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2024年02月16日22:13

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都響第994回B定期@サントリーホール

本日が満88歳の誕生日となるマエストロ・エリアフ・インバル氏の指揮でショスタコ
ーヴィチの9番とバーンスタインの交響曲第3番「カディッシュ」というプログラム
カディッシュは8年前に同じインバル氏の指揮で聴いておりますので、本日は再演です

先ずはショスタコですが、ワタシはどうも苦手でだから記憶にもない、デ・プリースト
氏が常任時代に聴いているかも知れないと思いましたが、アーカイヴで調べるとそも
そも9番が取り上げられる機会は極めて少なく、この40年間に2回しかありません
そのいずれもワタシは聴いておりませんので、今日が初なのですね

タコさんといえば陰々滅々と思っていましたが(だから苦手)、9番は全然そんなこと
はなくて、演奏時間も30分もかからない(パンフには30分と書いてありましたが)、
ユーモラスというパンフレットの解説よりはむしろコミカル、アメリカの戦前のドタ
バタ映画のBGMみたいな感じで、プロコフィエフかと思うくらい

それを今日で米寿のマエストロはいとも軽やかに、終楽章の大詰めなんて猛烈な
アッチェレをかけて、年齢を感じさせません(同い年の小澤氏の晩年を考えると…)
また都響もそのテンポによく付いていってます(今日はストコフスキーシフトです)

休憩後のカディッシュは再演とはいえ朗読のテクストが違います
元々作曲者自身が台本を書きましたが、どうも気に入らなかったらしく(神の存在と
悪の問題というテーマについては単なる傍観者に過ぎないと思っていた)、もっと切
実なものを欲していて、ホロコーストの生還者である法律家・外交官・作家のS.ピサ
ール氏に新たな台本を依頼しました
前回はそのピサール版によっていました

しかし、ピサール氏の没後その台本による朗読は夫人と息女に受け継がれ、かつその
遺族でなければ上演を許可しないということになり、今回はその夫人とご息女の来日
が叶わず、結局バーンスタインによるオリジナル版での上演となりました
この上演許諾はピサール氏の遺志かと思っていましたが、バーンスタイン財団の意向
によるものだということです(バーンスタインの台本によるものを推奨するのかな)
ピサール氏の体験に基づく、生々しい「神の沈黙」に対する問いかけに比べて、少々
観念的なものになったきらいがあります

だけれども、無信心者であるワタシにとってはいずれであっても今ひとつ実感が伴い
ません(それは無関心ということではないのですけど)

バーンスタインがこの曲を初演する直前にJ.F.ケネディ大統領が暗殺され、ピサール
氏が改訂版のテクストを書くきっかけとなったのは2001年の同時多発テロでした
そして今現在もガザ地区では壮絶な争いが継続中です
神はどうして沈黙を守っているのか、その答えは見いだせないまま今日のコンサート
は行われ、音楽自体は拍手喝采のうちに終わったのですが

演奏は見事でした
ソプラノ独唱を受け持ったのは冨平安希子さん、名前でわかるとおり本日の合唱(新
国立劇場合唱団)の指揮者冨平恭平氏の夫人です
児童合唱(楽譜の指定は少年合唱となっていますが)の東京少年少女合唱隊も小学校
低学年と思われる男の子もいましたが、ヘブル語(文語)とアラム語(口語)による
言葉も音取りも難しい声楽パートを歌いこなしておりました

こういう内容のコンサートに対する感想は難しいですね(前回もそうでした)
神様だって沈黙しているくらいですから
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