い子が見に来るような話じゃないんだって(;・∀・)
ネタバレモードでいくので注意。
悲痛な叫びではなく、ただ事実を淡々と語る姿により恐ろしいものを感じるのだ。
演技力たるや素晴らしい。
将校が口にトカレフを何度も何度も突っ込むとか、精液と愛液と血液がベッド云々とか。
ただただ淡々と語る。
そして、そこで彼女の意識は生まれたのだ、と。
実に哲学的だ。
あらすじを大まかに説明すると、
少女時代、3人で共に自殺を誓ったが、自分は死ねなかった主人公は、ずっとそれを胸に抱えていた。
そんな中、もう1人の生き残った友人が、目の前で自殺。
何千人もの同時自殺事件が発生し、社会は混乱する。
そして、犯人は宣言する。いつでも誰でも自殺させることが出来る、と。
だから、5日以内に、1人殺すこと。そうしなかった者は自殺させる、と。
社会はますます混乱し、殺人や心中が多数発生する。
主人公は、事件を追う内に、死んだはずの女(共に自殺を誓った女)が生きていることを知る。
女の目的は、世界の秩序を影で守るものたちに、ハーモニーのボタンを押させること。
ハーモニーとは、全人類が共存するためのシステム。
全ての意識というか自我は消失し、全ての人は1つになる。
争いも諍いもない世界が生まれるわけだ。
はたして、それが幸福なのか?そこに魂はあるのか?というのが本作のテーマなわけである。
女はその世界を幸福とし。混乱を収め、人類を存続させる必要がある状態にし、ハーモニーのボタンを押させたい。
女は潜在的に意識を共有している民族の出身で、8歳の時、戦争で攫われ、毎日軍人たちに犯されいる時に、意識が生まれた。
女は、元いたハーモニーの世界へ還りたい。そして人類全てをハーモニーへと誘いたいわけだ。
個人的には、本作はハッピーエンドであると思っている。
ラストシーン。主人公は彼女の意志を受け入れ、意志など存在しない世界を選択、享受するが、
彼女だけは、その世界へ行かせない、と、彼女を抱きしめたまま銃殺する。
最後の言葉は、愛してる。
そして、ハーモニーのボタンが押され、世界は1つになった。
あれだろ?なんか深いだろ?色々考えさせられるだろ?
単純に善とか悪とか、そんなものじゃないだろ?
それがいいんだ。
物事はある側面から捉えれば、善でも、別の側面から捉えれば、悪ということは多々ある。
それを一元化しようとする社会はつまらない。
何にでもレッテルを貼ろうとして、ヲタク=キモイとかイメージを作りたがる。
俺はそれに抵抗したいね。
ああ、ちなみに、私は全ての人類が意識を共有した自我のない世界はつまらないと思っている。そんなものに幸福は感じない。
死んでるのと一緒だ。そこに魂はないと思うね。
それにしても、上田麗奈さんの謎めいた女の演技がすごくて観終わった後ゾッとしたなぁ・・・。
沢城さんの主人公も、もちろん素晴らしい出来だったけども。
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