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2015年09月15日02:32

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「ピース オブ ケイク」

 
多部未華子演じる志乃は、恋にだらしない女の子。
なんで、あんな男やこんな男とああいう事しちゃうのか、と観ていて腹立たしい思いを抱いたりするけれど、それも、志乃に惹かれ、放っておけない気になってしまっている証拠でしょう。
多部ちゃん以外の女優が演じたなら、嫌悪感の方が勝っていたのでは。
素はとてもおとなしそうな彼女をキャスティングした製作陣の勝利でしょう

驚いたのは、クライマックス。
あんなに叩きつけるように盛り上げてくれるなんて!
溢れくる感情で、喉の奥が詰まりそうでした。
まさか終盤に、こんなに嬉しい展開が待っていてくれたとは。

が、そのまま和解から再燃になだれ込んだりはせず、じらしが入るのは、脚本家や監督からの観客に対する憎い駆け引きか。
この後、どれだけ愛しているかの証しとして京志郎(綾野剛) が志乃に示す ” あれ ” が傑作。
あんなものを見せられたら、いっぺんで信用してしまうでしょう。

そして、志乃がナレーションで 「最悪!」 と叫ぶ幸福なラストがやってくるのです。
お約束の、という感じなのに・・・・、これまでも同じような遣り取りは他の作品で一度ならず観てきた筈なのに・・・・。
脚本と演出と役者のアンサンブルが見事な証拠でしょう、私を泣かせてくれたのです。

シナリオを担当したのは、湯布院に来てくれたこともあり、今年の同映画祭のゲストである山下敦弘監督と何本もコンビを組んでいる向井康介さん。
「一度くらいこういうラストを書きたかった」 と 『月刊シナリオ』 誌で語られていますが、空回りすることなく鮮やかに決まったハッピーすぎるようなラストでした。
ここだけでも繰り返し観たくなる。
メイキングも観たいかも。
リリース前には、DVDを買うかどうかで悩んでしまいそうです。

多部ちゃん、この映画に出演して、大正解だったね。
こういう多部ちゃんが観たかった!
バストがちょうど良いくらいにふくらんでいるのを冒頭のシーンで初めて知って、かなりドキドキしました。
十代の頃の数少ない水着写真を数ショット目にした記憶がありますが、こんなふくらみは確かなかったけどなぁ。
大人の女性になったんだ、と嬉しくなりました。
ちょっと複雑な気持ちが、なくはないですが。
彼女も、もう26歳。
プライベートも充実しているのでしょうね。
M.K.くんと噂になってましたし。 彼なら、まあ文句なしかな。

監督は、名バイプレイヤーでもある田口トモロヲ。
こんなに女優を魅力的に撮れるとは。
数年おきにメガホンを取り、これが3本目。
過去の2作 「アイデン&ティティ」 「色即ぜねれいしょん」 もなかなか面白く観たのですが、今作のように恋愛映画をこんなにキュートに撮れるとは想像していませんでした。
もっとコメディ色が強いのかと思いきや・・・・。
そういう要素もかなりあるのですが、それでいて程よく切ないし、胸キュンだってさせてくれるのです。
とにかく、登場人物が皆、魅力的!
これからは、2〜3年に1本ぐらいのペースでどんどん撮っていってもらいたいもの。
色んな若手女優を起用して、彼女たちから新しい魅力をたっぷりと引き出してほしいのです。
いっぱい出てくるキスが、ちゃんとリアルだったのも好印象。

そうそう。
初のオネエ役の松坂桃李くんがすごく良くて。
きっとノリノリで演じたのでしょう。
かなり研究したのかな。
これから彼を見たら、今回の役を連想してしまいそうなぐらい、はまってました。

また、今夏の湯布院映画祭にプライベートで来てくれた柄本佑くんが、適度に嫌な男を好演。
嫌すぎなくて、良かった。
湯布院で言葉を交わしたことのある俳優が、ひどい悪役を演じるのを観ると、ちょっと悲しくなってしまいますから。

映画祭といえば――。
冒頭に書いたクライマックスシーンで、恋から逃げるように疾走する多部ちゃんを観ながら、”来年の高崎映画祭で受賞してほしい!” と願ったのでした。
授賞式に駆けつけて拍手を送りたい、と強く思ったのでした。

大人の女性役だって、十分いけそう。
彼女の新作が楽しみでなりません。

原作マンガを読んでみなければ。




※タイトルの意味は、「たやすい事」
 
 
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