ひょいっとレベルアップする時が有る。
その時、眺めが変わる。
※
一階にいたのが二階に昇ればそりゃあ見えるものも変わる。
天井だと思って見上げていたものは床になる。
その時、価値観も変わる。
なんせ手が届かないと思っていた天井を、足で踏んでいる。
一階にいる時は天井が落ちてくるのを恐れたが、
二階に上がったら床が抜けないように注意する。
三階が在ることを、二階から昇る階段を見付けて、やっと知る。
更に屋上へ出たと思ったらヘリポートから飛べることに気付く。
しかしまずは風に飛ばされて落ちないようにしなけりゃ。
※
屋上にいる人が、一階にいる人に向かって
「風が強いから気を付けて」と言うことは
なんの役にも立たない。
「屋上にいる人は天井が落ちてくることに何の備えもしていない」と
一階にいる人が心配するのは馬鹿げている。
自分のいる所によって、見えるものや大事なことは異なる。
3階や屋上まで行ったことが無くても、
1階から2階に上がった経験から、その先にまた違った世界が在ることを
推測することはできる。
上の階にいる人の言っていることはよく分からない。
けれど、
「すんごい眺めいいよ!昇った甲斐が有るよ!気持ちいい!
早くおいでよ!」
なんて呼んでもらえたなら、そんな誘いには乗っといたほうがお徳ってもんだろう。
自分の位置からは見えないものを教えてくれたり、
階段を昇るときは手すりにつかまるといいってなことを言ってくれたり、
なんなら手を伸ばして引っ張り上げてくれるご親切な人もいるかもしれない。
足腰が弱いと上の階に昇れない。
でも二階から撮った写真を見せてもらえたりもする。
屋上からの写真を見たら、同じこの建物からそんな景色が見えることが
なかなか信じられないかもしれない。
いつもの街も見る角度によってこんなに違うものかと。
※
自分で階段を作らなくても、既に建物はできているのだから、
昇りゃいいだけの話だ。
どっこいせ
ログインしてコメントを確認・投稿する