今回のテーマは、家電と録画メディアである。本日パナソニックが、録画用ブルーレイディスクの生産終了を発表した。ツィッターの検索ランキングでも上位に入り、惜しむ声があがった。若者を中心にネットを通して、テレビ番組や動画の視聴者が多くなるにつれて、テレビやレコーダーは売上台数の減少に悩まされるようになった。事業規模も年々縮小の一途を辿っている。DVDやブルーレイを含む光ディスクの生産現場も岐路に立たされている。
前回の関連日記 2023年1月23日付け 日本人の海外永住権取得者が過去最高を記録する。倍速再生について 光ディスクの経年劣化 NHK受信料免除対象となるチューナレスTV
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1984225597&owner_id=32437106
目次
・第1章 パナソニックが録画用ブルーレイディスクの生産を終了する
・第2章 パイオニアが、長期保存を可能とするブルーレイディスクを発売
・第3章 4K放送開始 レコーダー業界とネット配信
第1章 パナソニックが録画用ブルーレイディスクの生産を終了する
家電メーカー大手のパナソニックは、1月23日に、同年2月末日を持って、録画用ブルーレイディスクの生産を終了すると発表した。2006年から17年に渡って続いた録画用ブルーレイディスク生産の歴史に幕を閉じる。
詳細記事 AV WATCH 2023年1月24日付
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1472732.html
テレビにもハードディスクが内臓している時代、録画用ディスクの使用頻度は下がる一方だった。もう一つ売上減少につながる原因は、レコーダーに内蔵されたハードディスクの大容量化である。
同社は愛用者向けに販売停止の理由を説明した。「コンシューマ市場においては、オンデマンド配信を中心としたビデオ視聴スタイルの変化やクラウドデータ保存の普及などにより需要が大きく減少しております。約16年間、続けてきました事業を継続できなくなってしまったことについては大変残念で申し訳なく思っております。本製品をお買い上げ、ご利用いただきましたお客様に心より感謝いたします」
写真=Panasonicのディスクの品質検証結果報告ページより
https://panasonic.jp/media/products/bd_feature.html
パナソニックは、2021年12月14日に、同年度内までにテレビの開発事業を16パーセント削減することを明らかにしていた。
コロナ禍による巣篭もり受容により、テレビ事業は令和3年3月期決算で、3期ぶりの黒字化に成功している。低価格帯のテレビでは、中国企業との競争に敗れ、生産を停止する。2021年度末まで、生産拠点をマレーシアと台湾の2カ所に絞り込む。利益率が低い低価格機種については、中国家電大手TCLと生産委託で合意するなど効率化を進めていく。
詳細 THE SANKEI NEWS 2021年12月14日 18時39分付け
https://www.sankei.com/article/20211214-KOBA4AVGKFIJ5CPUTH3H26NGYI/
写真=上記のページより
ブルーレイやDVDを含む光ディスクは、売上の減少に伴い、相次いで生産メーカーが撤退している。生き残りをかけて、各社特徴をアピールする。
第2章 パイオニアが、長期保存を可能とするブルーレイディスクを発売
音響メーカーのパイオニアは1月24日、100年以上の保存を可能とする1回のみ記録式ブルーレイディスク1層25gbと専用の書き込みドライブを含め、同月下旬に2規格発売すると発表した。
一つは、アーカイブBD-Rディスク「IPS-BD11J03P」、もう一つは法定保存文書など重要な電子データの保存に最適なJIS X6257規格に準拠したアーカイブ用Blu-ray/DVD/CDライター「BDR-WX01DM」である。
店頭予想価格は、IPS-BD11J03Pがディスク3枚組で2,000円前後、BDR-WX01DMが60,000円前後になる見通しである。
バーベタムが開発したM-DISCの推定寿命1000年に比べると、保存能力は落ちるとはいえ、ブルーレイディスクドライブに広く対応している。M-DISCは、書き込みの際専用のドライブが必要で、利便性は低い。レコーダーに関して、幅広い機種において読み込みは可能であるものの、書き込みに対応しているのは、SHARP製に限られる。
M-DISC 詳細日記 2022年7月18日付 光ディスクの寿命について、人の寿命よりも長いM-DISC 新型コロナ情報
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1982809962&owner_id=32437106
DVDとCDを含む光ディスクは、温度変化や直射日光に弱く、傷もつきやすい。後世に残すような貴重なデーターを保存するメディアが必要だった。
パイオニアが開発した製品は、長期データ保存用光ディスクの品質判別方法および長期保存システムの運用方法を定めたJIS X6257規格に準拠している。代替処理機能「DM for Archive」を使用することで、記録したデジタルデータを100年以上長期保存することが可能になった。
詳細 AV WATCH 2023年1月24日付 17時更新 パイオニア、データを100年以上保存できるブルーレイディスクとドライブ
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1472782.html
写真=上記のページより
アーカイブBD-Rディスク「IPS-BD11J03P」
アーカイブ用Blu-ray/DVD/CDライター「BDR-WX01DM」
確かに、外付けHDDと共に、テレビ自体にもハードディスクが内蔵したことにより、短期的に番組を保存することにおいて、ディスクの残す必要はなくなった。民法5社が協力して、視聴者に見逃し番組を提供するサービス「TVer」の存在も、光ディスクの購入者減少に追い討ちをかけているとみられる。TVerによる視聴可能期間は、番組の初回放送から1週間に限られている。
気に入った番組を、長期にわたって保存する場合は、ディスクへのダビングが必須だ。録画番組を保管するハードディスクも、壊れてしまえば、バックアップができない。今後テレビとインターネットが一体化したモデルが普及し、SDカードやUSBを含め、幅広いメディアが、番組録画に対応していくことが予想される。
第3章 4K放送開始 レコーダー業界とネット配信
AmazonプライムやNet flixなど、インターネットでの動画視聴者が増えるにつれて、テレビやレコーダーの売上台数は落ちていく一方である。実際に2011年7月24日の地上派アナログ放送終了に合わせて、買い替え需要があった同年に売上620万台をピークに減少傾向にある。
レコーダー業界は、新たな技術開発を急ぐ。2018年11月16日に、Panasonicが業界初となる4K放送を記録できるレコーダー「DMR-SUZ2060」を発売した。
詳細 J-CAST トレッド 2018年11月15日付
https://www.j-cast.com/trend/2018/11/15343574.html
ディスクの方でも、4K放送に合わせて、大容量化を実現した。2018年11月10日に、SONYが業界初4層式128gbの1回録画用のブルーレイディスクを発売する。書き込み速度は4倍速だった。同2018年11月24日に4Kモデルを新発売するSHARPの機種も4層ディスクの書き込みに対応した。
詳細 AV WATCH 2018年10月18日付
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1148542.html
写真=上記のページより SONYが発売した1回録画方式のBD-R 128GB 「BNR4VAPJ4」
レコーダー業界に追随するように、ネット配信サービスの方も4K放送を開始した。欧米では、AmazonプライムやNetflixなど、ネット配信が普及しはじめている。
日本では、料金を払ってネットで番組を視聴することに抵抗がある人が多い。ネット番組は、その場限りの視聴には適しているとはいえ、長期保存を考えると、ディスクへの書き込み以外、方法はなかった。
光ディスクは、日本では生き残っていくとみられている。動画配信サービスの利用者が増加するにつれて、テレビの視聴時間は減りつつある。レコーダー業界は、買い替え需要を高めるため、改革を重ねていく。
パナソニック、録画用Blu-rayディスクを全て生産終了 後継商品はなし
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=32&from=diary&id=7273484
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