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2019年10月15日09:44

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ジョーカーを見た。3--メモ的に

この映画は、人の感情の深部について描写している。

ジョーカーとなるアーサーは、静かにしていなくてはならない場面で笑ってしまい、それを抑えることができない。

その理由が、きっちり描かれている。それは彼が実は、養子であり、養父が彼に振るう暴力を母は止めることができず、アーサーは、いい子でいようと努めるので、泣くことも叫ぶこともせず、その理不尽な暴力を受け続けながら笑っていた、というのが心の毛ない傷となっているし、彼の行動を規定している。

これが道化(ピエロ)と重なり、映画中のメイクアップと重なる。陽気なアメリカン・ポップスと、重厚なストリング・サウンドも重なっていく。
映画館のシーンがあるが、そこで正装した富裕層たちが見ているのは、チャップリンの名作『モダン・タイムス』。チャップリン自ら作曲し、今でも多くのアーチストたちにカヴァーされ続けている名曲が「スマイル」。ピエロの笑顔とそこに書き込まれた涙。幾重にも、そうした事柄が重層的に織り込まれる。

監督のもとには、アメコミ作品の演出依頼があったが、彼はそれを断っていた。「自分はそういうものを見ないから」という理由。しかし、例えばシェイクスピアが「ハムレット」や「マクベス」などで行なったように、忘れらない人物造形、典型的な人間像を浮き彫りにするということをできるなら、やってみたい、それは面白い作業だと考えるようになる。「なぜ一人の人間が、悪魔のような暴力の権化になっていくのか。原作にはその原因が描かれていない。作者はそこには複数の選択肢があるはずだ、と語っている。つまりどう描いてもいいということ。だったら徹底してやってやろうと思った」と監督は語っている。
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