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2021年03月08日00:01

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土曜は……

 土曜は、午後、映画2本。

 今日は黄金町ではなく、日ノ出町で電車を降り、駅前の「椿」で、煮干しとんこつラーメン。
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 今日、1本目の映画は、シネマジャック&ベティで、
 「春江水暖」。

 これは、2019年のカンヌで大きな話題となったグー・シャオガン監督による長編デビュー作。
 
 大河・富春江が流れる街、杭州市富陽。顧家の家長である母の誕生日の夜。4人の兄弟や親戚たちは、長男の営むレストラン「黄金大飯店」で祝宴を開く。その最中、母が脳卒中で倒れ、やがて認知症が進み、介護が必要となってしまう……
 レストランを経営する長男、漁師を生業としている次男、男手ひとつでダウン症の息子を育てる三男、独身生活を気ままに楽しむ四男。
 彼らは富春江のほとりでそれぞれの人生に直面してゆく……

 この映画は、山水画を生み出した風景と、そこで暮らす人々の営みを、季節とともに絵巻物のようにとらえていくと言うもの。描かれる内容にドラマは希薄で、娯楽的も要素は少ないが、正に富陽に暮らす人々の暮らしを切り取ったような映画は、彼らの生き様をのぞき込んでいるような不思議な感覚だ。
 たっぷりと時間をかけた撮影など、中国映画ならではの部分も多いが、演じている感じのしない現実そのものの雰囲気を生み出す演出、河の流れを意識したような、水平移動を基調とした驚異のワンカット長回し撮影などは技術的にも素晴らしい。
 映画のトーンとしても上品かつ落ち着いており、これが長編1本目の監督の作品か、と思うと行く末が恐ろしい。
 これもまた中国新世代映画を感じさせる1本だ。

 映画の後、川崎へ移動。
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 2本目は、チネチッタで、
 「野球少女」。

 これは、プロ野球選手を目指す女子高校生描く青春スポ根映画。
 主演は、日本でも人気の配信ドラマ「梨泰院クラス」のイ・ジュヨン。監督は、本作が初長編のチェ・ユンテ。

 最高球速134km/hを誇る天才野球少女チュ・スインは、高校卒業後にプロ球団で野球をすることを目指して誰よりも特訓してきた。
 しかし女子だからというだけでトライアウトを受けられず、母親からも反対されてしまう。
 そんな中、プロを目指し夢破れたチェ・ジンテが新しくコーチとして赴任して来るが……

 女性で130km/h以上の球速を出せるのは、映画の台詞にもある通り、世界に数人しかいないのは事実らしい。その中で、最高球速134km/hと言うのは正に女子野球では世界トップ水準なのだが、150km/hの剛速球を投げる投手がゴロゴロしているプロ野球の世界では通用しない。
 でも、スインはそれに納得が出来ないのだ。幼馴染みでリトルリーグから一緒にやって来た男子選手はプロからスカウトされた――リトルリーグから中学までは自分の方が上手かったのに、と。そして、何故、女だから、と言うだけで「プロ野球選手になりたい」と言う夢を持ってはいけないのか、と。
 映画は、そんなスインの憤懣を描く。スインが寡黙なだけに、感情移入し辛い、と言う事はあるかもしれないし、野球映画なのに試合シーンが殆どなく、カタルシスを覚えるようなシーンがない上に、スインが打ちのめされるシーンが続く前半はなかなか辛い展開だ。

 後半はコーチのジンテが、スインの強みを引き出し、プロで戦える力を持たせようとする――この辺は、水島新司の「野球狂の詩」の水原勇気編そのまま、と言う感じだ。
 “女だから”プロ野球選手になれないのではない。プロ野球選手になれる力が無いからなれない――だから、その“力”さえあれば、女だろうが男だろうが関係がない、と言う展開は、男女格差に煩い現代社会において、女性の社会進出に突きつける提言のひとつだろう。
 そうした社会性もこの映画の見所だ。
 勿論、スインが力を発揮していく後半の投球勝負には力が入るし、孤独に戦うスインも、決してひとりではなく、更にそんなスインの姿に勇気づけられ、後に続く者が出て来る、と言う展開には胸が熱くなる。
 これはよい映画だ。
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