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2023年09月16日18:30

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「名曲」を「新鮮」に愉しむことの喜び・・・豊中名曲

いやあ、まさかこんなに楽しめるとは思ってなかったです。

豊中 豊中市立文化芸術センター大ホール
センチュリー豊中名曲シリーズVol.27「変心」
延原 武春指揮 日本センチュリー交響楽団
(客演コンサートマスター 会田 莉凡)
ヴァイオリン:小栗 まち絵
メンデルスゾーン:「フィンガルの洞窟」序曲 作品26
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
(ソリストアンコール J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番から「ラルゴ」
メンデルスゾーン:交響曲 第3番 イ短調 作品56「スコットランド」
(アンコール J.S.バッハ:管弦楽組曲から「アリア」)

オールメンデルスゾーンプログラム。正直言って、「名曲」を「当たり前」に聴く、というために参加する、はずでした。ぐすたふくんの認識はそんなもの。

ところが、ところが・・・いつものように、「変心」(明らかに、カフカの「変身」のオマージュ)という一風変わった短編の朗読と写真の展示が導く演奏会は、それこそそこで僕が当たり前のように聴いてきた「名曲」が「変身」を遂げるわけで・・・

正直、3曲とも、こんな曲だったっけ?、という新鮮な驚きに満ちたもの。

細かいことを言い始めるとキリがなくて、一つだけ挙げるなら・・・ヴァイオリンコンチェルトの冒頭旋律。普通なら「シーシシーソ、ミミーシ、ソファミドミシー」とワンフレーズ・レガートだと思うのだけれど、それが「シーシ・シーソ、ミ・ミーシ、ソ・ファぁミ・ドォミ・シー」と細かいアーティキュレーションをつけて歌われる。そのアーティキュレーションは、ソロのみならずオケにも統一されていて、そうした細かいアーティキュレーションやニュアンスがビシッと決まることで得られる感興は、まことに新鮮極まりない。まるで、違う曲を聴いているみたいです。

恐らくそれ故でしょう、ソリストの小栗さんは終始楽譜をみての演奏。プレトークで、延原さんは、「もうこんな曲、全部頭の中に入っておられるんですが、あえてそれでも楽譜を見ていただくことにしたんです。それで、それを見て感じていただくということで・・・」と言っておられたが、いやいや、ここまで本来の自分のレパートリーとしての演奏と違うことをやろうと思ったら、楽譜を見ないと無理でしょう。かなり入念に練習をしたものと想像します。

そんなもんで、フィンガルもスコッチも、これまで僕が「普通」に聞いていた演奏とは一線を画す、なんとも新鮮な味わい。一番関心したのを上げるなら、スコッチの3楽章の「タータッタ・タータッタ・タタタタター」の繰り返しを、最初はえ?と言うくらい弱く演奏し、そして出現するたびに段階的に入念にダイナミックスを上げて、最後の最強奏に到達する様。これも見事でした。

その一方で、4楽章のアレグロでみせる、ストリングセクションを覆わんばかりのホルンとペットの咆哮など、ここぞというところでの演奏効果も見事なもので、いやいや延原翁の芸達者ぶりには呆れんばかり。

「通俗名曲」をここまで「魅力的」に仕上げるのは、並大抵のことではないと思います。この延原翁の策士ぶりに、見事にレスポンスするセンチュリーの上手さも半端ない。やっぱり、「豊中名曲」、侮れませんな。

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