夜の闇は全てを覆い包み込み
底が無きが如き深淵の深みを湛え
魔物が潜むかの如き暗闇
しっとりと漆黒の髪の如き
艶と滑らかさを備え妖しく薫る
確固とした黒きビロードの暗闇
全き夜の闇に浸り耳鳴りが
する程の静寂に漂うが如き鎮静に
遊び彷徨い覚醒を覚える
微かに気がつかぬ程に微かに
暗闇が薄れて黎明へ向かう
朝の誕生の予感が滲み出す
たっぷりとしたみずみずしさは
靄となり明るさがしだいに満ちて
草花に露を送り冷気に浮かぶ
黎明が形をとってさっと現れ
澄んだ清らかなものを齎して
身体の中芯から歓喜に打たれる
人生の歓喜は黎明に在りと
我知らず憶える
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