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2019年01月04日12:04

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声劇台本を作成しました!「禍福は月の調べの如く(かふく は つきのしらべ の ごとく)。」

「禍福は月の調べの如く(かふく は つきのしらべ の ごとく)。」


所要時間:10分くらい。 

想定人数:2人。(男女1人ずつ) 


※使用許可はツイッター@annawtbpollylaまで。相互フォロワーさんは許可不要。※ 金銭が絡まなければ使用自由。
大幅な改変等はツイッター @annawtbpollylaまで要許可申請。

自作発言は厳禁です。 ※



登場人物:

月夜(つくよ)→女性。 

浦風(うらかぜ)→男性。 


予備知識:声劇台本「二方美人。」シリーズ作。
シリーズ内における月夜さんと浦風さんのお話「天下唯双。」の流れを汲んだものです。

時系列は二人の大学卒業後、社会人3年目の秋です。


※「二方美人。」へのリンク。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1958862956&owner_id=24167653

※「天下唯双。」へのリンク。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1959195118&owner_id=24167653

※「二方美人。」シリーズ及び関連作品のみをまとめたリンク。 
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1964303733&owner_id=24167653 









本編

浦風「…月夜(つくよ)。」

月夜「…なんだ。」

浦風「月見だんご、ここに置いておく。」

月夜「…そうか。」

浦風「ごめんな。」

月夜「何がだ。」

浦風「…今までちゃんと話し合わなかった事が。」

月夜「…………それは………もういい。私、寝室行く。」

浦風「…俺はこのまま居間に居る。」

月夜「……。」








浦風「予報では晴れだったんだがな…。」







月夜「なんでこんな事してんだろ。」







浦風「寒くなって来たな…。」







月夜「……。」

浦風「……。」

月夜「…まだ居たのか。」

浦風「…ああ。」

月夜「……ちゃんと話し合わなかったのはお互い様だ。」

浦風「…そうか……。」

月夜「私はな、浦風(うらかぜ)。付き合って、一緒に住むようになって…そのうちに、結婚して子供も産んで…というのを普通だと思っていた。」

浦風「そうなんだな。」

月夜「付き合い始めて…もうしばらくで2年。一緒に住み始めて1年と少し。そんなに一緒に居ながら、ちゃんと子供の話をしてこなかった。恥ずかしいとか、怖いとか……。」

浦風「そうだな…。話して来なかった。…結婚については……今ではなくとも、したいと思っている。……月夜(つくよ)の事なら…だが、子供…俺は、子供…そんな責任を負える気がしない。」

月夜「なぁ、浦風(うらかぜ)。おだんご、食べていいか?」

浦風「…あぁ。せっかくのおだんごだ。」

月夜「……せっかくの満月のはずなのに、見えないな。」

浦風「予報が外れて曇ってるからな。」

月夜「………なぁ、浦風。」

浦風「どうした、月夜。」

月夜「おいしい。」

浦風「そうか…。………ああ、おいしいな。」

月夜「…うん。」

浦風「子供……なんとなく、月夜は子供が欲しいんだろうなというのは…確信はなくとも、予想はしていた。」

月夜「……私もだ。浦風がそれに対して前向きではないのは、聴いてはいなかったが、何となく思っていた。」

浦風「どうしても、俺の中で…不安な気持ちに対して『それでも』と思えるだけの理由が見つからなかった。…どうにか『それでも』と思えるだけの理由を見つけて、子供の事に前向きになれないかと、本を読んだり、色々な人の話を訊いたりしても…やはり、思えなかった。」

月夜「…なんで私じゃなくて他の人に訊いているんだ。話し合うのが怖くて、自分だけで完結する道に逃げたんだろ。……弱虫め。」

浦風「ごめんな。」

月夜「私もだ。私が、別に子供が居なくても、それで良いって思えるようになれば良いって。話し合わなくても済むようにって…。」

浦風「…月夜。」

月夜「なんだ浦風。」

浦風「俺が月夜と付き合いたいと思って…こうして一緒に住み始めて、後(のち)には結婚したいと思っているのは……いや、悪い。思ったよりまだ言葉がまとまってないな…。」

月夜「……私の方から先に言っていいか?」

浦風「ああ。」

月夜「私はな、家庭の幸せには…その家庭の中に居る人達でしか共有できない部分があると思うんだ。」

浦風「…そうかもな。」

月夜「その家庭に…私と浦風だけじゃなくて、その二人から産まれた子供も居て、私と浦風だけじゃなくて、その子供も入れて三人とか四人とかで一緒に幸せを味わえたら…って。それに…単純に、憧れている気持ちもあるんだ。見ないといけない、恐れないといけない現実も沢山あるし、それもちゃんと見る……でも、憧れの中の色んな幸せなものも、見てみたいんだ。」

浦風「……家庭の中での幸せを、二人だけじゃなくて子供とも一緒に………それと、憧れ……。」

月夜「そう…憧れ、だ。私は言葉が下手なのか、憧れという言い方で伝わるか分からないのだが…でも、そうなんだ。」

浦風「……大学時代に論文発表会で優秀賞取った奴の言葉が下手だったら、俺はもっと下手だろうな。」

月夜「あれは……最優秀賞が取れなかったのだから、思い出させるな…。」

浦風「…ありがとう。月夜の言葉は、きっと月夜の心をできる限り伝えてくれた。それを聴いても…やっぱり、俺は共感できていない…。俺が月夜と一緒に居たいのは、月夜が………好きで、月夜と一緒に幸せで居たいからで…そこに、子供が…俺の中で、出てこない。月夜と俺の幸せのために頑張れる自信はある。大変な事に耐えて一緒に生きる自信は…どうにか、ある……。でも、子供…子供が居るという事での重圧に耐えられる程、その子供を愛せる自信は…ない。つらい時、その、俺自身が希(こいねが)ってもいない、子供のために頑張れる自信は…ない……。」

月夜「なら、その子供の為を思えなくても、その子供を望む私の為……。」

浦風「……。」

月夜「そうだな、子供は……ちゃんと、一人の人間だ。私の為に子供を作るとか、私の為に子供を守るとか、そういうのは…そういうの、だけ、というのは……違う。」

浦風「…悪い。」

月夜「…いや、その子の事、一生懸命考えてくれているんだな。ありがとうな。」

浦風「それは当たり前の事だろ…。」

月夜「……私も、自分の思っている事が間違っているとか、軽いとか、そんな風には思わないのだがな…。」

浦風「ああ。俺も、月夜の言う事をそんな風に思っていない。月夜は真剣に考えてくれている。」

月夜「……ただ、これをもっと早くに話し合えなかったのはお互いの欠点だな。」

浦風「…そうだな。昔から俺達は、大事な事を話し合うのが苦手だったな。」

月夜「全くだ。そのせいで今までどれほど……いぃや、今はそんな話をするんじゃないな。…ありがとう、浦風。」

浦風「…ああ、月夜。ありがとう。これからは大事な話、もっと、ちゃんと…。」

月夜「見ろ、浦風。月が綺麗だぞ。」

浦風「…曇ってて見えないだろ。」

月夜「曇ってて見えないが、きっと月が綺麗だぞ。」

浦風「…そうだな。だが、それを言うなら別に満月の日でなくとも、地球からは見えないだけで月はいつだって綺麗だろうよ。」

月夜「くくく、よい事を言ったな浦風。それではこれからは十五夜など関係なく、気が向いた時はいつでもお月見をしようではないか。満月であろうとなかろうと、綺麗なお月様なのだからな。」

浦風「……そうだな。で、きっと普段から売ってなんていないだろうが、その時の月見だんごはどうするんだ?」

月夜「一緒に作ろうではないか。」

浦風「そいつは予想外だ。『作ってくれ』とでも言うかと思っていたぞ、月夜。」

月夜「まあ忙しい時は普通のおだんごで妥協して買って来ることとなるだろうがな、浦風っ!」

浦風「…くくく。ま、忙しい時は、な。」

月夜「…。」

浦風「…。」

月夜「……今更、だけど。ごめんな。今まで、ちゃんと…話し合わないで。」

浦風「お互い様だって言ったの、月夜だろ。」

月夜「お互い様だから、お互い謝ったんだ。」

浦風「…そうか、ありがとうな。」

月夜「…。」

浦風「…。」

月夜「なぁ、浦風。」

浦風「どうした、月夜。」

月夜「…いや、やっぱり…あの話の…続き、は…次のお月見の時に、な。」

浦風「……ああ、近いうちにまたお月見をしよう。」

月夜「……く、くく。お月見、怖いなぁ…。」

浦風「月夜。」

月夜「なんだ浦風。」

浦風「今まで一緒に頑張ってきてくれて、ありがとうな。これからも一緒に頑張ろう。」

月夜「…ああ、当然だ。」



以上。
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