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2018年02月23日23:23

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沙羅双樹の鐘

『平家物語』の冒頭に出てくる「沙羅双樹の鐘の声、
諸行無常の響あり」とある。

西谷啓二氏だったと思うが、沙羅双樹の鐘が鳴るのは
人が死ぬ時だとあった。お釈迦様のブッダガヤに鐘が
あるのだと思っていた。

事実はどうなのか?沙羅双樹の鐘は存在しなかった。
増原良彦著『日本の名句・名言』によると、以下。

本当は、祇園精舎には鐘はなかった。だが、現在は、
祇園精舎に鐘がある。・・・祇園精舎の所在地は、
長いあいだ不明であった。7世紀に、中国の玄奘三蔵が
ここを訪れたとき、すでに荒廃していたと報告しているから、
その後まもなく土に埋もれてしまったのであろう。イギリスの
A・カニンガムが現在のインドのウッタル・プラディーシュの
サヘート村、マヘート村を発掘し、サヘート村が祇園精舎で
あり、マヘート村が守舎衛城だと比定した。・・・・日本人は
この祇園精舎の遺蹟を訪れて、鐘のないのがなんとなく淋しい
のであろう。誰か物好きがいて、それで鐘を寄進して、
祇園精舎の遺蹟に鐘をすえつけた。・・・名句・名言のパワー
を感じさせる。「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」と
『平家物語』が述べたために、祇園精舎に鐘が出来てしまった。

増原良彦 『日本の名句・名言』講談社新書、1988年、23-25頁。

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