三「第三戦隊がロシア艦隊を誘い込んだ海域には、合計44個の機雷が敷設してあったの
じゃ。コイツにマカロフが乗っていた、戦艦ペトパブロフスクと戦艦ポベーダが見事
に引っかかった。ポベーダのほうはダメージを受けたものの、沈みはしなかったが」
歩「ペトロパブロフスクのほうは、搭載していた魚雷が誘爆。さらに機関部のボイラーま
でもが大爆発を起こして、あっという間に海の藻屑と消えてしまったのデス」
榴「当時アメリカ海軍のマハンと並び称されていた、海軍戦略家ステパン・マカロフ中将
も、ペトロパブロフスクとともに、黄海の海底へと没して行ったのであった」
三「戦艦1隻と、それにもましてロシア海軍の大黒柱の大将軍を一気に葬り去ったのだか
ら、とてつもない大戦果じゃった。だが結果的にこれはプラスになったのか?」
榴「この日をきっかけにロシア側は、日本のいかなる挑発にも応ぜず、ひたすら旅順港に
こもりっきりになってしまったデスね。こいつはまずいデス」
歩「そういったわけで、日本海軍の目標である、『バルチック艦隊がやってくる前に旅順
の艦隊を潰す』ということはどうしても達成できないまま4月も後半に入りマス」
三「日本側は焦っておった。バルチック艦隊到着前に、なんとしても太平洋艦隊は潰して
おかなければ、圧倒的に不利になるというのに、どうにもうまくいかない」
榴「この時期になると、陸軍も動きはじめマス」
歩「日本陸軍は3月8日に、第一軍を平壌近くに上陸させた。第一軍は近衛師団を含んだ
日本最精鋭の軍団。兵力は4万2千。この部隊が満州目指して北上して行った」
三「そして4月21日、第一軍は朝鮮と清の国境である鴨緑江に到達。日清戦争でも戦い
があった場所だけど、今度は相手がロシア軍。日清戦争では戦闘らしい戦闘も無いま
ま、日本軍が鴨緑江を越えたのだが、流石にロシア軍はそんな甘い相手じゃない」
歩「ロシア軍はザスリッチ中将麾下の約2万の兵力で守備していた。4万2千対2万だか
ら、日本優勢に見えるけど、通常渡河作戦や上陸作戦というのは、最低でも相手の3
倍の兵力が必要、と言われているから決して楽ではない。むしろ不利なくらいデス」
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