水曜の定時日、仕事の後、TOHOシネマズ海老名で、
「ダンスウィズミー」。
これは、矢口史靖監督によるミュージカルコメディー。
一流企業で働く鈴木静香はある日、催眠術をかけられ、音楽を聞くと所構わず歌って踊り出してしまう体質になってしまう。職場では大失態をし、お金も失った彼女は、術を解いて貰う為、催眠術師を追って日本中を駆け巡るが……
この映画、街中で人がいきなり歌って踊ると言うミュージカル映画の非現実的な部分を「音楽を聴くと歌って踊ってしまう」と言う催眠術による暗示をかけられてしまった、と言う設定を以て唄って踊る事の説明をつけた。
これはある意味、ミュージカルの否定であり、日常生活の中で唄って踊った結果、大変な事になる、と言う描写を重ねて、ミュージカル演出をシチュエイションギャグにしてしまう。
(ヒロインは、それで職場にいられなくなり、レストランを破壊して、その賠償請求で破産する)
……矢口監督、実はミュージカル嫌いなんじゃ?
ヒロインは三吉彩花で、華やかな美貌と大柄で伸びやかな肢体は本場ハリウッド女優にも引けを取らず、ダンスシーンは見応えがある。
彼女とバディを組む、やしろ優もコメディリリーフとして存在感を見せている。
ただ、怪しい催眠術師の宝田明は声が出てないなぁ……もっとちゃんと歌える俳優を起用して欲しかったように思う。
これは、謂わばミュージカル映画を茶化すコメディであり、前半の唄って踊る度に状況が悪くなって行く様はブラックジョークとしか思えない――これは、ミュージカルの否定とも思える演出で、これには抵抗ある人もいるのではないか。
ただし、ロードムービーの体を取る中盤以降印象が変わり、コメディ映画としては楽しめる。
また、ミュージカルとしての見せ場は前半で終わり、中盤以降、ステージパフォーマンスとなってしまうのも物足りない……少なくとも最後のステージは、舞台を飛び出し、観客席をも巻き込んで華々しくやるべきではないか?
最後のヒロインの決断も予定調和的で意外性がまるでなく、物語のまとめ方としては伏線を幾つも放り出した感があって、消化不良の感あり。
楽しい映画で、笑えるところも多かっただけに、もうちょっとエンタメしてくれれば、と思ってしまった。
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