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2021年03月27日10:20

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Klara and the Sun

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クララは、車椅子の病弱なお嬢様ではなく(←古いな)、AF (Articifial Friend)、特定の年齢層の子供に仕えるオーペア兼親友の人型ロボットである。とても近い未来が舞台の物語は彼女の目線で、淡々としかし友好的に語られてゆく。
クララは、もっと発達した機能(例えば臭覚)を備えた最新型ではないにしろ、その物事を洞察分析して吸収する傾向により、同レベルのモデルよりも感覚が発達している。買い手に選ばれるために、デパートのショーウィンドウに飾られている際にも外の世界の観察に怠りがない。ある日クララは、乞食とその犬が一緒に大通りの向かいのいつものスポットで長いこと動かなくなったのを見て死んでしまったのだと認識するが、翌日、乞食と犬が起き上がって座っているのを見て、太陽の光を浴びて生き返ったのだという解釈をする。AFである彼女自身が、太陽光線を栄養源として動いている事もあるかもしれない。
いくつかの出会いを経て、念願通りジョージーという不治の病を患う女の子の、裕福な家へ買われてゆくクララ。優しいジョージーの世界を通して、クララは人格(のようなもの)を形成してゆくが、最初に出会った時はそれなりに活発でさえあったジョージーの病状は次第に悪化する。そして、学校に通わないジョージーの友達(というか社会性を育むために接するの同年代の者)、ジョージーの母親、隣に住む幼馴染のリック、強力なキャラクターのイギリス人リックの母親(注:物語の舞台は英国ではない)、一緒に住んでいないジョージーの父親、そしてジョージーの”肖像画”を手がけるカパルディー氏などの間でいろいろな事が謎に包まれたまま少しずつ軋み始める。そんな中、クララはジョージーの衰弱に心を痛め、密かに信じ続けているある事を実行に移そうとする。
そのある事とは、生きとし生けるものすべてに滋養を与えてくれる慈悲深い太陽が、弱っているジョージーに気づいて救いの手を差し伸べてくれたら、という希望。もし忙しくて気づいていないのならばなんとかして気付かせたい。太陽が休息に向かう先、あのマクベイン氏の小屋に行き、あの乞食と犬を生き返らせた時のような恩恵をジョージーにも受けさせてもらえるようにお願いするのだ。そこでクララのとる行動は、人間の"祈り"に近い。そして、彼女の太陽に対して抱く感情は、古代人間の"太陽崇拝"に似ている。クララはそこで人間の罪を認め、ジョージーを救うために、太陽と(一方的な)取引をしてそれを達成しようと心に決める。
カパルディー氏の手がけている"肖像画"と、そこに見えてくる母親のもう一人の娘を失った過去。ジョージーとクララの行く末は?



「日の名残り」「Never Let Me Go」の著者カズオ・イシグロの新作が3月に出るという事で、子供達に「誕プレ何がいい」と聞かれた時にコレ!と言っていたのだけど、発売日が誕生日より前だったので、待ちきれずにポチッとして読み始めてしまったのであった。息子がボソッと「僕には本とかの発売が待ちきれないという気持ちがわからない」というので、何かに例えてそれがどんな気持ちなのか教えてあげようと思ったけれど、考えてみたら、何かに熱くなるタイプではないので彼にわかってもらえるような例が思い浮かばず絶句してしまった。彼は、文学はもとよりスポーツも音楽も映画もゲームも(もしかして恋愛も?)「待ちきれないほど楽しみ!」って事がないのかぁと思ったら、ちょっと寂しくなった。私が19歳の時は待ちきれないほど楽しみなものであふれていたような気がするけど、それは親元を離れて東京へ引っ越した時期と重なるからかもしれない。息子も、マンチェスター大学に戻ったらそんなような事がたくさん待っているといいけれど。


母の日に作ってもらったCroque Madameと花束。ヒヤシンスがとてもいい香りを放つという発見。
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わたしが50になった翌日に、連絡をまたずとも自分から予約出来るシステムようになったので、一番近い日を予約した。
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