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2017年11月16日21:00

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ロダン カミーユと永遠のアトリエ@横浜ブルク13

今日も予定のない日だったので、先日予告編で見て興味を惹かれた標題の映画に
行って参りました

ロダンはもちろん作品は知っておりますが、セザンヌ同様その人物については全く
無知でありますので、ノンフィクション(でしょうね)ということもあり、ネタバレなどの
問題もないことからwikiでその生涯を下調べしました(特に波乱万丈というわけでも
なさそうですが、事実上の妻のほかに愛人がいたらしいです)

映画はその半生ということで、40歳の時地獄の門製作のシーンから始まります
このころ、弟子入りした女性カミーユ・クローデルが愛人になるのですね
本妻ローズは、しかし正式に婚姻届けをしておりませんし、息子である同名の
オーギュストも認知していないようです
認知を迫るローズに対して言い放ったひとこと「出来の悪い作品には署名しない」
なんという冷徹な人間でしょう

しかし自分が好みであれば弟子であろうと、モデルであろうと関係を持ってしまう
不倫という概念はないようであります

たまたまですが、昨日のフジTVバイキングでゲストコメンテータの高須クリニック
院長が、自分のパートナーは入籍していないので、他の女性と問題を起こしても
不倫には当たらないと豪語したのに対して、解説者の弁護士先生が「事実上の
婚姻関係が認められれば不倫と認定されます」と釘を刺して慌てさせていました

ともかく、ロダンは女性関係については大らかであったようです
しかし、相手となるローズやカミーユはそれどころではない、激しく罵りあう修羅場
が展開され、これがこの映画の一つの軸

もう一つの軸はアーティストとしてのロダンで、青銅時代にせよバルザック像にせよ
世間からは認められなかったことに対してのいらだちであります

映画の中でのエピソードとしてセザンヌが登場し、ロダン同様世に認められない
彼をロダンが激励し、感激したセザンヌが跪いてロダンの手に接吻するシーンが
でてきます(先日観た映画では変人の塊であったセザンヌもナイーヴに見えます)

ロダン自身も「10年先を行っているのですよ、10年後には認められるでしょう」と
友人に慰められるのだけれど、「10年後には私はさらに進化しているからな」と常に
認められない自分の身の不遇を嘆きます

この二つの軸はそれぞれ独立して、遂には観客である我々の共感を得られないまま
何故か映像は突然現代の日本、箱根彫刻の森でバルザック像に向かって子供たちが
「だるまさんが転んだ」をするシーンで終わりとなります

カミーユはロダンに才能を認められながらも伴侶としては認められず、もうけた子供は
中絶させられ、メンタルを病んでしまいます(このことはあまり詳細に映画化されておら
ず、ただカミーユの作品「嘆願する女」の像で彼女の苦しみが暗示されます)

カミーユを主人公とした映画も過去に2度ほど作られており、本来はそれと対比させて
鑑賞すればいいのかもしれません
ただ、それでロダンという芸術家が理解できるかといえば、それは疑問ですね
我々には作品が残されているだけで、それは驚嘆すべき完成度なのですが、ロダンの
人間性については完成という概念はない(本人は「木には完成という事はないだろう」
とうそぶいています)

作品のモデルの一人として日本人の花子という女性も登場しますが、ローズはこの女性
に対し「インドシナの女」と蔑んだ呼び方をして、当時のフランス人が(そして今でも?)
日本人をどのように見ているかがわかります(ジャポニスムに魅せられたのは一握りの
芸術家に過ぎなかったようです)

この映画はパリ・ロダン美術館の協力を得て作られているらしく、本物のロダン作品も
使われているようです(工房での製作過程が見られるのも興味深い)
バルザック像は本来裸像として製作され、それに対して物言いがついたので、ロダンは
腹を立てて部屋着を石膏に浸して体を覆い、現在のような醜悪な塊として表現したこと
など、興味は尽きません(wikiでは優柔不断な印象を受けますが、はるかに激しい性格
であることがわかります)

明日はロダン没後100年の祥月命日に当たります
合掌
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