数年前まで、ほとんどテレビドラマを見なかった。
テレビ自体、アンテナと繋げていなかった。
でも日常生活が変わって、今はかなり見るようになっている。
そこで今期の連続ドラマ。全体としては、結構充実してました。
『アバランチ』 30点以下
酷い内容。出だしは良かったけど、最後に大こけした。始まりの3話くらいまで、映像のクオリティが映画に近い高さで、役者陣も豪華で、引き込まれた。
でも最後は、全く腰砕け。勝手に都合よくタイムスリップして、最後は見事なほどに締まらなかった、とてつもない駄作の『テセウス』並みの崩壊状態。
『最愛』 78点
あまり熱心には見ていなかったけれど、最終回は、素晴らしいエンディングになった。それは脚本と役者(特に井浦新さん)の勝利。全てが見事に収斂していく様は、『ゴッドファーザー』のラストのシークエンスのようだった。
『二月の勝者』 85点以上
ドラマはこういうことでいい、と思わせてくれるヒューマンドラマ。設定がリアル。役者の演技が素晴らしい。柳楽さん、まじ天才的。それと学習塾なので、子役が重要。日本の子役は、すぐにありえない喋り方(いかにものセリフ読み)やエーン泣きをして、画面と作品がいきなり白けてしまう。ドラマ・演技大国の韓国映画やドラマでは、そういうことは絶対にない。でも、このドラマに出てくる子役たちはみんなリアル。素晴らしかった。久々の井上真央さんもグッド。
『スナック キズツキ』 85点以上
これも物語、設定、演出に強いリアリティがある(『アバランチ』などの駄作ドラマにはそれらがない)。特に現代的に、ミニマルで、それでいて今生きる人のリアルをそのまま提出する演出は傑出していた。原田知世さんのキャスティングも正解。
『映像研には手を出すな!』 90点
NHKで放映されているアニメ。原作ものだが、とてつもなくセンスが良く、仕上がりがすごい。湯浅政明監督作品の中でも最も好きだし、彼の長所が全開になっている。
<総評>
視聴率狙いなのか、すぐに人を殺して、サスペンスとか、謎とか、「考察ブーム」となるが、別にドラマで人が死んだり殺されたりする必然はない。これをやって大失敗したのが『アバランチ』。
『二月の勝者』や『スナック キズツキ』では、きちんとしたドラマづくりが勝利する様をしっかりと見せてくれた。
『映像研には手を出すな!』はまったくノー・マークで、偶然見たようなものだったけれど、予想の数倍上をいく、驚くべき作品になっていた。
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