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2017年04月15日01:32

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下野殿下の門出に、大阪の聴衆は暖かな餞の拍手を送る・・・広響定期大阪公演

今日は、「殿下」と呼ばせてください、下野さん。

大阪 ザ・シンフォニーホール
広響第369回定期公演 大阪公演
下野竜也指揮 広島交響楽団
ブルックナー:交響曲第8番ハ短調
(コンサートマスター 佐久間聡一)

「下野竜也広響音楽総監督就任披露」と銘打たれたこの演奏会、やはりそれだけの重みのある演奏会であり、その思いをもって聴衆が集まっていたと感じました。

演奏の印象、ということに限って言うなら、下野殿下には申し訳ないけれど、広島交響楽団というオケ、まだまだブルックナーを十分に弾きこなせるには至っていない、というのが正直なところです。下野殿下の棒は、この間の読響の時となんら変わることなく、深い呼吸とフレージングで巨匠然としたブルックナーの音楽を描いていたのだけれど、いかんせんオーケストラはその呼吸ができていたとは言い難い。ホルン・ワグナーチューバ・セクションはいささか不安定に過ぎるし、ストリングセクションは(14-12-10-8-7とやや小ぶりであったことを差し引いても)重心が高く、満足の行く響きであったかと問われれば、うーん・・・。大小取り混ぜて、結構な傷もあり、殿下の京響との0番・読響との7番と聴いてきたぐすたふくんにとっては、ちょっとつらいかな、という思いはありました。

ただ、佐久間聡一をコンマスに、そして客演・長原幸太を対向配置のセカンドトップに擁した(大フィル・大植英次ファイナルコンサートの時のちょうど逆!!)今日の演奏、楽員の皆さんはできる限りの誠意を尽くして演奏をしていたのは確かで、そのことは素直に感動を覚えました。

特に、4楽章、第一主題が再現するところ、大植・大フィルでの演奏では、長原・佐久間が両サイドから腰を浮かせてフォルティッシモの刻みを見せた瞬間が鳥肌物だったのだが、今日の演奏では・・・・この部分、佐久間・長原のみならず、ファースト・セカンドの全員が前のめりになるんですよ、一斉に、一人残らず!!いやあ、これには参りました。

これに限らず、3楽章、4楽章はかなりの熱演。でも、演奏精度はというと、うーん・・・・そんなもんで、正直、終わった後聴衆がどんな反応をするんだろう、なんて考えつつ4楽章のコーダを迎えたんですよね。そんなぐすたふくんの杞憂はなんのその、会場からは盛大なブラボーと熱い熱い拍手の雨。

拍手が起こった瞬間の、暖かな暖かな空気が、ぐすたふくん、今日の演奏会のすべてだったんじゃないかと思います。

大阪の聴衆は・・・朝比奈御大が育て上げたブルックナー聴きの人々は・・・・今日の演奏を認めたんですよ。下野殿下に餞を送ったんですよ。広島への栄転、殿下初めての音楽監督、それを祝福したんです。僕は、そのことが素直にうれしかった。

若いオーケストラ、これからのオーケストラ、今伸び盛りのオーケストラ・・・・そこに、下野殿下が赴く、佐久間聡一が引っ張っていく。そのことに思いを馳せる大阪の聴衆は、僕だけではないんですよね。

佐久間さんの緊張した面持ち、それを見つめる長原さんの満面の笑顔、そして、最後客席に向かって、全員で深々と礼をしてくださるオーケストラの皆さん・・・・いい雰囲気です、とっても。今日、ぐすたふくんはここに来て本当に良かった、そう思います。

プログラムの下野殿下の言葉・・・「私は音楽総監督として、『変えてはいけないもの』を見つめなおし、そこにこそオーケストラの本質があると思っています。変えるのではなく、共に成長していきたいと思います」・・・・素晴らしい言葉だと思いました。

行ってらっしゃい、下野殿下。あなたの「広島にも来てください!!」との言葉、確かに胸に刻みました。きっと、いつか、僕はあなたとあなたのオーケストラに会いに、はるばるそこまで出かけます。その時でも、そして次に大阪にみなさんでくるときでもいい、またブルックナーを聴かせてください。



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