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2016年11月12日06:52

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「ギャフン!」

 これまで色々好き勝手なことばかり書いてきましたが、昨日の日経夕刊のコラム「フォーカス」の記事には「ギャフン」と言わされました。あれこれ言う前に全文引用しますから、とにかくお読みください。話はそれからです。

(引用開始)

 『勝負メシ』信頼が隠し味

 錦織圭、浅田真央、高梨沙羅。管理栄養士としてトップアスリートを食事面から支えてきた。「栄養士はもっと活躍できる。活用してほしい」。栄養士の専門学校卒業を控えた12年前の冬。スポーツの仕事に就きたいが、募集がない。そんなとき、電車内で当時プロ野球ロッテの監督のボビー・バレンタインさんと遭遇した。「アイ・キャン・サポート・ユア・チーム」。千載一遇のチャンスに拙い英語でアピール。熱意が通じ、球団初の栄養士に採用された。

 だが試合前の選手の食事を見て絶句した。肉や揚げ物だらけで消化に悪い。栄養学的には「不正解」な食事が慣習化していた。そこで糖質中心、低脂肪で野菜も取れるメニューを提案し続けた。殺し文句は「優勝のため」。奮闘が実り、食環境は劇的に改善し、選手の食事への意識も向上した。在籍した6年間でチームは2度日本一に輝いた。

 森永製菓に転職後は個人選手を担当。スタミナが課題の錦織選手には1日7〜8回の食事を提案、練習拠点の米国に渡り食事を作った。過度に体重増加を気にしていた浅田選手や高梨選手には必要な食事を食べてもらうため、一緒にケーキを作ったりサウナに入ったりして信頼を得た。時に勝負を左右する「勝負メシ」。選手を変えるためには対話が大切だと痛感する。

                                      =細野 恵美さん、39歳

(引用終わり)

 世の中には学校給食や社内食堂、レストランやホテルにも数多くの「栄養士さん」がいらっしゃると思いますが、この方ほど「栄養士」の値打ちを自ら知って、売り込んで、その役割を認めさせ高めた方は珍しいのじゃないかと思います。その多くは「就職先の要請に従って、いかに少ないコストで美味しくお客様に喜ばれる食事をデザインするか?」に明け暮れていらっしゃる中で、「プロの働き方とはこんな生き方を目指すものだ」と言う積極的な姿勢に「ギャフン!」と言わされたわけです。多くのサラリーマン、企業経営者が「昨日の延長を明日も行う」ことによって生計を成り立たせ、「仕事そのものに疑問を持たず」時には月間100時間を超える残業で苦しむブラック社会もある時代に、細野さんのように「積極的に現状に疑問を持ち改善点を見出す」取り組みが、これから先の日本人の働き方として『プロフェッショナル』の称号を自らつかみ取ることになるように思います。

 仕事の「カイゼン」は細野さんの記事の中にもあるように「マンネリズム」との戦いであり、簡単に意識は変わりません。そこを「単なる美味しい食事」ではなく、「勝負メシ」の在り方を工夫して、選手の意識を切り替えて『勝たせる食事』まで高めたことに称賛の言葉を贈りたいのです。「火事場のバカジカラ」という言葉があります。自分を「非常事態に追い込む」ことによって、はじめて「普通の考え方」を脱皮して、ハイレベルの「改革カイゼン」の着想が生まれます。管理栄養士と言う一見表に出ない「裏方さん」でありながら、ご自分の使命を自ら切り開き花を咲かせる。21世紀の「女性が活躍する社会」の典型を垣間見せていただいたような気持で、とてもすがすがしく感じました。今後の益々のご活躍を楽しみにしています。
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