ポーランドの巨匠、アンジェイ・ワイダの遺作となった作品だが、相変わらず体制に反抗する姿を描く姿勢は変わらない感じ。
この作品でも、社会主義化に伴いリアリズムの芸術を要求する体制側に反抗し、頑なに自分の作風を貫こうとする強固な姿勢は印象的だが、終始暗さだけが強調されている感じ。
一方で「地下水道」のような印象的なやるせなさが残るわけでもなく、また「大理石の男」のような凝ったストーリー構成も無いため、あまり強いインパクトは感じられない。
年齢とともに少し映画人としてのエンターテインメント性は衰えが生じたようだが、一貫した強い姿勢は感じられるし、むしろ情熱を持ったまま生涯を終えたアンジェイ・ワイダ監督自体に対して感服すべきかもしれない。
★55点
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