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2023年11月07日09:22

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リチャード・オスマンのThe Last Devil to Dieを読んだ

リチャード・オスマンのThe Last Devil to Dieを読んだ
あの木曜殺人倶楽部のシリーズ4作目、最終編です。
絶対読めば、好きになります。そして最後は寂しい気分にもなりました。
吹きだし笑いの連続で、とぼけか、認知症か、ホントのジョークかわからなくなります。

相変わらずの老人ホームのメンバーが新人も加えて総動員します。
これまでも読むたびに、メンバーの過去が明らかになり、驚きましたが、エリザベス、スティーブンのみならず、イブラハムが麻薬業者コニーと親しく、ロンも組合幹部の肩書以外の古傷があり、なんと皆が驚くべき過去を持つ憎めない悪党だったとは、驚くと同時に、そうでないとあり得ないなと感心したりします。
そしてメンバーの友人で、知り合いだった古物商が殺され、メンバーは犯人を探し求めて動き始めるのです。

葬儀の席では警察官なのにボグダンは「クルデシュは善人だった。ここに列席の仲間は善人じゃないが、我々は必ず犯人を殺してやる」と言います。さすがにドナから「逮捕するか殺害するでしょ」と補足されます。
とにかく全員がこんな調子で話をする姿には吹きだすしかないのです。脛に古傷を抱えたメンバーで彼等流の正義を貫くのです。

とぼけた、ピント外れの会話の中に老人ホームのメンバー達ですが、リジ―(エリザベス)の夫スティーブンの認知症を自覚して悩む姿や、自筆の自分宛の手紙を毎日読んでくれというあたりはリジ―でなくとも泣かされます。同世代のものとしては、腹を抱えて吹き出し笑いをしながらも、ほろ苦い老人の悩みが一層感じられ、身近に感じられます。
本当に面白くて、でも気が付けば、メンバーみんなが憎めない悪人(ワル)だった。

警察のクリスや、ドナまでもメンバーに嘘を言い、アリバイを依頼するのには笑うばかりです。

物凄く本編は評判も良いのですが、しばらくは別のシリーズを書くようです。またメンバーの登場する新作を書くつもりだと後書きにありました。

古物商のクルデシュはある日、身なりのいい男が来て、古い箱を持ち込み、50ポンドで買い取らせ、明日若い男が500ポンドで買いに来ると告げたのだ。箱の中には何も入っていないと言ったのだ。
そして翌日クルデシュの死体が発見されたのだ。車の中で運転席の窓を通して射殺されていたのだ。そして道路にはもう一台の車のタイヤの跡があり、すれ違いざまの殺しだと思われた。まさにプロのヒットマンの仕事だった。

クルデシュの店には高級コートを着た見知らぬ男が訪れていると判明した。
男はきっと麻薬関係のマフイアだと木曜殺人倶楽部メンバーはにらむ。
ボスのミッチか、ホルトだのどちらかであると、彼等を見張り始める。
するとホルトがメンバーの車の前に現れ、「ロンもイブラハムも悪い奴と仲間だし、リジ―もバッグには常に拳銃を隠してる。そんな奴らがなぜ俺を見張る」と開き直られるのだ。
メンバーはクルデシュの店の箱には麻薬が入っていて取引に古物商が利用され、殺されたと考えたのだ。
おまけにボスのミッチがロンの所に現れ、メンバー全員の前で「ブツさえ戻れば俺は何も言わない」と。メンバーは麻薬の件は全く知らないと返事します。彼等はクルデシュ殺しの犯人を見つけたいだけだった。

その過程で、スティーブンが年老いて認知症になりつつあることを、他人が書いた手紙のように書き、リジ―に毎日読んでほしいと伝えるのです。彼の悩む姿はなんとも同年配のものとしては寂しく悲しい話です。
老人ホームに現れる狐に「スノーィ」と名前を付け、可愛がっていたがその亡骸を葬ってあげるのです。
そしてスティーブンはリジ―に髪をなぜてもらいながら静かに息を引き取るのです。

また、「ロマンス詐欺」に騙され5,000ポンドを失った新入の男の金も取り戻すべく動きます。
そしてマフイアのホルトが殺されクリスが発見しますが、銃声を聞いたメンバーがクリスに電話して駆け付けたことにする偽アリバイ工作には驚きます。クリスお前もか、です!

その後も、古物商と電話していた偽の有名人サインをするサマンサも殺されます。マフイアのボス、その部下も殺され、今回は次々関係者の死体の数が増え続けるのです。
事件は混とんとしますが、エリザベスが「ヘロインのある場所を見つけた」と言い、罠を仕掛けることにしたのです。
(前作でもエリザベスは「駅前のロッカーに入ってる」と言ってなあ)

メンバーから30分の間に消ええてくれと言われる殺し屋は、リジ―から「もう人殺しはやめてね」と言われます。「やめるよ。でも悪人は殺す」

登場人物みんなが嘘をつき憎めないワルなのは、笑うしかないメンバーそれぞれの様子を書き終わります。
最初からとぼけた会話、かみ合わない会話を面白く読みながら、最後になりました。

老人ホームには新しいメンバーもできました。木曜殺人クラブの再開を期待しましょう。
オスマンのユーモアとジョークは本当に素敵だと改めて感じました。
このシリーズは何度吹き出したことか。老人のボケが身近に迫ったものには、楽しく、笑いながらもLast Devilはほろ苦く終わりました。
数年以内に新シリーズの木曜殺人倶楽部を読みたいものです。

余談:
*エリザベスは初めて愛称リジ―と呼ばれてた。ベス、エリーではなかった。
*原作はWaterstonesのサイン入り限定版(定価£22)を買いましたが、サイン無しの限定版も既に売り切れました。定価で予約はすぐに完売。Viking市販のみがW書店でも売られています。
*Wの限定版には「小説には挿入されなった章」が収録されています。その上、小口に11匹の狐の絵が刷り込まれています。市販のViking版は白紙のままです。

W書店、Goldsboro とも限定版には小口に毎回、狐の絵が5〜13匹刷り込まれています。
流石に凝っています。

*オスマンの新作は「Father in LawとDaughter in Law Force」のペアのようです。



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