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2023年03月23日20:46

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鬼一法眼三略巻@国立劇場

1966年開場の国立劇場の老朽化が進み、今年9月でいったん休館し、建て替えによる再
開は6年後になるという、そのさよなら公演が現在行われております
法人税法上の耐用年数は41年ですから、それから考えるとずいぶん期限を過ぎている
もっとも税法上の耐用年数は減価償却費を計上できる期間と言うことで、必ずしも物理
的経年劣化の年数ではありません
とはいえ税法上の資産価値が10分の1になって久しいのですから、税金を使って建て替え
るのも妥当でしょうね、第一安全上も問題があります

ということで、今月の演目に選ばれたのは日記標題の作品で、長〜い物語の中から
一番有名な四段目の通称一條大蔵譚と幕切れとなる五條橋の場であります
渡辺保さんの歌舞伎手帖によりますと「片岡十二集」の1作らしいのですが、現在ある
形にしたのは初代吉右衛門丈とのことで、本日はその播磨屋さん後継者である中村又五
郎さんとご子息の歌昇さん・種之助さんご兄弟、ワタシの推しメンでありますから、一
も二もなく半蔵門まで雨の中を出かけたような次第です

一條大蔵譚でも、本日は上演されることまれな曲舞の場を演ずる、これは故二代目吉
右衛門丈のたっての願いだったそうです

主役の一條大蔵卿は平家調伏をもくろんで、しかしそれを悟られぬため阿呆を装って
いる、いわば祇園一力茶屋の由良之助みたいなものですね
白塗りにしたバカ殿の扮装で(殿ではなく公家なのですが)、しかし要所要所で実は
賢いところも見せなければならない、しかも舞の名手でもあるという難役です

ワタシはスカパーの衛星劇場で二代目吉右衛門丈の舞台と当代勘九郎さんの舞台を拝見
しておりますが、阿呆のこしらえにばかり気が行っておりましたので、今回は改めて秘
められた賢者の要素を見いだそうとしておりました

でもやはり又五郎丈は気のいい役柄がお似合いなのですね
しかしそれを逆手にとって、平家から様子を探りにやってきた播磨大掾広盛を阿呆の振
りをしてからかうところが面白い、客席からも笑いが起こります
二人のご子息、歌昇さんと種之助さんも父親に先んじて一條大蔵卿を演じたことがある
そうで、二代目吉右衛門さん亡き後も播磨屋は安泰でありますな

客席ワタシの斜め前に5,6歳くらいの男の子が母親らしき女性に伴われて舞台鑑賞し
ておりましたが、お子ちゃまには無理じゃないのと思っていたら、いたって大人しく
していたのに感心、どうも見た目が獅童さんのご子息陽喜君に似ているような気がする
(違っていたらごめんなさい、って誰に謝っている?)
獅童さんは又五郎さんの従兄弟ですから、あり得ないことではない
それにしても、大人しく聴いてはいたが、ひとかけらもわからなかっただろうな
ワタシは600円を投じて上演台本を買ったので、かろうじて理解できました

本日付け足されていた原作五段目の五條橋の場は、童謡で有名な「京の五條の橋の上」
の弁慶と牛若丸出会いの場面で、これを歌昇君(弁慶)種之助君(牛若丸)が息の揃っ
た所を見せる、ファン・サーヴィスみたいなものですね
牛若丸に薙刀を取り上げられてしまった弁慶がさりげなく(どさくさに紛れて)ペッパ
ーミルの所作をするのは、これこそサーヴィスですね(歌舞伎ではこういう時事ネタ
をよく取り入れます)
もっとも客席は年配女性が多かったので(歌舞伎は大体そうですね)、気がついた人は
少なかったですけど
日経新聞の劇評欄では触れられていませんでしたが、WBC開幕前だったからですかね

冒頭に片岡亀蔵さんが源氏の旗揚げの解説を20分ほど語ってくださり、今回は曲舞の
場と五條橋の場を演じたため、上演時間は3時間強
終演後外に出ると幸い雨は小やみになっており、隠れた桜の名所といわれる劇場前広場
の桜は満開になっておりました

うれしさに自撮りなどもして、12時開演ということで昼飯抜きだったのに時間を潰し
半蔵門駅前の小諸そばさんに駆け込んで、いただいたのはもちろん鴨せいろです
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