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2020年08月14日00:00

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ドイツ第三帝國兵器シリーズ50　105mm高射砲38／39型

　10.5cm FlaK38は、有名な8.8cm FlaK18/36/37《http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1817337375&owner_id=250900》より射程の大きい高射砲として開発された重高射砲です。
　1933年１月のヒトラー内閣成立とほぼ時を同じくして88mm高射砲18型が量産体制に入りましたが、国防省陸軍兵器局長アルフレート=フォン=フォラートボッケルベルク陸軍中将は、より大口径・長射程で威力の大きな高射砲が将来的には必要になると考えて、クルップ社とラインメタル社に105mm高射砲の開発を依頼しました。
　105mm砲弾は重量15kgに達するため、駆動方式は手動から動力式自動装填に変更される事となり、1935年に両社はそれぞれ電動モーター式と油圧モーター式の両方を開発しました。この四種類の試作砲が実験評価を受ける事となり、1936年までにラインメタル社のピットラー・トーマ式油圧モーター駆動型採用が決定、10.5cm FlaK38として制式化されて1938年から量産体制に入る事となったのです。これは当初直流式でしたが、陣地に設置された場合に便利な交流電源で駆動する方式に変更されました。
　要目は以下の通りです。
砲身長　　　　　5547mm
重量　　　　　　10224kg
口径　　　　　　105mm
砲口初速　　　　881m/s
対空有効射程 9450m
対空最大射程 11400m
対地有効射程 17600m

　また、三分割砲身を用い、新型のデータ伝達装置である37式に変更されたタイプは10.5cm FlaK39と名付けられています。
　10.5cm FlaK38と10.5cm FlaK39は1944年迄に合わせて2068門が生産され、88mm高射砲とセットで用いる事で防空能力の向上が期待されました。全周旋回可能な十字型砲架に載せられたデザインは88mm高射砲シリーズと同様で、203型特殊トレーラーに載せて12ｔ牽引車で輸送する事も可能でした。
　しかし、そもそも1928年に敵重爆邀撃用の重高射砲が計画された際、105mm砲弾は手動装填には重過ぎる事が明白であり、他方、自動装填機構は実戦部隊から煩雑さを厭われていたため、砲弾重量が９kg程度で手動装填に適した88mm砲の採用が決定された経緯があった訳ですから、やはり105mm砲の煩雑さは前線部隊から不評でした。
　しかも重量10224kgと、5150kgの88mm高射砲18型の倍以上もあるため野戦用としては不向きで、牽引状態から射撃状態に移行するために20分も要しました。従って、要塞陣地や都市防衛用の高射砲陣地に設置、または平型貨車に搭載した軌道高射砲として用いられる事が多かったのですが、最大対空射程は11400mと88mm砲の10600ｍと大差が無く、88mm砲と比してメリットよりもデメリットが多かったため、対戦車砲タイプも含めると23000門も製造された88mm砲の十分の一以下しか製造されませんでした。
　大戦後期の東部戦線等では、野戦陣地に設置されて水平射撃で対戦車戦闘を行ったケースもあります。105㎡m高射砲の徹甲榴弾は1000m先の30度傾斜した140mm装甲板を貫通可能で、１分当たり12～15発を発射出来ましたから、ソ連軍重戦車に対して十分な威力を発揮しました。但し、本来野戦用では無いため、88㎡m砲の様な砲員防護用の防盾は最後まで取り付けられませんでした。
　この外、滑腔砲化して新型弾薬を用いる性能向上型の10.5cm FlaK40も計画されましたが、最大射程14700ｍもある高性能の8.8cm FlaK41が誕生したため、開発計画は中止されています。