「すずめの舌を切ったのは、昔からのしきたりだからです。」
「しきたりには、それなりの理由があるはずです。 その理由は何なのですか。」
「私どものはじまりは、五穀豊穣を祈る儀式なので、すずめが寄って来たら、舌を切ることになっているのです。
ただのしきたりですから、すずめをいじめようとか、さべつしようとかいうつもりは、まったくありません。」
「そんなしきたり、ひどいじゃないですか。 動物愛護の観点から、批判の声があがってますよ。」
「私どもは、しきたり、むかしからの伝統をたいせつにしたいと思います。 でも、私どもを応援してくださる、世間の方がたのご意見も無視できません。
そこで、これから世間の方がたの意識調査をさせていただき、それを踏まえて考えていきたいと思います。」
「意識調査って、なんなんですか。 ご自分の考えは、ないんですか。
世間の人がカツアゲしろといったら、カツアゲするんですか? 世間の人が、あんた方は解散しろといったら、解散するんですか?」
「はい。 私どもは、自分で考えるのが苦手なんです。
どうか、この舌切りのしきたりの件については、お時間をください。」
”しきたり雀”という、ばかばかしいお噂でした。
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