mixiユーザー(id:12669625)

2017年02月17日16:26

175 view

映画日誌「沈黙 -サイレンス-」

 江戸時代に激しい弾圧を受けたキリシタンを描いた、重厚な歴史ドラマであり、見応えがあるのは間違いない。
 ただし、意外にも、キリストを称えたものではなく、弾圧を受けながらも信仰を捨てない強固な姿勢を描いたわけでもない。
 声を聞きたくてもただ沈黙するだけのキリスト。
 人を救うとはどういうことなのか。
 キリスト教そのものに対する疑問が投げかけられ、司祭として、というよりは、人間としてどうあるべきなのか、あくまで人間としての悩み、苦しみが描かれ、むしろ宗教的観念が排斥された内容であり、だからこそ人間ドラマとして深い感動が伝わってくる。
 さすがはマーチン・スコセッシが念願の企画としていただけに監督の強い意気込みが感じられるが、主人公のアンドリュー・ガーフィールド以外、リーアム・ニーソン、浅野忠信、窪塚洋介などの演技も見応えがある。
 特にイッセー尾形演じる奉行が印象的で、何故当時の日本がキリスト教を禁じたのか、ということも単純明快に解説をするところがまた面白い。
 ただ、それでもやはり欧米の観客からすれば、日本と言うのはやはり不可解な国、という印象を与えてしまうかもしれない。
 この時代以降、中国は欧米の列強に支配されてしまうことになるが、日本が支配を免れたのはキリスト教の禁止も一つの要因だったかもしれないし、当時の世界の情勢、また日本の歴史的背景ももう少し詳しく描いた方が良かったかもしれない。
★70点
3 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する