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2020年08月04日06:20

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ジョッシュ

気分は4月辺りでストップしたまま、8月に突入。

7月にはカップルが結婚できるようになり、パブなども開き、人々が外出するようになった為、本業が忙しくなった。
スーパーのパートの方は日数を極限にへらしてもらい、本業の方に影響が出ないようにそれもできるだけ週末の夜にしてもらっている。(衣装やなんかの大きな仕事が入るのはいつのことか分からないが)この調子で本業が回復すれば、パートは辞めてもいいかなどと考えた矢先、また規制が厳しくなり、やはり当分の間は細く続けくことにした。これを機に、いままで縁のなかった大企業ならではの年金制度にエンロールされたので、その為だけに続けるのも悪くないかもしれない。
BC (before Covid) は夜か週末のフィッティング希望者が結構いたが、今はほとんどの顧客が家で仕事をしているので、平日昼間に事が済む。しかもいままで仕事場近くで用を済ませていた人たちが家の近くで用事を済ますようになったので、徒歩圏内の新しい顧客が増えている。まあそのような理由のほかに、先月忙しかった理由の半分は、ジョッシュ関係である。


ジョッシュは、あるメンズブランドのデザイナー兼ファウンダー(大工用語でいえばひとり親方)で、私がパレスシームストレスを初めてすぐからの常連顧客である。出会った当初は、東京銀座の店や世界各地に服を卸していた。それこそ展示会サンプル製作から、現物スエットシャツのネーム付け直しから、プライベートのスーツ補正やGFのアウトフィットまで色んな事を請け負ってきた。デザイナー独特のちょっと変わったリクエストを、これまたデザイナーに多い「大急ぎで」というのが定番で、彼のオフィス兼住まいと私のスタジオ兼住まいが徒歩1分半(私の引っ越前も後もほぼ同じ距離を保つ事になった)でなければ、中々難しかったかもしれない。

2019年春夏には毎週末のように誰かの結婚式に呼ばれていた(その度に私が服をお直ししていた)ジョッシュと彼のGFは、今年の7月末に割と盛大な結婚式をあげる事になっていた。それで8人のブライズメイドのドレスをアレンジをしたりする話が去年から進んでいたのだが、パンデミックのせいで当然延期になるのだろうと思っていたら、4月に連絡をしてきて、自分の結婚式用の三揃いを直して欲しいという。その時点では7月に結婚式の状況がどうなるか分からなかったし、ロックダウン中に体重増加する人も多いので、近くになったらフィッティングしましょうと言った。

7月に入っても連絡がないので、延期になったのだろうがそろそろ確認したほうがいいと思い始めて暫くした頃、ジョッシュから連絡があり、結婚式は小さくして決行すると言う。そのフィッティングにて、彼が、トム・フォードみたいなスーツブランドのデザイナーとしてヘッドハントされ、ドバイに引っ越す事になったと知る。しかも3週間後に。そして、アラブ共和国では結婚していない男女が一緒に住めないので、とりあえず籍を入れてから、GFよりも一足先にドバイに行く。きちんとした結婚式は来年行う。自分のブランドを畳まなくてはいけないので、いくつかのかれの顧客の補正もお願いしたい、という事だった。もちろん大急ぎで。彼の三揃い、顧客の補正を納品。するとすぐにイタリアから遅れてやっと届いたボタンを持ってきて、それらを彼のブランドのシャツの山に付けてくれという(工場が安っちいボタンを付けていた)。それを持っていけば、彼がドバイに持っていくスーツズボンの山(脚が左右不対象なので片脚のふくらはぎのところだけ直すのが定番)が待っており、それを納品する際には、結婚式(籍をいれたあとに食事会的)のために滞在しているGFの家族のフィッティングが待っており、入籍がすんだかと思えば、家族がいる間にと、来年の結婚式のためのスーツやらドレスの補正があり、という感じで、彼の出発日の前日までてんてこまいだった。

カジュアルも多くやっていたけど、本当はスーツが好きなデザイナーだったので、それは言わば大きな出世と言えるだろう。彼ら(白いミドルクラスのイギリス人)がドバイみたいな変な土地で上手くやっていけるのかどうかはわからないけれど。そんな土地に(そのために当然キャリアを捨てた)新妻と愛犬を引っ張っていき、結婚生活を始める。
「籍を入れるだけ」のはずの結婚がどんどん大きくなっていった(来年のため結婚式のシェフが家で”試食会”を行っていたりした)のも、フィアンセの家族を安心させる為だろうし、たとえ小さな会でも自身がスーツを格好良く着こなさなければデザイナーとして面目が立たないし、自分のデザインしたスーツが義理の弟にフィットしていなければ、自分の監督の元で直していきたいといった理由からだろう。そして自分の顧客は最後まできちんと面倒をみて、私の支払いもキレイに済ませて旅立っていった。

これからはプールのある超高層アパートメントのエアコンの効いたオフィスで、アラブ富裕層の為にせっせとスーツをデザインするのだろう。
彼らの犬が短毛犬でよかった。一度ドバイに行った際、気温41度の外気の中で見かけたハスキー犬が本当に暑そうで気の毒だったのをよく覚えているから。

アパレル関係のストレートの男性(←多くない)らしく、テキパキと仕事をこなすジョッシュとは対照的に、奥さんの方はかなりおっとりしているので、彼女の出発までに、遠方に住んでいるブライズメイドのフィッティングを手配することはできないだろう。来年の結婚式の為に帰省した時にジョッシュが手配することになりそうだ。

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