mixiユーザー(id:1506494)

2018年02月06日21:05

342 view

ブリューゲル展@東京都美術館

昨年「バベルの塔」展示会に足を運びましたが、今度は大ブリューゲルとその一族の
展示会が開かれるということで、寒い中ではありますがまだ花粉も飛ばず、飛び始め
たら蟄居状態になりますから今のうちに、というわけで本日上野まで行って参りました

どうせ行くなら国立西洋美術館は65歳以上無料ということで合わせ技を試みようと思い
ましたが、門扉は閉ざされており「館内整備のため休館」と非情の掲示
あわてて公式ウェブサイトを見ますと、通常の休館日は月曜なのですが、お知らせ欄に
1月29日から2月23日まで休館と書かれておりました
スイート・ネイル、ツメが甘いのがワタシの欠点であります

で、ブリューゲルに絞り込みました

今回は「画家一族150年の系譜」と題されている通り、大ブリューゲルのみならず、という
よりはむしろその息子・孫・曾孫及びブリューゲルに影響を受けた後継者たちの作品を
主に100点余りが展示されておりました

事前に(いつものように)wikiでブリューゲル一族の家系図をおさらい
同名の息子、息子と同名の孫などがいて紛らわしいので、一応頭に入れておかないと

大ブリューゲルには二人の息子がいて、同名の長男ピーテルは父の模作が中心で
次男ヤンは父の細密な技術を受け継ぎながらも花や静物画を主として描くというように
その違いは明らかであります
ピーテル2世は、模写したというよりは父の画に紙を重ねてなぞり、その描線に沿って
無数の穴を空け、そこから炭を塗り込んで他の紙に写し取る、言ってみれば謄写版の
原理により複製品を増産したらしい
ために独自性は全くなく、価値も低かったので経済的には困窮したそうです
ヤンの方は新たな価値を生み出したわけですから、兄より裕福であったとのこと
この兄弟に確執はなかったのか気になりました(カインとアベルの昔から兄弟に確執は
付き物です)

また後継者が御大の構図を「パクった」作品もオリジナルと並べるという意地わるいこと
もしておりますので、独創性のなさが一目でわかる
しかも並べると言っても、隣り合わせにしないで離れたところに展示するものですから
両者の間を三往復くらいしました(間違い探しみたいなものです)

音声ガイドは使用しませんでしたが(自分のペースで観たいので)、展示品の脇に解説
がありましたので、興味深いことも色々ありました

大ブリューゲルはヒエロニムス・ボスから技術的影響を受け、題材も多くは師のそれを
受け継いだが内容的にボスは人間を断罪する立場で描いているのに、弟子のブリュー
ゲルは肯定的に人間を捉えている
これは昨年のバベルの塔のときワタシが感じたことと一致します
農民を多く描いたが、決して「無教養な人々」という扱いはしなかったというのが新しい
ブリューゲルの捉え方なのだそうですが、これもなるほどであります

  *余談ですがヒエロニムスの英語表記はジェロームなのですね
  あのジェローム・カーンやジェローム・ロビンス、ジェローム K. ジェロームの
  「知識を沢山持つことは人生を楽しくしてくれます」(by鈴木健二)

 
原則として撮影禁止でしたが、2月いっぱいまでは2階の展示品に限って撮影が許可
されておりましたので、ワタシも作品そのものを撮影するのでは曲がないから雰囲気だけ
スマホに収めましたが、この許可された一角はピーテル2世やその他エピゴーネンの
作品主体であり、撮影されたところで問題ないという判断なのでしょうね
なんかピーテル2世が軽んじられているようで、余計可哀そうになりました

どの作品も単独でワタシのシロート目線で見れば「皆さんお上手」なのですが、芸術と
いうのはそれだけではない、という厳しい事実がよくわかりました

鑑賞後は上野駅ナカの二八蕎麦「蕎香」でミニねぎとろ丼とせいろのセットを喫食
立ち食いよりはワンランク上で(お値段も)美味しゅうございました
2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2018年02月>
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728