mixiユーザー(id:465506)

2024年04月15日07:24

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Fake Memory


【保管用です、スルーしてください】

 THE WAY WE WERE(追憶)

 そのころぼくらは
 世界をハンマー投げする遊びに 打ち興じていた
 といはいえ飛んでいるのが世界か 
 それともぼくらのほうなのかさえ
 ほんとは定かでなかったのだが

 時は 火矢だった
 ときどきカチカチ山のように火の粉がぼくらの背に落ち
 有徳者(うとくしゃ)の軒先から無断で借り受けて
 背負っていた苔むした薪に燃えうつった
 その度にぼくらは 声をかぎりに喚 (おめ) き地団太を踏んで
 自身の肺活量を誇示した

 時の手のひらから伸びる指はひょろ長く
 その先にはもっと長い爪が生えていた
 ひとたびその手のひらが翻れば そこはアイガーの北壁
 ぼくらはその壁を登ろうとしていたのか 降りようとしていたのか
 それを教えるという伝説の賢者たちは すでに死に絶えて久しかった

    ('11,5,6 作 / '12,11,2 車窓で少し手直し→’24,4,14さらに手直し)
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