mixiユーザー(id:13333098)

2019年10月06日09:42

73 view

80年代アメリカの少年探偵団ミステリー!(落とし穴あり)「サマー・オブ・84」



小学生の頃、図書館にあった江戸川乱歩の少年探偵シリーズをよく読んでいました。
早くすべて読破したいと思い、学校からその本を読みながら歩いて帰るほどで、その姿を見た親や近所の人からは「末は博士か大臣か」と思われたそうです。

少年探偵団が活躍するお話に夢中になったのは、最初の頃でした。
次第に内容がパターン化している事に気付き、恐ろしい怪物や宇宙人が登場しても「また二十面相のコスプレだろ」と呆れ、不思議な怪奇現象にも「二十面相の手品でどうにでもなるじゃんか」と看破し、次第に退屈さを感じました。

少年探偵シリーズも、後半の巻からは乱歩が大人向けに書いたものを子供向けにリライトしたものになるのですが、これが二十面相どころか非常に陰惨な殺人が堂々と描かれた内容で、次第にこちらの方がたまらなくなったのです。
子供向けといっても、大筋は同じ。
石膏像に死体を塗りこめたり(蜘蛛男)、生首を小さな船に乗せて川に流したり(魔術師)、バラバラにした死体があちこちで見つかる(一寸法師)といった、現在の感覚ではおよそ図書館に置くには不向きと思われるような内容ばかりでした。

中学生になる頃には、大人向けの乱歩作品や、横溝正史の作品を夢中で読んでいました。
幼い弟に「悪魔が来りて笛を吹く」の冒頭を「読み聞かせ」した記憶も残っています。
言いたかったのは、子供というのは不謹慎で異様なものに興味を持つものであるという点です。

そんな僕からすると、この「サマー・オブ・84」の内容は、非常に他人事では無い、微笑ましくて楽しいものだったのです。
気の合う友人達と漫画やエロ本を読んだり、異性に興味を持ち始めたり、町中を冒険したり。
そして、一見平和で明るいこの町に隠された、暗くおぞましい闇を夢想したり。
倫理観の乏しい子供時代ですから、冷静に考えると犯罪スレスレの事もやってしまったかもしれません。

この映画の大半は、犯人がまだ捕まっていない連続子供殺人の犯人が、近所の警官ではないか?という主人公の疑念に端を発した、少年探偵団の無邪気な活躍を描いています。
無邪気とは言っても、ゴミ箱を漁ったり、庭を掘り返したり、鍵を開錠して家に侵入したりと、明らかな犯罪行為の数々に「これがアメリカの子供か」と戦慄する事間違いなしです。
犯人がどうであれ、見つかったら超マズいのは間違いないので、こちらもハラハラしてしまいます。

この映画、ポスター等からもガチホラーを期待して観に来た人が少なくないと思うのですが、終盤までは全然ホラーじゃありません。
僕は子供たちの探偵ごっこがたまらなく楽しく感じましたが、退屈に感じてしまう人もいるでしょう。

この映画でネタバレをするのは大変無粋ですので、この先はあまり語りません。
ただし、なんだこの映画、と劇場をさっさと出てしまう人もいるかもしれませんので、これだけは言っておきたい。
終盤は本当に恐ろしいです。
突然の落とし穴、そしてその先はまさに地獄でした。

冒頭に書いた、乱歩の読書体験。
この映画では、それを一気に体験できます。
刺激を求めたその先に、想像を絶するこの世の闇がポッカリと開いていて、知った後はもう引き返せないのです。
そんな体験も青春の一部ということなのでしょうか。

大人向けの乱歩作品はさらに過激でした。
人肉食(闇に蠢く)、無数の死体で作る触覚芸術(盲獣)、奇形人間製造とボーイズラブ(孤島の鬼)等々・・・。
別にここまで知りたいわけじゃなかった。
でも、知らない頃にはもう戻れないまま、結局ろくでもない大人が誕生したのでした。

あと、この映画は音楽と音響演出が本当に素晴らしい!
80年代リスペクトの、シンセ音楽が爆発しています。

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2019年10月>
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031