薪ストーブを、ケチり始めた。
春が来たが、家の中でおとなしくしているとまだ冷える。
けれど、ケチり始めた。
老母のための介護ベッドを置いていたため、薪ストーブを出せなかった。
その3年間で、準備してあった薪がだいぶ傷んだ。
しかし、土に触れる前にきちんと乾かして、棚に積んでおいた薪は無事だ。
そういう良い薪は後回しにして、庭で朽ちかけた木を先に燃やしてきた。
この冬は、そうやって庭を片付けてきた。
冬の間にすることと言えば、庭木の剪定である。
伸び過ぎた木をいくらか切った。
朽ち木を片付けた庭に、また切った木を置いている。
これを切って土に付けないように棚に積まなければいけない。
春の雨の前に、作業を進めたい。
しかし、
今年の残りの薪と、この冬に切った分だと、
来年の冬の薪にやっと足りるくらいだ。
再来年からどうしようか。
近隣には農家が多い。
以前は隣家に頼んで、伐った木を譲ってもらっていたが、
そのご主人も亡くなってしまった。
別のお宅にお願いするか。
なかなか難しい。
※
知人のバーの改装のお手伝いをしている。
詳しくは今度ねちねちと詳細を書くつもりだ。
メニューブックを立てるための金具を作った。
真鍮の棒を使った。
金属磨きで磨いて、ライターオイルで洗って、
ピカピカ。
しかし、真鍮は錆びやすい。
テーブルの上の物だし、ピカピカを保ちたい。
クリアラッカーをかけたい。
細い棒3本にかけるだけだから、ちょっと有りゃいい。
持っていた気がする。
探してみると、ラッカースプレーはやっぱり有った。
が、振っても音がしない。
試しに押してみたが、出ない。
なんだ、空き缶を捨ててなかったのか?
いや私がそんなことをするはずは無い。
そうだ、友人Fの実家からもらってきたんだ。
既に空になっていたのか?
分からない。
※
翌日、Fから連絡が来た。
また実家に行くから、掘り出し物を掘り出しに来ないか、
という誘いであった。
行く!
午後に行くことにした。
※
数十分後、ツイッターにDMが入った。
私の借りている月極駐車場のすぐ横に養蜂園が有ったのだが、
そこの養蜂家さんからだった。
「須山さん、薪要りますか?」
要る!要ります!
養蜂園の引越し先の農家さんが、伐った木をくれるとのこと。
午後一番に取りに行くことにした。
※
行ってみると、伐った木は山のように有った。
おお。
養蜂家が火の神様に見えてくる。
「これで、どれくらいもちます?」
残っている分と、今年ウチで伐った分と、これと合わせたら、
来年は安泰です。
「そうか、じゃあ、今年はもういいですね。
来年また、どちらかにお願いしましょうか?」
ええっ、助かります!
本当にありがたい。
「今度ここに柵を立てるんですよ。手伝ってもらおうかな。」
もちろんでごぜえやす。
※
車の中にシーツを敷いて、木を積んでいく。
いかん、シーツに穴があいていた。
木には土が付いていて、朽ちかけのものも有る。
木肌がボロボロと崩れて車内に落ちる。
大きいブルーシートを買うか。
この後、友人Fの実家へ行った帰りにホームセンターに寄って、
シートとラッカーを買おう。
※
実家あるある。
物だらけ。
ゴミも使える物も未使用の物も使えない物も捨てるべき物も
みんなごちゃごちゃに置いてある。
その中から、物色する。
片付くし、捨てる物が減るわけなので、
貰えば貰うほど喜ばれる。
すぐに、シートが見つかった。
ブルーじゃない、濃いグリーンだな。
パッケージを見て納得、
トラックの荷物を上から覆うあのシートだ。
とても頑丈である。
これなら薪を投げ込んでも車内が傷つくことは無い。
わーい。
ラッカースプレーは5本くらい有った。
しかし、グレーとつや消しブラックばかりだ。
いや、まだ有るぞ。
別の場所からまた5本くらい出てくる。
またグレーとつや消しブラックだ。
ところがまた別の場所から1本出てきた。
透明のキャップ。
お目当てのクリアラッカーだ。
わーい。
※
ひとさまのお手伝いのためのラッカーは手に入るし、
薪は貰えるし、
薪を貰うためのシートは手に入るし。
あげる人も貰う人も嬉しい。
めでたしめでたし。
※
後部座席を倒して、長い物も積めるようにして、
貰ってきたシートを敷いた。
全部で5往復して木を運んだ。
農家の敷地の片隅で見ても山だった木は、
我が家の玄関周辺に積んでみると更に高い山になった。
わりに長くて重たい木なので、猫が昇ったくらいでは崩れないと思うが、
わりに長くて重たい木なので、うっかり崩れた時にはかなり厄介だ。
近所の幼なじみMに
「水の無いビーバーの巣」と言われた。
北米か!
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