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2023年12月19日22:36

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都響第990回B定期@サントリーホール

本日の公演はポーランド出身のアントニ・ヴィト氏(芳紀79歳)指揮によるご当地
ポーランドの音楽、これまでもウルバンスキ氏やペンデレツキ氏の自作自演などが
ありましたが、ヴィト氏はワタシにとって初めてと思ったら5年前にショパンの協
奏曲とルトスワフスキの交響曲というプログラムで聴いておりました

本日のソリストには今をときめく反田恭平氏で、これはチケット完売しますわな
但し曲目はショパンではなく(これは指揮者の意向かソリストの意向か)まさか
のラフマニノフの2番で、完全なポリッシュ・プロではありません

まずは時節柄キラール作曲の前奏曲とクリスマスキャロル
作曲者についてはまたまた初めてかと思いましたが、過去の日記を参照すると9年前
にウルバンスキ氏指揮の東響で交響詩「クシェサニ」を聴いておりました(あぶない
あぶない、でもそのときはキラルと表記されてました)
それにキラール氏は映画「戦場のピアニスト」の音楽を担当されたということ、知っ
ておいてもよかったですね

クシェサニのときは思ったほどアヴァンギャルドな感じはしなかったのですが、本日
の「キャロル」は弦楽と4本のオーボエによるという編成も奇抜、ストコフスキーシ
フトによる配置は作曲者の指定でしょうか(但し、今夕は全ステージこの配置で、
日記によると5年前もそうだったようです)
パンフレット解説では紗幕のような響きとありますが、そんな感じですね
トーンクラスターをもっとデリケートに、刺激を取り去ったように聞こえます
そこにオーボエが交互にCis音を基準にして短三度、長三度、長二度、増四度の跳躍を
繰り返す、どこがキャロルなのかはわかりません

これも解説によると弦楽だけの中間部で「今日はわれらの幸いなる日」の旋律が演奏
されるそうなのですが、ワタシその曲を知りませんし、知っていたとしても茫漠とし
たクラスターの中からメロディらしきものを認識するのは不可能でした

曲の雰囲気そのままにモヤモヤした状態で、続いてはお待ちかねの(聴衆が、ですよ)
反田氏登場であります
冒頭の鐘の音を模したf mollの和音連打の左手は、分散させることなくそれぞれ一発
で決めていきます
よほど手が大きいのかな(ワタシは特に小さくはないんですけどキツイです)
打鍵力もppから初めてクレシェンドしていくと驚くほど強い
後はもう一瀉千里、期待に違わぬ快演でスタンディングもでる拍手喝采となりました
皆さん、前の曲の溜飲を下げたかな(キラールさんごめんなさい)

ソリストアンコールはショパンの遺作のノクターン(戦場のビアニストで一躍有名に
なった)だったら出来すぎなんですけど、シューマン/リストの献呈でした
これまた技巧はあって当たり前、別にそれをひけらかすためにやってるんじゃないよ
と言わんばかりで、参りました

休憩後のペンデレツキは、これまで度々書いてきましたが、トーンクラスターの大御
所と言われるのは不本意みたいに作風を変えていき、本日の交響曲もそういう転換期
に書かれたもののようです
確かに、擬古典主義ではないものの三和音が躊躇うことなく鳴り響き、注意深く調性
感は避けつつも旋律線は無機質なドデカでもありません
こういうところが共産主義の無神論に対する抵抗のようにも思えます

事ほど左様に侵略と圧政に耐えてきたポーランドの歴史を物語るような、それに対す
る救いが三回ほど現れる「きよしこの夜」の断片で(これはワタシにもわかります)
しかしそれでも平安は訪れず、空五度で全曲は締めくくられました

このとき時計は21時1分、これなら21時8分発新横浜行きに間に合いそうです
一応アプローズは贈って、しかしカーテンコールは失礼してホールを後にしました
で、こうしてその日のうちに日記を脱稿できたわけです
(このあと加筆・修正が入るであろう)

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