産婦人科医の乳がん検診みたいなもん

乳がんは外科疾患、診断も治療も外科がやる。
ワシら産婦人科医は子宮卵巣の専門家ですよ。
「へそから下股の上」と言ってますがね（笑うとこ）。
で、その乳がんですが、外科医、特に開業医が急速減少した時期があって
（ちなみに今も外科開業医は減少し続けてます、開業して手術できなくて外科って…）
（今はね、ひとりしか医者がいない施設じゃ手術しないのよ、普通は）
そのとき、街の外科でやってた乳がん検診が受けれない人続出したわけ。
地域の中核病院は外科治療でいっぱいで検診の余裕がない。
検診センターみたいなものがあってもそこに行く外科医が足りない。
そこで
「そうだ産婦人科医がいるじゃないか」となったわけ。
産婦人科医もおっぱいは見てる（産後乳腺炎だけです）んだから
産婦人科医に検診の研修受けてもらって検診してもらえばいい。
産婦人科医も収入増えて喜ぶよ！
…って外科の先生方は人によっては脳みそも一部筋肉なので無邪気ですが、
ワシら産婦人科医は「えー専門外の臓器扱うのやだ」
「もし見落としあったら責任とるのやだ（ただでさえ訴訟多い）」とごねたら
「だいじょぶ、フォローするから」ってことでね。
ワシも開業したときまる２日間びっしり講習会受けて真っ暗な中でレントゲン読みとか
やらされましたよ。
その結果、乳がん検診で収入は上がったけど、
５年くらいしたら「触診なしマンモか超音波のみ」検診になってしまって、
画像読みなら外科医が仕事の片手間にできるからお払い箱さ。
（はしごに上らせといてはずすやつらだ）
まあそれはいいけど、おかげでマンモ読みのバイトは少しできるし、
たまーに「おっぱいが…」という患者の触診と超音波（専用機械高かった…）やって
けっこう病気も見つかっています。
乳がん患者さんってけっこういるんだなーと思ったり。

それはとにかく、歯科医なんかワシら医者と受けている教育違うからさ、
いきなり鼻の奥に綿棒つっこんで検体取れって、なかなか勇気いると思うよ。
検査数増やしたい医者数足りない、で誰かが「そうだ歯科医がいるじゃないか」と
思いついたんでしょ。
口の中のぞくし自分たちもリスクある仕事しているから検査協力したいよね？って。

歯科医も受難ですなぁ。
研修行かなくちゃならないけどおそらくほぼ義務だよね、特にイナカは。
ワシらもそうだったから、同情します。

■PCR検査、歯科医も検体採取が可能に　人手不足に対応
(朝日新聞デジタル - 04月27日 06:15)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=6062296