映画日誌「真実」

　大女優カトリーヌ・ドヌーブを中心に、実像とドラマの虚構を上手く織り交ぜた技法は観ていても面白いし、何よりドヌーブの演技力があってこそだろうが、全体的に小津安二郎調の平坦な展開なのは、フランスでも小津安二郎のファンが多いことから、フランスの観客向けに、いかにも昔風の味わいを意識したからだろうか？
　これぞカンヌ映画祭のグランプリ監督是枝裕和による、純和風の小津安二郎的人間ドラマといった感じで、味はあるものの、娯楽派からすればやはり眠気を誘う作品と言わざるを得ないか。
　たまには腰を据えて、古典的な人間ドラマをじっくり観てみるべし、という心構えも前もって必要だろう。
★55点