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2020年04月30日23:58

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市町村からの声を重視し,きめ細やかな移動制限の実現を

 官房長官という国の中央に位置する立場の人からの呼び掛けがどうしてもこういう言い方になってしまうのは,これは止むを得ないことですが。

 今次のコロナウイルス対策で様々な営業自粛等が行われていますが,比較的安全な県における営業自粛の緩さに目をつけて県外客がパチンコ店に大挙して押し寄せるといった問題が発生しており,これが英病の蔓延に非常な悪影響を齎すことは言うまでもありません。したがって「県をまたいでの移動を極力避けて」という要請には相当程度の合理性があります。

 しかし,実際にはこれを適用できない地域も存在します。その極端な例を挙げれば茨城県古河市で,同市と栃木県野木町とは市街地が完全に一体化し,実質的には一つの都市を形成しています。また同市と埼玉県加須市北川辺地区との間には渡良瀬川が流れているものの,北川辺もやはり古河という都市の郊外部です。さらには北川辺の西隣である群馬県邑楽郡板倉町の東部からも最近隣の都市は古河であり,生活用品の購入に古河を頻繁に訪れる板倉町民は珍しくありません。
 これと類似の例を挙げれば古河市と利根川を挟んだ茨城県猿島郡五霞町も状況は類似しており,同町は埼玉県幸手市の郊外部を形成しており実質的には一つの都市です。また五霞町から最寄の駅は埼玉県久喜市の東武南栗橋駅であり,五霞町民の殆どにとっての生活圏は茨城県ではなく埼玉県です。
 こうした地域において県をまたいでの移動を制約してしまえば,人々の生活に大きな混乱と不便とを強いることになるでしょう。ことに市街地が完全に一体化している古河市と野木町との行き来を制限するなど,僕に言わせればベルリンの壁建設に等しい暴挙です。

 今次の緊急事態の根拠になっている新型インフルエンザ対策特別措置法では,移動制約の要請や指示を下すのは都道府県の知事であって国でも市町村でもありません。県境付近の細かな事情について県が深い知識を持っていることは期待できず,県央部にある県庁でものを考えればどうしても「県内に疫病を入れない」という発想になるのは止むを得ないことです。では国はどうかといえば,本来は複数県間の総合調整を行うべき立場にありますが「都道府県界を超えて一つの都市が形成されている」という事例が存在することは知っていてもそれが具体的にはどこのことなのか知っている官僚は稀でしょう。県や国の発想はよく言えば一般論,悪く言えば机上の空論に他ならず,黙って従っていれば人の流れが寸断され,地域の繋がりは破壊されてしまうことでしょう。
 ならば「この地域においては都道府県界と人の流れは一致していない」「複数の県にまたがって一つの地域が形成されている」といった現場の知識に基づいて声を上げるべきは,地域の状況に精通した市町村しかありません。新型インフルエンザ対策特別措置法において市町村の声を反映させる仕組みが脆弱な点は,早急な法改正が必要と思われます。また法改正が行われるまでの間,まずは都道府県は県境付近の市町村に「県を跨いでの移動はどのくらい存在するか」と照会して具体的な人の流れを把握し,どのような形での規制が望ましいかを検討すると同時に必要に応じて近隣他県との情報交換や共同規制を行っていくべきでしょう。

 都道府県も国も「地元の情報を一番よく知っている市町村からの意見に積極的に耳を傾け,それを取り入れなければ的確な規制など出来ない」ということを肝に銘じてほしいものだと願うばかりです。

「都道府県またいで移動は極力避けるよう」官房長官
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/33450.html
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