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2017年08月14日08:21

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血の匂いがする「レクイエム」・・・・京響定期

川瀬さんの指揮を初めて体験しましたが・・・・なんとも、熱い音楽。

京都 京都コンサートホール
京響第615回定期演奏会
川瀬賢太郎指揮 京都市交響楽団・京響コーラス
(客演コンサートマスター 石田泰尚)
ソプラノ 小川里美 アルト 福原寿美枝
テノール 藤田卓也 バス 妻屋秀和
ヴェルディ:「レクイエム」

硬派コンサートマスター、石田さんとの神奈川フィルコンビ客演の演奏会。石田さんは外見どおり(笑)の熱い演奏だが、川瀬さんの(どちらかといえば「可愛い」)外見から、ここまでダイナミックで振幅の大きな音楽が聴けるとは、思いませんでした。

このヴェルレクという曲、そもそも「レクイエム」というよりも「オペラ」に近い性格を持っているので、そうなってもおかしくないのだけれど、今回の演奏、全くと言っていいほど宗教臭がしない。だからというわけではないのかもしれないが、聴いていて、安寧だとか慰撫だとか、ましてや救いだとかをそこに感じることはできない。そこにあるのは、「生々しい生」。狂おしいばかりの人間の叫び。血を吐くような激情。

ここまで思わせたのは、やはり川瀬さんの没入するかのような激しい指揮、そこから導かれるストレートにダイナミックな音楽、ピンと張り詰めたピアノから、噴火するようなフォルテまでの振幅によるところなんでしょう。それをそのまま音にする京響の演奏能力も、もちろんだけれど。

この曲は、「怒りの日」ばかりがクローズアップされるけど、実は「ラクリモサ」が一つの頂点だと、ぐすたふくんは思ってます。以前、大植さんでこれを聴いた時、この部分の感動的な音楽の歩みに深く感じ入った記憶がある。今日の川瀬さんの音楽の印象は若干異なる。決して粘らず、彼岸を目指すよりは、現世での苦悩を絞り出すかのよう。同じ曲でも、ここまで印象が変わるもんなんだなあ。

実は、今日の1番の聴きものは「ルクスエテルナ」から「リベラメ」だったです。特に、リベラメの劇的だったこと!ここでレチタティーヴォ様のひとくさりからアリア様の詠唱までをこなすソプラノは本当に大変なのだが、惜しむらくは若干持て余し気味のところが散見されたこと。その意味では、「ルクスエテルナ」のアルトとバスの存在感は盤石で、流石と感服いたしました。

演奏後の拍手も、充分な余韻を味わってからの盛大なもので、いい雰囲気でしたね。

実は、余り気乗りのしなかった演奏会だったんだけど、終わってみれば結構楽しめました。川瀬さん、なかなかですねー。この人なら、「復活」、期待できる気がする。京響で久しくかかっていないこの曲、また機会をもらいたいものです。
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