【保管用です、スルーしてください】
THE WAY WE WERE(追憶)
そのころぼくらは
世界をハンマー投げする遊びに 打ち興じていた
といはいえ飛んでいるのが世界か
それともぼくらのほうなのかさえ
ほんとは定かでなかったのだが
時は 火矢だった
ときどきカチカチ山のように火の粉がぼくらの背に落ち
有徳者(うとくしゃ)の軒先から無断で借り受けて
背負っていた苔むした薪に燃えうつった
その度にぼくらは 声をかぎりに喚 (おめ) き地団太を踏んで
自身の肺活量を誇示した
時の手のひらから伸びる指はひょろ長く
その先にはもっと長い爪が生えていた
ひとたびその手のひらが翻れば そこはアイガーの北壁
ぼくらはその壁を登ろうとしていたのか 降りようとしていたのか
それを教えるという伝説の賢者たちは すでに死に絶えて久しかった
('11,5,6 作 / '12,11,2 車窓で少し手直し→’24,4,14さらに手直し)
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