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■元気な肝臓をつくる食事とは 朝食抜きはNG、食後のごろ寝は?
夏到来。ついつい冷えたビールや冷酒を飲みすぎてしまうものだが、暴飲暴食は「脂肪肝」のもと。そして脂肪肝の放置は肝硬変や肝がんに進行していく可能性もある。ライフジャーナリストの赤根千鶴子氏がそのような状況を避け、肝臓の健康を保っていく方法を探る。
解毒・代謝・胆汁生成とフルに働き続ける肝臓を支えるには、普段の食生活にも気をつかうことが重要だ。『肝臓を食べ物、食べ方、生活法で強くする本』の監修者で、野村消化器内科院長の野村喜重郎医師は、下記の6つのポイントを提唱する。
【肝臓を強くするための食事・6つのポイント】
(1)適正なエネルギー量を摂取
(2)たんぱく質をしっかりとる
(3)ビタミン類をたっぷりとる
(4)脂肪・炭水化物はとりすぎ注意
(5)食物繊維をたっぷりとる
(6)食事は規則正しく、朝・昼・晩に分けてとる
「肝細胞の再生のためには十分なエネルギーが必要です。目安として『1日に必要なエネルギー量』を計算する方法がありますから、ぜひやってみてください」
まず、標準体重を算出する。計算法は[身長(m)×身長(m)×22=標準体重(kg)](*22というのはもっとも死亡率が低いとされるBMI)。たとえば身長158cmの人ならば、1.58×1.58×22=54.9kgとなる。
そして、1日に必要なエネルギー量を算出する。計算法は[標準体重(kg)×標準体重1kgあたりに必要なエネルギー量(kcal)]だ。健康な人の場合、標準体重1kgあたりに必要なエネルギー量は、活動量のレベルによって違う。活動量が少ない場合は25〜30kcalを目安にする(普通に仕事をしている人ならば30〜35kcalを目安にする)。たとえば標準体重60kgで、活動量が少ない人であるならば、60×25=1500、60×30=1800。つまり1日あたり1500〜1800kcalのエネルギー量に抑えるようにして、きちんと食事をすることが大切なのだ。
「そしてその上で、たんぱく質、ビタミン、食物繊維はたっぷりとるよう心がけてください。肝臓はほとんどがたんぱく質でできています。また肝細胞や肝細胞が働くために必要な酵素の材料もたんぱく質。肝臓が正常に機能するためには、たんぱく質が必要なのです」
肉、魚、卵、牛乳、チーズやヨーグルトなどの乳製品、豆腐や納豆などの大豆製品はまんべんなく摂取するようにする。
また、ビタミンも肝細胞の修復には欠かせないので、緑黄色野菜などをしっかり摂取。便秘をすると肝臓に負担がかかる。そこで便秘解消のために野菜、果物、きのこ類、海藻類等で食物繊維も十分に摂取する。
そして肝臓を守るには規則正しい食事を、と野村医師は言う。
「朝・昼・晩、なるべく規則正しい時間で食べたいものです。不規則な食事で体のリズムが狂ってしまうと、肝臓の働きにも異常をきたします。特に、朝食抜きはやめましょう」
朝食をとらないと、午前中のエネルギーが不足し、肝臓に蓄えられていたグリコーゲンをブドウ糖に分解して血液中に送り出し、全身の筋肉や臓器などのエネルギーにしなければならない。すると肝臓を機能させるグリコーゲンが不足して、肝臓の働きが悪くなってしまうのだ。
朝食はしっかり食べること。プラス、野村医師自身には毎朝必ず食べることにしているものがあるという。
「それは『黒ごま納豆』です。呼吸する酸素の約30%は肝臓で消費されます。そのため活性酸素が非常に発生しやすく、それが蓄積されると体にさまざまな弊害が表れます。そこで活性酸素の撃退に役だってくれるのが、ごまに含まれているセサミンという成分。セサミンは、ごまに含まれるビタミンEと共に肝臓の抗酸化、つまり肝臓の老化の防止に働きかけてくれます」
セサミンには、肝臓でのアルコールやアセトアルデヒドなどの有害物質を分解・解毒する作用を高める働きもあるという。
「そして納豆ですが、納豆に含まれるビタミンB2は脂肪の代謝に欠かせない栄養素です。これは脂肪肝の予防・改善にぴったり。また納豆のネバネバ成分・ムチンも肝機能を高めてくれますよ」
ムチンはアルコールから胃の粘膜を保護すると同時にアルコールの吸収をゆっくりにして、肝臓のアルコール分解の負担を軽くしてくれるのだ。
「このようにごまと納豆には、肝臓をいたわる成分がいっぱいです。私は今年で80歳になりますが、いまでも現役の医師として毎日100人近い患者さんを診ています。肝臓をこわさず、いままで元気に働いてこられたのは、私の場合『黒ごま納豆』のおかげと言っても過言ではないかもしれません。医者が具合悪くちゃ、困っちゃうからね(笑)」
最後に、疲れ気味の肝臓を回復させる方法についてもレクチャーしてもらった。
「一番いいのは、食後30分ごろ寝することです。肝臓は血液を大量に必要とする臓器です。だから横になって頭と足をちょっと上げて、肝臓に流れる血液の量を増やすようにするのです」
小腸で吸収された栄養素は、門脈という血管を通り肝臓に送り込まれる。この門脈は静脈なので、動脈よりもはるかに血圧が低い。その低い血圧で大量の血液を肝臓の下部から肝臓に送り込まないといけないのだから、なるべく横になり、血液が小腸から肝臓に向かって流れやすいようにしたほうがいいのだ。
「肝臓に流れる血液の量は、横になったときを100%とすると、その姿勢から立ち上がっただけで70%に減少してしまいます。そして歩いたり、立った姿勢で運動を行うと50%にまで減ってしまうことが知られています」
特に食事のあとは、胃腸の消化作用に血液が回されて肝臓の血液が減ってしまう。そこでごろ寝することで、そのマイナス分を取り戻すことが必要なのだ。
「休日のみでもOKです。仰向けになって寝てください。そのときクッションや枕で頭は少し上げること。これは逆流性食道炎の予防になります。また足の下にもクッションや座布団を敷いて、足を上げること。横から見るとちょうど肝臓が“船底”になっているような形で寝るのがベストです」
肝臓を守るために必要なのは多くの知識。あとは実践にうつすだけなのだ。
【元記事】
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190703-00000050-sasahi-hlth
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