やはり、世界にその名を轟かせるだけのことはあります。
京都 京都コンサートホール大ホール
KDDI スペシャル アンドリス・ネルソンス指揮 ボストン交響楽団
アンドリス・ネルソンス(音楽監督)
キャロライン・ショウ:Punctum(オーケストラ版)[日本初演]
モーツァルト:交響曲第40番 ト短調 K.550
R. シュトラウス:アルプス交響曲 作品64
ただただ、弦の美しさと力強さに圧倒される。
1曲目は調性音楽のパッチワークの中からバッハのマタイ受難曲の「受難コラール」が浮かび上がってくるという趣向の弦アンサンブル。旋律の断片をつなぎ合わせたり、変移させていくあたりの手法がモダンな作品なのだが、聴いてるぐすたふくん、そんなところには全然気持ちがいかず、ただただ「いい音だなあ」と耽溺するのみ。
2曲目の40番は、1960−70年あたりのレコードで聴かれたような、ゆっくりしたテンポで12型の弦を存分に鳴らす、極めてオールドファッションなスタイル。特にどこがどうという演奏でもないのだが、そんなことどうでもいいやんかと、ここでもその遠赤外線が如くの暖かさを放散する、ストリングスサウンドの美にただ酔いしれるばかり。
そして、16型フル編成(15−13−13−10−9)となって変則四管オルガン付の巨大オケとなったアルペンは、「オーケストラを聴く」ことの「至高」「究極」のご馳走。まあ、なんて素敵な音の饗宴なんでしょう。それ以上の言葉がでてこない。
ここまで、「オケのサウンドそのもの」に酔ったのはシュターツカペレ・ドレスデン以来ですね。そういえば、あの時もオール・シュトラウス・プログラムだったなあ。申し訳ないが、外来オケのリヒャルト・シュトラウスを聴いてしまうと、いったいこれまで国内オケで聴いていたのはなんだったのか、という言葉がついつい口を突きそうになってしまいますね。
これだけの演奏を聴いていたのが、500人もいないんじゃないかという京コンの惨憺たる入りを見ると、なんかボストン響に申し訳なくなってしまいます(天下のボストンですぜ)。京都とボストンが姉妹都市ということからおそらく京都に寄ってくれたんでしょうが、まあ心からありがとうと言わせてくださいませ。
ただ、聴衆はスタンディングでネルソンスさんを呼び返すまで拍手を続け、オケの面々も笑顔で手を振ってくださったのには、救われた気がしました。
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